SEO用語解説 - D
キーワードスパムの危険性
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2021年10月11日
キーワードスパムという不正行為をしているために多くのサイトの検索順位が本来の順位よりも低くなってしまっています。
キーワードスパムとは自社サイトを上位表示させるためにページ内に上位表示を目指すキーワードをたくさん書いて詰め込むことを言います。
Googleはどのような行為をキーワードスパムとして認識するのかを知る上で役立つ情報が公開されています。
それはGoogleの公式サイト内にある「品質に関するガイドライン」というサイトにある「無関係なキーワード」という項目です。
《出典》「無関係なキーワード」https://developers.google.com/search/docs/advanced/guidelines/irrelevant-keywords?hl=ja
この項目では、キーワードスパムを避けるための重要なヒントを得ることが出来ます。
このアドバイスの中で重要なポイントは・・・
- 検索で上位表示をするためにウェブページにキーワードや数字を詰め込むことは「キーワードの乱用」である
- 「キーワードの乱用」をしたページはユーザーの利便性が低下するのでサイトのランキングに悪影響を与える
- キーワードは文脈に合うように使用しなければならない
という3つです。
ページの品質を厳しくチェックするアルゴリズムである「パンダアップデート」が実施され始めた2011年以降、ここに書かれていることが現実化するようになりました。
パンダアップデートが実施された2011年から直近の重要アルゴリズムであるコアアップデートが実施された2018年直前までにかけてはキーワードの記述が少ないページにキーワードを意図的に増やすと上位表示されやすい傾向がありました。
そのため、1つのWebページのソース内にキーワードを一定比率まで増やすという「キーワード出現頻度」の調整を私も過去、書籍やセミナーで度々解説し、推奨していました。
しかし今日では、検索で上位表示するためにページ内にキーワードを意図的に詰め込むことは上位表示に貢献するどころか、マイナス作用を及ぼし検索順位を落とすリスクが生じるようになりました。
この流れに対応するため最近ではキーワード出現頻度を高めることを推奨することはしなくなりました。
キーワード出現頻度とは、特定のページのソース内に書かれている単語の総数のうち、各単語が全体の何パーセント書かれているかの比率をパーセントで表現するものです。キーワード出現頻度の公式は、次のようになります。
以前のSEO対策では、ページ内にはそのページの目標キーワードを4%~6%記述すべきだと私は推奨してきましたが、今日ではこの手法は推奨していません。
上位表示しやすいキーワード出現頻度には絶対的な不変の数値というものがなくなったからです。Googleが2018年から実施をはじめたコアアップ デート以前にはある程度の理想値がありました。しかし、Googleのアルゴリズムが洗練されるにつれて、サイトの種類や、目標キーワードによって異なるようになりました。
上位表示をするための理想的なキーワードを出現頻度は目標キーワードや業種、サイトの種類によって異なるようになりました。
例えば次の図は内部調査ツールのSEOヴィジョンで「脱毛」というクエリで検索したときのGoogle上位10ページのデータです。
検索上位10ページの「脱毛」のキーワード出現頻度はそれぞれ・・・
1位 3.36%
2位 2.95%
3位 2.51%
4位 4.69%
5位 3.61%
6位 1.56%
7位 3.05%
8位 2.93%
9位 2.78%
10位 2.03%
となっており、最も多いのが2%台後半です。
ということは「脱毛」という目標キーワードで上位表示をしたい自分のページの「脱毛」のキーワード出現頻度の理想は2%台後半だということになります。
ただし、やみくもに脱毛という言葉をページ内に増やしてはいけません。
何故ならGoogleはこの公式情報の中で「(3)キーワードは文脈に合うように使用しなければならない」と述べているからです。
Googleはこの公式情報の中でとても具体的に・・・
と言っています。
この例では、「カスタムメイド葉巻ケース」というキーワードを4回もたった3行の文章の中に繰り返し書いています。
このようなしつこい書き方をしなくても・・・
「当店では、カスタムメイド葉巻ケースを販売しています。当店の商品は手作りです。購入をお考えでしたら、当店のカスタムメイド葉巻ケース スペシャリストまで custom.cigar.humidors@example.com 宛てにお問い合わせください。」
というように書けば「カスタムメイド葉巻ケース」というキーワードは2回だけになり文章としての不自然さを解消することが出来ます。
Googleは他にも次のようなアドバイスをしています:
- ページ内に電話番号を羅列してもその文字コンテンツには付加価値は無い
- 特定の地域名で上位表示をするためにページ内に市町村区名や都道府県名を羅列しても上位表示は出来なく、それをすると上位表示にマイナスになる恐れすらある
という2点です。
- ページ内に電話番号を羅列してもその文字コンテンツには付加価値は無い
→ これはページ内の文字数が少ない場合、その企業の電話番号や関係する企業の電話番号をたくさん記述してもそのページの文字コンテンツとしては評価しないということです。
電話番号は人類共通の情報であり、誰もが使うことが出来るもので独自性があるコンテンツではありません。
Googleが評価する文字コンテンツは基本的に他のページには書かれていないそのページ独自の文字コンテンツだけです。
また、ここには書かれていませんが、Googleが評価しない文字コンテンツは電話番号だけでなく、住所もかもしれません。
住所も誰かが独自で考えその人だけが使える情報ではなく、人類共通のものであり政府や役所から与えられた記号のようなものだからです。
サイト運営者やページの著者が自分の経験、活動や研究に基づいた情報が独自コンテンツです。上位表示を目指すページはこうした独自コンテンツばかりにしなくてはなりません。
- 特定の地域名で上位表示をするためにページ内に市町村区名や都道府県名を羅列しても上位表示は出来なく、それをすると上位表示にマイナスになる恐れすらある
→ これも以前は上位表示に一定の効果があったもので、現在では効果が無いか、逆効果になりやすいものです。
むかし流行った手法として特定のページを例えば「脱毛 大阪」で上位表示するために大阪という言葉を無理やり10回だとか、20回だとか、ページの至るところに書き込むというものがありました。
この手法も直近の重要アルゴリズムであるコアアップデートが実施された2018年直前くらいまでは一定の効果がありましたが今では順位を落としてしまう逆効果になる手法です。
1つのページに無理やり地域名を詰め込んで不自然なコンテンツを作ってはなりません。
現在のGoogleはそのように地域名をページ内に詰め込まなくてもGoogleマイビジネスに登録された事業者の住所を参考にしているのでその事業者の事業所がどこにあるのかをはっきりと認識するようになっています。
以上が、Googleの公式サイトにある「無関係なキーワード」というページで解説されている「キーワードの乱用」という問題の意味です。
キーワードをたくさん書き込むことによって上位表示していた時代からSEOをしている方で、最近検索順位が上がらない、以前と比べて順位がかなり落ちているという方は、その原因がキーワードの乱用である可能性が高いです。
ご自分のサイトにある1つ1つのページを点検してキーワード出現頻度を高めたページを探し、上位表示をしている競合サイトと比べて出現頻度が高いページが見つかったら彼らのページと同じ程度の出現頻度まで下げるようにしてください。
今後もGoogleはかつて上位表示効果のあった手法が順位ダウンの原因になるようなアルゴリズムアップデートをする可能性があります。
こうした変化を見落とすことが無いようGoogleの動向に注目することを続けることと、いつでも過去のやり方をやめて新しいやり方にスイッチ出来る柔軟性が求められます。