SEO用語解説 - や
Yahoo!ショッピングに出店するメリットとデメリットは?
Yahoo!ショッピングは期待出来る存在
2017年現在、国内のショッピングモールはは楽天市場、アマゾン、Yahoo!ショッピングの三強体制です。 多くの人が楽天市場やアマゾンを選ぶなかで、あえてYahoo!ショッピングを選ぶ人たちも多数います。Yahoo!ショッピングは、当然のことですが、Yahoo!JAPAN内にあります。
Yahoo!JAPANというのは、圧倒的な集客力のあるサイトです。そこにはWeb検索(2010年よりGoogle検索を採用)、オークション、ニュース、天気予報、乗換案内、質問サイト、動画サイト、映画などあらゆるメジャーな分野での人気サイトが多数あります。
Yahoo!ショッピングは、そうした総合的な強さを持っているYahoo!JAPANのサービスの一つであり、これまで多くの紆余曲折がありましたが、今でも健在であり、近年では出店費用を無料化したことにより国内最大級の出店店舗数を誇るようになりました。
ソフトバンクグループ内企業との連携
そもそもYahoo!ショッピングが国内最大数の出店店舗数を持つようになったきっかけはYahoo!JAPANの親会社であるソフトバンクグループ総帥の孫正義氏らによるテコ入れでした。出店店舗数、流通総額の伸び悩みがあるなかで、突然出店料無料の発表を行い、その後もソフトバンク店舗などでソフトバンクの携帯電話ユーザーは通常の数倍のTポイントをもらえるという大胆で分かりやすい販促活動を繰り広げました。
これはほぼ同時期にソフトバンクとYahoo!JAPANが共同でTポイントを提供する事業会社の大株主になったこととリンクしていると思われます。
競合する楽天市場の一番の強みは楽天ポイントを流通させ楽天経済圏の魅力です。楽天経済圏に属する系列企業の商品、サービスを購入する度に楽天ポイントがもらえることが楽天市場を利用する大きな動機になったことは疑いの無い事実です。
これに対抗するかのようにYahoo!ショッピングもTポイントを成長の原動力として活用することに成功しました。このことは今後の成長にかなりの好影響を与えることになるはずです。
ショッピングモールとしてすでに抜かれてしまったアマゾンにはそうした目立ったポイント制度は未だないことも今後のYahoo!ショッピングの成長にプラスに働くと思われます。
Yahoo!ショッピングはYahoo!JAPANトップページから目立つリンクが張られている
Yahoo!JAPANのトップページには圧倒的なアクセス数があります。 1日のページビューが十億以上と言われており、そのトップページからのリンクを第三者がお金で買おうとすれば莫大な費用が発生します。しかし、その一等地に半永久的にリンクを張ってもらえるのがYahoo!ショッピングの圧倒的な優位性になっています。
Yahoo!ショッピングに出店するということは、Yahoo!JAPANのこの圧倒的な集客力を利用出来ると言うことなのです。
このリンクの存在だけでも、Yahoo!ショッピングに出店する価値があるのではないかと思います。
Yahoo!JAPANの集客力、そして、集客力の高いトップページからのリンクを考えると、Yahoo!ショッピングへの出店は大きなメリットでしょう。
他のショッピングモールにはないものはこのYahoo!JAPANの膨大な数のページからのリンクです。
Yahoo!ショッピングへ出店するメリット
国内のショッピングモールでダントツナンバーワンの存在が楽天市場と言えます。 しかし、出店するショッピングモールを選ぶなら、Yahoo!ショッピングも有力な選択として含めるべきです。 その理由として次のようなメリットがあるからです。出店コストが低い
まず、Yahoo!ショッピングは楽天市場とは違い出店費用が無料です。かかる費用はページ作成の人件費、外注費だけです。 費用が安くてすむというのは、かなり大きなメリットでしょう。サポートを通じて知識が得られる
次に、Yahoo!ショッピングに出店するには一点の審査が必要です。この審査に合格ためのサポートをある意味追加料金なしで利用する事が出来ます。それによりネット販売の経験が無い企業でも一定の知識を得ることが出来ます。Tポイント等出店企業向けのサービスが利用できる
先ほども触れたようにソフトバンクグループの総合力を動員してTポイントが活用できること、ソフトバンクユーザーの送客施策の恩恵を得ることが可能です。Yahoo!JAPAN関連のページからの流入が期待出来る
