SEO用語解説 - M
モバイル版Googleで上位表示するための重要ポイントは?
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2022年3月9日
今日のWeb環境では、スマートフォンでアクセスするユーザーがほとんどを占めています。Googleも、モバイルユーザーがどのようなサイトにアクセスしているのかを詳しく解析していると考えられます。
そのため、モバイルユーザーを意識したSEOは必要不可欠であるといえるでしょう。
モバイル版Googleで上位表示することがSEOには必要不可欠
従来、Googleのアルゴリズムでは、PC版とモバイル版Googleの順位は基本的には同じでした。
モバイル対応が進んでいると少しだけ検索順位が上がるようになっていましたが、順位を決定するためのデータは全てPC版Googleをもとにしていたのです。
しかし、2018年にGoogleはモバイルファーストインデックスアップデートという新しいアルゴリズムアップデートを実施しました。モバイル版Googleの検索順位に基づいてPC版の検索順位も決めるという、モバイルファーストの方針に切り替えられたのです。
そのため、現在においては、モバイルサイトの方からSEOをする必要があります。
そして、上位表示されるため最も重要な要因が、モバイルユーザーのトラフィック(サイトへのアクセス数)があるかです。
では、モバイルユーザーのトラフィックについて詳しく説明していきます。
トラフィックとは?
トラフィックとは、Webサイトのアクセス数のことを言います。直訳すると、交通量という意味になりますが、サイトやページ間を行き来する閲覧者の流れを指す言葉です。
モバイルユーザーのトラフィックが多ければ多いほど、Googleからはモバイルユーザーが見たいサイトであると判断され、上位表示されやすくなる傾向があります。
人気のあるサイトかどうかを判断するためには、実際のモバイルユーザーの目に触れているかどうかが重要です。
ただ、スマートフォンで見ているユーザーは必ずしもスマートフォンユーザーとは限らないのです。
例えば、全く人気のないモバイルサイトがあったとして、ほとんどのスマートフォンユーザーが見てくれていないとします。しかし、実際にはサイト開発者がパソコンでモバイルサイトを閲覧している可能性もあるわけなのです。
このようなアクセスは客観的に人気があることを証明するものではありません。
そのため、スマートフォンユーザーが実際にモバイルサイトを閲覧したことを客観的に示すものが必要となるのです。
私たちのサイトにおいても、アクセス解析を導入し、どのような属性の人たちが見に来ているか、どのページに人気があるのかということを見ているでしょう。
Googleが公表しているわけではありませんので推測に過ぎませんが、Google社も同じように自社の検索サイトであるGoogleのアクセス解析を行っているはずなのです。
つまり、Googleに設置されているアクセス解析ログを見ることで、アクセスしているデバイスの種類や環境が分かる仕組みになっているといえます。
具体的には、
- 閲覧者の情報(プロバイダー名、ユーザーID)
- 閲覧時間
- 閲覧した場所(東京、大阪、神奈川・・・etc)
- 使用したデバイス(Windows、Mac)
- 使用したブラウザとバージョン(Chrome、Safari、Microsoft edge・・・etc)
と、詳しい情報を知ることができるようになっていると考えられます。
このように、Googleはモバイルユーザーの属性を把握し、トラフィック数が多いかどうかで、人気のあるサイトかどうかを判断しているのです。
このことはGoogleが提供しているGoogleアナリティクスの画面を見ると明らかです。
下のスクリーンショットはGoogleアナリティクスにある「ブラウザと OS」と「デバイス」の画面です。
ご覧のようにGoogleがどれほど細かくモバイルユーザーが使っているブラウザやデバイスの種類を把握しているのかがわかります。
モバイルユーザーのトラフィックを増やすためには?
では、どのような条件が揃えば、モバイルユーザーのトラフィックを増やすことができるのでしょうか。重要な条件は多数ありますが、中でも非常に重要な条件であるのが「サイトの軽さ」と「全ページのモバイル対応」であるといえます。
サイトの軽さ
上記の画像は、PCブラウザから楽天市場のモバイル版ページを開いたものです。
スマートフォンから楽天市場にアクセスすると、このような表示になっています。
実際にスマートフォンから接続しようとした時に、ページ内の画像や様々なパーツの容量が重いと、スムーズに表示されません。
サイトを閲覧するのに手間取ってしまうこととなるため、ユーザーはもう一度見たいとは思わなくなってしまうでしょう。
そのため、モバイル化の第一条件は全ページを軽くし、表示速度を早くすることだといえます。
ページの表示速度を客観的に測定するツールをGoogleは無償で公開しています。「PageSpeed Insights」というツールです。このツールを使って自サイトの表示速度の客観的数値を測定し、速度を向上させる手がかりを得るようにして下さい。
全ページのモバイル対応
モバイルユーザーのトラフィックを増やすために大切な条件の2点目は、全ページのモバイル対応です。トップページだけではなく、Webサイト内の全ページをモバイル対応する必要があります。
例えば、上記のトップページからトウモロコシの商品ページを見てみましょう。
このように、スマートフォンでも見やすい形で表示されています。
しかし、仮にこのページがモバイル対応をしておらず、PC版のページが縮小されて表示されるのでは、ユーザーは使いづらさを感じてしまうでしょう。
そのため、全てのページをスマートフォンでも見やすい状態に設定しておくことが重要になります。それによりスマートフォンユーザーのユーザー体験が向上し、Googleからの評価が高まるようになります。
検索順位に大きく影響しない要因
