これまで6回にわたりリンクプログラムについて考えてきましたが、今回からはサイトの内部についてのガイドラインについて考えてみましょう。
Googleウェブマスター向けガイドラインには品質に関するガイドラインというものがあり、そこにはSEO対策において用いてはならない手法の数々が書かれています。
その一つ目に「自動的に生成されたコンテンツ」
という項目があります。そこには:
「自動的に生成されたコンテンツ
自動的に生成されたコンテンツ(「自動生成コンテンツ」)とは、プログラムによって生成されたコンテンツのことです。多くの場合、読者にとって意味を持たないが、特定の検索キーワードを含むでたらめな内容の段落で構成されています。
自動生成コンテンツの例としては、次のようなものが挙げられます:
・自動化されたツールで翻訳されたテキストが人間によるチェックや編集を経ず公開されたもの
・マルコフ連鎖などの自動化されたプロセスを通じて生成されたテキスト
・自動化された類義語生成や難読化の手法を使用して生成されたテキスト
・Atom/RSS フィードや検索結果からの無断複製によって生成されたテキスト
・複数のウェブページからのコンテンツに十分な付加価値を加えることなくそれらをつなぎ合わせたり組み合わせたりしたもの」
と書かれています。
コンテンツというのは本来的に人間が他の人間に対して何かメッセージを発するときに作られるものです。
こうした根本的な意味を無視して、Googleという検索エンジンに自分のサイトを高く評価してもらうためだけにたくさんのページを自分のサイトに増やそうという考えがあります。
こうした考えを持っている人が思いつくものに「たくさんのコンテンツを作るのは面倒なのでソフトウェアをつかって自動的に文章を書く」という発想があります。
私はそうした発想を抱く人達にソフトウェアで作られた文章を見せてもらったことが何度かあります。
初期に見た作品はとてもひどいもので、文法的には正しいのですが、ただダラダラと文章がひたすら書かれているだけで何のメッセージ性も無いので二度と読みたくはならない文章でした。
そうした作品は当時何と呼ばれていたかというとワードサラダと呼ばれるもので、サラダにニンジンやセロリ、レタスなどがあるように統一感が無いバラバラな文章という印象でした。
ワードサラダという言葉はそうしたSEO目的の理由で一時期流行った言葉でネット百科辞典のWikipediaでは次のような非常に辛辣な解説がされています。
「検索エンジンの検索結果やウェブログ、迷惑メールに多く見られる。 統合失調症の患者にみられる言語障害(Word salad、言葉のサラダ)に似ていることから、この名がつけられた。
検索エンジンやメールのスパムフィルタを回避して、閲覧者を特定のウェブサイトに誘導することを目的としている。 誘導先のサイトは、アドセンスやアフィリエイト収益のみを目的としたサイトや、アダルト・違法サイト、閲覧者をウィルスに感染させることを目的としたサイトが多い。
過去に著名人や企業が保有しており、所有権が失効したドメインを悪用したケースも存在する。
こうしたワードサラダレベルのガラクタが今日のGoogle上位表示に何らかのプラスになるかというとプラスどころかマイナスになります。
当然自社サイトにこうしたガラクタコンテンツを載せることはサイトの品質のガイドラインに触れるのでペナルティーの原因になります。
自社サイトの中ではなく、自社サイトの検索順位を上げるために作る衛星サイトに載せるのも危険です。
そのようなことがGoogleにばれれば手動によるリンクに対するペナルティーが与えられてしまい、そうしたワードサラダのサイトまたはブログからのリンクを削除するまで検索順位は復旧できません。
それでは自動的に生成されたコンテンツはネットから消滅したのでしょうか?