これも先程述べたことですが、Yahoo!ショッピングはYahoo!JAPANのトップページからのリンクだけではなく、Web検索結果ページでの露出も多い傾向があります。Yahoo!JAPANは2010年から自社独自の検索エンジンYST(Yahoo! Search Technology)を廃止して、競合でもあったGoogleの検索エンジンをその検索エンジンとして利用するようになりました。
そのためYahoo!JAPANでWeb検索をしても基本的にGoogleの検索結果と同じものしか見ることが出来なくなりました。しかし、Yahoo!JAPANはGoogleとライセンス契約する際にいくつかの重要事項を含ませることに成功しました。
その一つは基本的にGoogleの検索結果ページを表示させるが、その中に自社指定の情報を挿入することが出来るという編集権です。
この編集権を行使することにより、Yahoo!JAPANはその検索結果ページに自社提供サービスであるヤフー知恵袋やYahoo!ショッピング、その他多様なYahoo!JAPANが提供するサービスを随意で挿入することが可能になったのです。
例えば次の図は「布団」で検索した時のYahoo!JAPANとGoogleの検索結果画面のキャプチャです。
《左:Yahoo!JAPAN 右:Google》
ご覧のようにGoogleの検索結果画面には表示されていないYahoo!ショッピングへの画像リンクが同じキーワードで検索した時のYahoo!JAPANのそれには表示されています。(Googleも最近では赤枠内にYahoo!JAPANを見習ってか商品広告の広告主の情報を掲載するようになりました)
本気客が検索する購入につながりやすいキーワードを「購入検索キーワード」と呼びますが、「購入検索キーワード」でYahoo!ショッピング出店企業が扱っているキーワードで検索すると検索結果にはこのYahoo!ショッピング関連ページへのリンクが表示される傾向が高くなっています。
Yahoo!ショッピングに出店している自社のショップから独自ドメインサイト等に外部リンクが許されている
Yahoo!ショッピングが思い切って出店料無料化に踏み切った時に同時に非常に大胆な施策が発表されました。それはなんとそれまでタブーだったYahoo!ショッピングに出店している自社のショップから独自ドメインサイト等に外部リンクが許されるという業界の常識破りの発表でした。この時から外部サイトに飛びますという警告ページが挟まれるものの出店企業は自社が運営する独自ドメインのサイトへのリンクを張ることが可能になりました。これは同じショッピングモールの楽天市場やアマゾンでは許されていない特権です。
Yahoo!ショッピングへ出店するデメリット
これまで話だけだとメリットしか無いように聞こえたかもしれませんが、メリットしか無いサービスは残念ながらまずこの世には存在しません。メリットの裏には必ずデメリットがあるものです。 Yahoo!ショッピングへ出店するデメリットとしては次のようなものがあります。リソースが分散される
ショッピングモールで店舗を構えるのにはかなりのエネルギーが要求されます。在庫管理、Webデザイン、セールスライティングなどには多くの時間がかかります。そのため独自ドメインでサイトを運営している企業はもとより、楽天市場やアマゾンなどにも出店している場合は、手間暇が何倍もかかるという最初は見えなかったコストが負担になります。
出店企業同士の競争が過酷
Yahoo!ショッピングは無料化の影響もあり、出店企業数日本一です。確かにたくさんの店舗があるマーケットは活気があり集客力を高める効果がありますが、それは同時に出店企業数が多いのでその中での露出を増やしユーザーに来店してもらうためには一層の努力が求められます。ショッピングモール内での露出を高めるための広告料金が発生する
こうした問題を解決するためにYahoo!ショッピングが販売しているのがショッピングモール内での露出を高めるための広告商品です。これこそがYahoo!ショッピングが出店料を無料にしても成り立つ理由であり、その事業モデルの根幹を成す部分になっています。積極的な企業はここで広告費を払い来店者数を増やし、それが出来ない企業は自らがFacebook、Twitter、Instagram、LINE@等のSNSを活用したり、アメブロやライブドアブログのような無料ブログサービスへの記事投稿、YouTube等の動画投稿サイトへの動画投稿と紹介文からのリンクなどによりYahoo!ショッピング内に出店している自社のお店への集客活動をしなくてはなりません。
Googleで上位表示されにくい
