SEO用語解説 - C
検索順位はどうやって算定されるのか?その根本の仕組み
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2023年3月7日
Webサイトを運営していると、Googleがどのように検索順位を決めているのか、その仕組みが知りたいと思うこともあるでしょう。
そこで今回は、検索順位が算定される仕組みについて解説していきます。
検索順位はどのように算定されるの?
Googleでは、クローラーロボットがリンクを辿って、Webページの情報を収集し、クエリ(キーワード)ごとにインデックスデータベースを作っています。
そしてこのGoogleのインデックスデータベースにインデックスされた情報を、Googleが設計した200以上のアルゴリズムが情報を解析します。そして検索キーワードごとにWebページのランク付けをすることで、実際の検索順位に反映されるようになっているのです。
検索順位を決めるアルゴリズム
情報を解析し、検索キーワードごとにWebページをランク付けするアルゴリズムとは、一体何なのでしょうか?
アルゴリズムとは、ある目的を達成するためのプログラムの処理手順のことです。SEOにおいては、「検索エンジンロジック」などといわれ検索順位の算定方法を意味しています。
ここで覚えてほしいことは、「アルゴリズム」がSEO の世界では「検索順位の算定方式」ということです。
つまり、「検索順位の決め方そのもの」なのです。
アルゴリズムの本質は条件式
それでは、具体的に説明していきます。
通常、プログラミングにおいてアルゴリズムは、「もしもこれが10以下だと何点」や「もしもこのことが10未満だと何点」、あるいは「もしも、何かが有ると 1 点、無ければ 0 点」というように、「条件式」になっています。
長年、私はGoogleのアルゴリズムを研究するなかで、Googleのようなアルゴリズムを作れば良いのではないかと考え、SEO VISIONというソフトを制作しました。
これは、Googleのアルゴリズムを推測して作ったソフトです。全日本SEO協会独自のGoogleのコピーのような形で、Webサイトの様々な要因をスコアリングするソフトです。
例えば「交通事故 弁護士」という言葉を入れ、調査開始というボタンを押すと、Googleの検索サイトの1位から20位までのさまざまな項目のスコアが出てきます。
検索順位もGoogleの本当の検索順位と同じで、上の図のように表示されます。
開発するにあたって、まず、私が考えたのが、アルゴリズムの元となるアイデアです。アルゴリズムには色々な意味がありますが、先にも書いたように、一般的には「プログラマーが条件式などに基づいてコードを書くこと」というイメージを持たれていると思います。
しかし実際には、誰かが「もしこれがこうならこう・・・」、「そうじゃない場合はこう・・・」といった条件を考えなくてはなりません。
この部分が、アルゴリズムの本質なのです。
具体例で解説
下の図は、私がこのソフト開発するときに、開発者のプログラマーに伝えた仕様書です。
これが、Googleのアルゴリズムの本質に近いと思われるものです。
ここでは、前のページの資料SEO VISIONの中のテキストスコアを用いて解説します。
2位のサイトは、テキストスコアが80点、3位のサイトは70点、4位が80点、5位が60点というように点数がついています。
この根拠は私が決めたのですが、スコアは100点満点で、文字数のスコアとALTのスコア、そしてテキストリンクスコアという3つの合計点で出しています。
※ALT 属性(オルト属性)とは、画像の代わりとなるテキスト情報のこと
その内の1つである文字数のスコアは、100点満点中50点を占めています。
実際にスコアがどうやって決まるのかを説明していきます。
例えばこのソフトが分析した Web ページの文章が、500文字未満の場合、持ち点50点からマイナス50点。600文字から699文字であれば、持ち点50点からマイナス40点というように、日本語で条件を指定してあります。
これが、私の知る限り、アルゴリズムの根本的な部分です。
この後は、熟練したWeb開発者のプログラマーが仕様書の通りに動くように、もしくはスコアリングできるようにプログラミングしてくれます。
おそらく、Googleも似たようなことをやっていると思われます。
外部的な要因を分析するソフト
SEO VISIONのページに表示されているスコアは、Webページの内部の要因しか載っていませんが、検索順位のアルゴリズムには、Webページの内部を分析するだけでなく、外部的な要因を分析するものもあると考えられます。
それを実現するために、もうひとつ「SEOスコープ」というソフトを開発しました。