そのようなことはありません。今日では洗練されたものが未だ残っています。どのように洗練されたかというと高度なプログラムを使って自動的に人間が書いたような文章が作られ、それがサイトやブログに張り付けられているのです。
私はそうしたソフトを何度も売り込まれたことがありました。正直Googleが品質に関するガイドラインを口だけでなく、実際に高度なソフトで解析したり、数万人のサーチクオリティーチームを雇い徹底的に守らせる体制を整えた2012年前には関心したことはあります。
しかし、どう見ても長持ちするテクニックとは思えないのと何やら不気味な感じがしたので手を出さずにすみました。
もしそうしたものに手を染めたらうまくいっているときはいいでしょうが、うまくいかなくなったときに自分や他人に多大な迷惑を与えていたはずです。
こうした類のものは一切購入してはなりません。どんなに高品質なワードサラダでもGoogleは人工知能の技術を持つ会社を何社も買収するような会社です。必ず突き止めてペナルティーを与えると思ったほうが良いです。
この話はここで終わりではありません。
次の話が重要です。
それはソフトウェアでGoogleを騙せなかったら人間を安く雇って質が低い記事を書かせようとする考えです。
客観的にみて読める文章ならそうした記事作成代行に頼むのは良いことだとおもいます。
しかし、客観的にみて何のリサーチもせず、知識も無くただお金のためだけに誰も見たくもないような記事ではだめです。
記事作成依頼するときは読み手である見込み客に少しでもプラスになる情報、または読んで損はなかったという文章を書いてもらうように制作の意図や細かな指示をする必要があります。
そうしたスタンスで外注している方のサイトはきちんと上位表示しています。しかし、完全に丸投げでとにかく何でも良いので記事を書いてくれというレベルではいくら自動ではなく、人間が書いた文章であってもGoogleは見抜きます。
どうやってみるのかというとはっきりと言えるものとしては「離脱率」という数値です。
Googleのアクセス解析ソフトのGoogleアナリティクスやその他アクセス解析ログには離脱率という項目があります。
特定のページをネットユーザーが見たけど次のページに進まずにブラウザーの戻るボタンで戻ってしまうというを離脱と言います。そうした率が高いと離脱率が高いと言われます。
離脱率が高いページをGoogleはどのように見抜くかというとクッキー技術によって見抜きます。クッキーはGoogleを使うユーザーのブラウザーにダウンロードされてそのユーザーの行動を記録してGoogleに定期的に送信します。そして送信された情報をGoogleは解析してどのドメインのどのページの離脱が多いかを把握するのです。
そしてそれがそのウェブページの検索順位に影響を及ぼします。
ですので、いくら見たくれが良いページでも素直なネットユーザーは離脱するか離脱しないかという一種の投票行為をするのです。
これは現在の話ですが、将来はどうなるのでしょうか?
ここで気になるニュース記事が最近の雑誌に載っていました。
それは「グーグルなどが買収合戦 米ITが人工知能に夢中な理由」という記事です。
「 Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)といった米国の大手IT(情報技術)企業が相次ぎ人工知能(AI)関連の研究開発強化に乗り出している。米Qualcomm(クアルコム)などによる、神経回路を模したチップの開発も活発だ。
コンピューターの性能向上に加えて機械学習技術のブレークスルーが、一時期下火になった研究意欲を再びかき立てている。業界動向に詳しいKDDI総研リサーチ・フェローの小林雅一氏が、実用化などの最新事情を報告する。 」(日経エレクトロニクス編集部)
将来コンピューターの能力が人間の能力を超えるという予測がされてきました。
こうした記事を読むと着々とクラウド大手のGoogleやFacebook等の企業がそうした未来に向けて投資を実際にしていることがわかります。
これまで見てきたようなワードサラダ、少し賢いソフトが作る一見まともに見える離脱率の高いページ、ただ書かなくてはならないので書いた見たくれだけの人が書いた文章・・・現実はもはやそうしたレベルを超えていることがこうした報道から読み取れます。
SEO対策で成功するために絶対に持ってはいけない態度、それは:
(1)ソフトは人間以下でしかないので簡単に騙せる
(2)機械的にコンテンツを作れば上位表示が出来るはずだ
という態度です。
一刻も早くこうした態度を捨て去り、企業として正々堂々とGoogleの要求をかなえて見せることです。
しかし、一人だけで戦うよりも力を合わせて戦った方がより勝率は高まるはずです。
これからも、自分の力に溺れるのではなく、いったん冷静にGoogleがガイドラインを通じてどのような要求を発しているか、そしてそれを満たすために企業として体制を再構築することです。
それが出来た時にどのような明るい未来が御社のもとに来るのか?
それはきっとユーザーが求めるコンテンツを作る実力を個人としても、企業としても持っているという未来のはずです。
こうした態度こそが、Googleという結局は単なるソフトウェアを超える人間になるチャンスを得る原動力になるはずです。