私はSEO(検索エンジン最適化:Google上位表示対策)の仕事をしているので様々な業界のキーワードでどのようなサイトがGoogleで上位表示しているのかを日常的に観察しています。そうした活動をしているといくつか不思議な現象を見ることがよくあります。その一つがYahoo!ショッピングに出店している店舗はGoogleで上位表示されにくいという現象です。
これは楽天市場に出店している企業にもいえますが、どういうわけかモールに出店している店舗のサイトはGoogleで上位表示されにくいのです。
SEOに有利な内部施策の多くのことごとくやぶるような作りになっているのがこうしたモール内のショップです。
例えば、頻繁なシステム変更とURLの変更、タイトルタグにかかれている文言は冗長で絞り込まれていない、メタディスクリプションにはそのページのテーマと関係の無いモール全体のキャッチフレーズなどが自動的に挿入されているなどあってはならないことばかりが繰り広げられているのです。
しかし、さらに不思議なことに楽天市場もYahoo!ショッピングも、モール運営企業が作っているページばかりがGoogleで上位表示するのです。物販系のキーワードで検索すると下図のように楽天市場が1位だけではなく、2位表示しているケースが多数あります。
何故モール運営企業が作っているページばかりがGoogleで上位表示するのかというと情報量の多さが原因です。
出店企業のショップサイトは1つのお店の情報でしかありませんが、モール運営企業が作っているページはそれらのお店複数にリンクを張っておりユーザーにとってより利便性が高いのでGoogleのアルゴリズムはそうしたページを高く評価して順位を高くする傾向があります。
楽天市場出店で成功している企業は必ずYahoo!ショッピングにも出店するのが常識
ショッピングモールへの出店を考えた場合、どのショッピングモールを選ぶかが重要になってきます。EC業界で業績のよい企業を見ているとどれを選ぶからではなくどれから出店するかが重要のようです。 理想的な順番は次のようになります:
STEP1
楽天市場に出店する。楽天の出店費用は確かに高いが、一定の知識を学ぶサポート体制、教育体制が充実しているので楽天市場から始めるのが良いでしょう。
STEP2
たくさんの成功企業が出店している楽天市場で一定の成績を上げることが出来たらそれは一定の実力がついていることを意味します。
ここで初めてYahoo!ショッピングに出店するのが良いでしょう。これまで私が見てきた企業で言うと、楽天市場で月1000万円売れたらその1割から5割、平均3割はYahoo!ショッピングで売れるはずです。
STEP3
店舗を持つことはできませんが、アマゾンもマーケットプレイスという形でアマゾン内で誰でも商品を出品出来るようになっています。楽天市場でも通用する商材を持っていればアマゾンでも一定の売上を上げることは堅いです。アマゾンにも出品すべきです。
ショッピングモールに依存してはならない
最後にどうしても一言付け加えなくてはならないことがあります。それはショッピングモールに依存してはいけないとう点です。ショッピングモールは自己の利益を追い求めます。そのため出店企業に対して出店手数料、月額費用、あるいは広告という形で費用を払うよう求めてきます。
その結果、最初のころはショッピングモール内に出店してもたくさんの利益があったものが、そのうち減っていき経営を圧迫することになります。
利益を取る場所はショッピングモールではなく、独自ドメインの自社サイトです。そこならば誰にもそうしたものは払わなくてもやっていけます。
しかし、独自ドメインの自社サイトには手間暇をかけてSEOを実施したり、SNSでの広報活動、場合によっては検索エンジン会社が販売するリスティング広告をたくさん買う必要があります。
その手間を省いてくれるのがたくさんの見込み客を送客してくれるショッピングモールです。しかしそのコストは結局は誰かがいつか払わなくてはなりません。
ショッピングモールだけでは継続的に利益を出すことは非常に困難です。必ず独自ドメインの自社サイトを持ち、それに対して少なくともSEOとSNSでの広報活動を実施するようにして下さい。
そうすればショッピングモールをきっかけに御社の社名、店名、ブランド名を初めて知った人たちが今度こそGoogleやYahoo!JAPANの検索エンジンで御社の社名、店名、ブランド名で指名検索をしてくれて利益率の高い独自ドメインの自社サイトに来てくれるようになるはずです。
それを実現するためのショッピングモール出店であるのだと認識して下さい。
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