このSEOスコープを使うと、今度は「トラフィック=サイトのアクセス数」が多い場合に、トラフィック総合スコアの得点が高くなるように設定されています。
※トラフィック=ネットワーク上でやりとりされるデータ量のこと
他には、サイトへの滞在時間が長いか、直帰率が低いかといったユーザーの行動をスコアリングしたものがエンゲージメント総合スコアで、このサイトの場合は100点満点中15点になっています。
※エンゲージメント=ユーザーがコンテンツに抱く愛着の度合いのこと
また、多くの外部サイトや、質が高いサイトからリンクされていると、被リンク総合スコアが高くなるようにしています。これらは全て私が「Googleだったらこうして計算しているだろう」という推測を元にアルゴリズムを考えてプログラマーがプログラミングすることにより実現しているのです。
※被リンク=外部のサイトから自分のサイトにリンクを設定してもらうこと
検索順位の決定に偶然はない
今回、なぜこれを皆さんに紹介しているかというと、「Googleがどうやって検索順位を決めているのか?」という具体的なイメージを持っていただきたいからです。
実際、Googleは200以上のアルゴリズムによってスコアリングしていると言われています。私が考えたのは40個ぐらいですから、Googleがこれら以外に、160個以上の高度なアルゴリズムで、Webサイトの値打ちを評価していることがわかります。
Googleは、Webサイトの値打ちが高いと検索順位が上がり、値打ちが低いと下がるという評価基準を、一流のプログラマーを採用して開発しているのです。
そのため、検索順位の決定に偶然はありません。すべてが誰かがどこかで明確な意思を持って「この要因がこれ以上だと何点」、「これ以下だと何点」、「ここからここまでだと何点」というように強い意志をもって決めているのです。
そして、それによって Web サイトの値打ちが決まるのです。
人間をアルゴリズムで評価する時代
ちょっとSEOの話とは離れますが、アルゴリズムに関する有名な話を紹介していきます。
以前Newsweekの日本語版に掲載された内容ですが、「14 億人を格付けする中国の社会信用システム、本格始動へ準備」と報道されています。
比較的有名なニュースとしては、中国では至る所に監視カメラがあり、誰がどこにいるのか知りたい場合には、少し検索するだけで数分以内に所在がわかったり、人が良い行動、良い振る舞いをしていると点数が高くなり、悪い事ばかりしていると点数が下がるシステムを採用しているそうです。
例えば、私が最近聞いた中国のアルゴリズムでは、保護者が使い捨てのオムツを頻繁に買っていると信用スコアが高くなるそうです。
それは、その行為が「子供の面倒を見ているだろう」という評価に繋がるからで、逆に、愛情があまりなく、子供にエネルギーをかけない保護者なら、オムツを買わないだろうという考えに基づいています。
私たちがAmazonでモノを買う時に、変なものばかり買っているとスコアが下がり、社会的に良いものを多く買っていると評価が上がる、ということに将来なるかもしれません。
ひどい場合になると、信用スコアが非常に低い人は遠くに行けなくなるそうで、長距離列車に乗ろうとしても拒否されて乗れなかったり、外国に行けなかったりするそうです。
このように、ある意味ちょっと怖い話でもあるのですが、世界の近未来的なことを実現化しているのが中国だと言われています。
そして、日本やアメリカ、ヨーロッパでも人間の行動は徐々にログに蓄積されています。その結果、将来色々なアルゴリズムによって評価される可能性があるのです。
Webサイトだけでなく、人間も色々なアルゴリズムによってふるいにかけられ、評価されているわけです。
いずれにせよ、「ビッグデータ」や IoT、いろんな電子機器や家電が全てコンピューターでネットワーク化されているのは、確かに便利ではありますが、そこには色々なアルゴリズムが働いており、様々なものや人が評価されることは覚えておいた方が良いでしょう。
そして評価されるということは順位が決まるということでもあり、その順位や評価は簡単なことでは覆らず、本人が努力をしない限り改善はされないのです。
まとめ:良質なコンテンツを提供しよう
Webサイトの品質は、Googleという一流企業により絶えずチェックされています。そのため、検索順位を上げたいと思うなら、自分のサイトのスコアを上げる必要があります。そしてそのスコアは、いつもアルゴリズムによって決められているのです。
小手先のトリックや騙しのテクニックが通用したのは、20世紀までの古い話です。このブログを読んでくださっている方は、ぜひ検索ユーザーや情報を欲してる方たちのために、良質なコンテンツを提供してください。