SEO用語解説 - D
Webが始まったころのトップページはどんなデザインが主流だったのか?
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2022年4月3日
現在多くの企業や機関、個人がWebサイトを開設していますが、SEOの勉強をしている方の中には、Webが始まった当初のデザインについて興味のある方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、「Webが始まったころのトップページデザイン」について解説していきます。
Webが始まったころのトップページデザインはどんなもの?
Webが始まったころのトップページデザインは、今とは異なり装飾がほとんどなくシンプルな画像とテキスト、テキストリンクが中心のインデックスとして作られたページでした。
インデックスというのは何かと言うと、「索引」という意味です。
分厚い学術書や専門書を購入すると、表紙に目次、そのあとに前書きがあり、続いてボディ=本文があります。そして本の一番後ろの方に「インデックス」=「索引」があり、日本では、あいうえお順もしくは50 音順で並べ替えられて整理されています。
このようにどのページが何処にあるかが瞬時に分かる、すぐにアクセス出来るようなものが「インデックス」で、大昔の WWW の世界ではトップページ・表紙のページは、インデックスだったのです。
そのため今でもいろいろなサイトのトップページを作ろうというときには、大概 index.html や index.phpを使っています。
例えば全日本 SEO 協会のセミナーサイトも、トップページは index.html にしています。
昔のトップページの典型は「慶應義塾大学」のトップページ
私がいろいろなところでお見せする昔のトップページの典型は、慶応義塾大学のトップページです。
慶応大学のトップページにはとても長い伝統があり、私の記憶が正しければ 1997 年か 1996 年から存在していたと思います。
慶應大学のトップページに長い伝統がある理由は、慶応大学が日本でインターネットを推進した団体や企業の 1 つだからです。
実際今でも、慶応大学の湘南キャンパスといえばインターネットの世界で活躍する優秀な人材を輩出しており、慶応大学が日本のインターネットを牽引していることがわかります。
世界を相手に発信しようとする気概
それでは改めてトップページを見ていきましょう。
昔よくあったのは、「何処どこへようこそ!」と書いているものでした。いろいろな企業がこういうものを真似して、「株式会社○○ホームページへようこそ!」などと書いていたものです。
最近はそういうものは無くなりましたが、慶応大学はさすがです。当時からオリジナルの立派なヘッダーの画像があったことがわかります。
また当時は日本で Web を見ている人ではなく、世界の人相手に Web ページを作って発信しようとするのがほとんどの人の気概・プライドだったため、「イングリッシュページズヒア」を作るのも常識でした。
最近は、こうしたものを排除してしまっている企業がほとんどで、ずいぶん変わってきています。
また「注意書きなどをお読みください」などと書いてあるものもあり、これは今時で言うと、「初めての方へ」などと同じだと考えられます。
そして慶応義塾大学の総合案内へのリンクに、文学部や経済学部、法学部など各学部のサブページ、詳細ページへのリンクがあります。
インターネットアーカイブを見てみよう
ここまで読んでくださった方の中には、「何故当時の画像を持っているのか?」と不思議に思われた方もいるかもしれません。少し本筋と逸れますが、実はこうした過去のサイトを見れるおすすめの面白いサービスがあるのです。
それは「インターネットアーカイブ」というサイトの中にある「ウェイバックマシーン」で、タイムマシーンのようなものです。
ここに調べたいアドレスを入れてボタンを押すと、過去のそのサイトを丸ごとダウンロードしたものが全部アーカイブ化されて出てくる仕組みになっています。
参考になる国立国会図書館
インターネットアーカイブはすごいサイトなので、見てみましょう。
「インターネットアーカイブ」と入力し、検索すると出てきます。
検索結果の上位に国立国会図書館のドメインも出てくるため、インターネットアーカイブで検索した人が国立図書館のWebサイトへ行くこともありそうです。
有名なところを紹介するページを作っておくと、いろいろな人が立ち寄ってくれ、そこを踏み台にして別のリンクもクリックしてくれるので、アクセス数を増やすのにはこのやり方も良いですね。
Webサイトを作る際には、参考にしたいところです。
インターネットアーカイブを運営している団体は?
これが「インターネットアーカイブ」(https://archive.org)です。
.org は、公共的な性質のある財団法人などが持つドメインなので、ここも財団法人だということがわかります。
インターネットのパイオニア的企業などが関わっている組織で、ここが何らかの目的で全世界の基本全ページを保存しようという計画を実行しているのです。
そのため比較的人気のあるサイトや各業界でトップクラスのWebサイトなら、昔の Web ページのほとんどがここにアーカイブ化されています。
楽天市場の過去のデザインは?
参考に、楽天市場(www.rakuten.co.jp)を見てみましょう。
楽天市場は昔どんなデザインだったのかを知りたい場合には、WayBackmachine にアドレスを入れてEnterボタンを押してください。
すると、そのサイトがいつ生まれたかというのが大体分かります。
このブログを読んでくださっている方の中には、SEOをやっていて「うちのライバルサイトはいつ頃サイトを作ったのか?」、「当時はどんなデザインだったのか?」、「どのくらい更新しているのか?」と気になったことのある方もいるのではないでしょうか。
そんなライバルを偵察したいときにも、インターネットアーカイブは大きく貢献してくれます。
では、楽天の過去のWebサイトを見てみましょう。楽天は、1996 年からWebサイトを公開しています。しかし96年のものはちょっと見ることができないので、1997年のものを紹介します。
この97年のものが、現在アクセスできる中で一番古い楽天市場のページだと言えるでしょう。
結構時間はかかりますが、恐らく記録テープに収録したデータが引き出され、解凍されることでアーカイブを見ることができるようになっています。
これが当時の楽天市場のトップページですが、当時の慶応大学と似ていることがわかると思います。シンプルな画像が控えめにあって、ほとんどがリンクになっています。
おそらく当時の楽天さんは、これを楽天に出店している企業のインデックスと考えていたのでしょう。
このインターネットアーカイブが面白いのは、過去のサイトが見れることだけではありません。クリックすると、リンク先まで生きているのです。
これが当時の日本でパイオニア的存在だったネットショップのサイトです。当時から、Web上でサプリメントが売られていたことがわかります。
まとめ:トップページは目次形・インデックス形が良い
今回私がお伝えしたかったのは、インデックスページと言われているトップページに、イメージ的なものをただ載せたり、長い文章だけを載せて終わらないようにして欲しいということです。
必ずトップページに来た人がそこを起点にして、いろいろな情報にとべるよう、ユーザーが知りたがりそうなページのリンクをたくさん貼るようにしてください。
そうすることで、必然的に索引のような作りの目次形のページを作ることができ、順位が上がりやすくなります。
今後SEOの深い話はブログで説明していく予定ですが、まず今の段階でSEO4級を受けたい、合格したい、またはその知識レベルに到達して成果を上げたいという方は、トップページは目次形・インデックス形が良いということを記憶に留めてください。
そうすることで、その後いろいろな時に素早く正しい行動が出来るようになってくるはずです。