モバイルユーザーのトラフィックの他にも、被リンク数やコンテンツニーズ、ソーシャルメディア利用率など、検索順位に影響しそうな要因は存在します。
ただ、これらの要因だけでは決まりません。その理由について説明します。
モバイルユーザーの被リンク数
被リンクとは、自分のWebサイトが他のWebサイトで紹介されるためのリンクのことです。
他のWebサイトでリンクが張られるほど有益な情報を提供していることを示す、有益性の指標となることがあります。
モバイルユーザーが他のサイトに張られたリンクから、自分のWebサイトにアクセスした数をモバイルユーザーの被リンク閲覧数と呼びます。
ただ、被リンクだけでは検索順位が決まりません。コンテンツが他者から有用だと評価され、リンクがされたような質の良いものばかりとは限りません。そのため、モバイルユーザーの被リンク閲覧数が多ければ多いほど検索順位が上がるということはないと考えられます。
コンテンツニーズ
スマートフォンからアクセスするユーザーが多ければ多いほど、Googleはニーズのあるコンテンツだと認識し、検索順位が上がる仕組みになっていると考えられます。
Googleはコンテンツの内容まで検討してニーズを把握し、検索順位を決めているように思われるかもしれません。
ただ、Googleの技術者がプログラミングによってニーズがあるかどうかを直接的に判断することはかなり難しいでしょう。そのため、Googleはコンテンツのニーズがあるかどうかについて、間接的に調べていると思われます。
それは:
- 検索結果ページ上に表示される各ページのリンクのクリック数とクリック率
- 検索結果ページ上に表示される各ページのリンクをクリックしたユーザーが検索結果ページに戻ってくるまでの時間を測定する
という2つの方法です。
人気のある、つまりニーズのあるコンテンツならば検索結果上でのクリック率は高いははずです。
また、検索結果ページ上に表示される各ページのリンクをクリックしたユーザーが検索結果ページに戻ってくるまでの時間(推定サイト滞在時間)が長ければ、ユーザーのニーズを満たすコンテンツがあったということになるでしょう。反対にその時間が短ければユーザーのニーズを満たせなかった期待はずれのコンテンツだったと判断することが可能でしょう。
前述したように、モバイルユーザーのトラフィックからニーズの有無をこれらの手段により間接的に調査していると考えられるので、いかにモバイルユーザーに見てもらいやすいコンテンツにするかが重要です。
ソーシャルメディア利用率
ソーシャルメディアとは、ユーザーが自分の情報を書き込むことができるようなメディアを指します。広い意味では、Yahoo!知恵袋や教えてgoo!のような質問掲示板や、LINE公式アカウントやTwitter、InstagramなどのSNSが含まれます。
モバイルユーザーのソーシャルメディア利用率が多ければ多いだけ検索順位が上がるということもありません。ソーシャルメディア利用率以外にも様々な要因があります。
しかし、モバイルユーザーの多くがソーシャルメディアを使う中で、自社サイトのトラフィックを増やす手段としてソーシャルメディアを活用し、そこから自社サイトにリンクを張ることは有効だと考えられます。
そのため、各種ソーシャルメディアを使い、自社の情報を発信することがモバイルSEOの成功を助けることになるはずです。
PCブラウザからモバイル版サイトを確認する方法
モバイルサイトのSEOを最優先にすることが大事であることを説明してきました。
では最後に、PCのブラウザから、スマートフォンサイトを確認してみましょう。
今回は、Firefoxを使用してスマートフォンサイトを確認します。
右上のメニューボタンをクリックし、『ウェブ開発』を選択します。
次に、『レスポンシブデザインモード』を選択すると、スマートフォンの閲覧モードに切り替わります。
楽天市場のモバイル版を開いてみました。スマートフォンからアクセスすると、このような表示となっています。
他のブラウザからPC版のサイトを開くと、モバイル版と見比べることができるようになります。スマートフォン用のページがどのようになっているのかを、PCブラウザから確認する際にぜひ使用してみてください。
この他にも、サイト全体のモバイル対応の進捗を確認するとともに、モバイル対応の不具合を発見するツールがあります。
Googleが無償で提供しているサーチコンソールにある「モバイル ユーザビリティ」というツールです。
このツールを使うと自分のサイトのどのページがモバイル対応されていないか、あるいはモバイル対応上の不具合があるかがわかるだけでなく、不具合をどのように修正すべきかのアドバイスも見ることが出来るのでとても便利です。
まとめ:モバイルユーザーにとって最高のユーザー体験となるコンテンツを目指しましょう
スマートフォンを利用してアクセスする人が多くの割合を占めるため、モバイルユーザーにとって使いやすいWebサイトにすることが上位表示に繋がります。
- 2018年以降、Googleのアルゴリズムがモバイル版Googleの検索順位に基づいてPC版の順位も決定されている。今日のSEOにはモバイルユーザーを意識した施策が不可欠。
- Googleは、モバイルユーザーのトラフィックを参照して検索順位を決定していると考えられる。閲覧者の属性やアクセスした場所、ブラウザ名やバージョンまで特定し、アクセス解析を行っている。
- モバイルユーザーのトラフィックを増やすためには、サイトを軽くし、全ページをモバイル対応させることが必須。
- 被リンク閲覧数やソーシャルメディア利用率は、多ければ多いほど検索順位が上がるということはない。また、コンテンツニーズをプログラミングにより直接的に判断することは困難である。あくまでも、間接的に検索結果上のクリック率や推定サイト滞在時間のデータを使って判断している。
全ページをモバイル対応することは、時間やコストが非常にかかる作業です。ただ、スマートフォンでアクセスするユーザーが増えている今日では不可欠な施策ですので、必ず実践していきましょう。