SEO用語解説 - H
被リンクとは?その意味と集める方法
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2022年2月14日
SEOをやっていると、「被リンク」という言葉は嫌でも見聞きすることになります。これは、10年前、いや15年くらい前の専門書を読んでもおそらく出会う言葉でしょう。
大げさな書き方をするなら、SEOの歴史は「被リンク」という言葉とともに歩んできた、そう形容できるくらいに、被リンクが及ぼしてきた影響は大きかったわけです。
とはいえ被リンクが持つ意味は、1年1年変化して現在に至ります。最新の情報を取得しておかないと、被リンクの扱い方を見誤ってしまう恐れがあります。
「リンクを張る」「リンクを受ける」、この2点の違い
「被リンク」とは、「リンクを被る」を、縮めた単語です。「リンクを被る」という言い方は耳慣れないかもしれませんが、早い話「リンクを受ける」という意味です。
つまり、自分自身の持つWebサイトが、よそのWebサイトからリンクしてもらうことができたら、その状態は「被リンクされた」ことになるのです。
※「被リンク」の反対語は「発リンク」です。
自分が運営しているサイトから、外部のサイトへのリンクを設定することがあるはずです。 その行為は「発リンク」と呼ばれます。英語では「outbound link」という書き方をします。「outbound link」は、直訳するなら「外に向かっていくリンク」といったニュアンスになります。
なお英語ではoutboundの逆でinbound linkという表現がありますが、これが「自分自身のほうに、内側に入ってくるリンク」というニュアンスで、被リンクの訳語です。
では「被リンク元」という言葉は、何を意味するでしょうか? 自分のサイトにリンクを張ってくれている外部のサイトのことです。日本語としてやや不思議な言葉に感じとれる、、、そんな声も聞こえてきそうですが、SEOでは頻出する言葉です。ぜひ覚えておいてください。
「リンクを受ける」、その点をGoogleはこれまでどのように評価してきたのか?
被リンクは、ひと昔前は今とまったく異なる扱いを受けていました。
1.被リンクが、「物量作戦」に使われていた時代
もう10年近く前にさかのぼりますが、2012年ころまではSEO対策の決め手は今よりだいぶ単純明快でした。そのひとつが「被リンク獲得対策」だったのです。
Googleで、狙ったキーワードで上位表示されるためには、自分自身のWebサイトがいかにたくさんの数のサイトからリンクしてもらうか?つまり被リンクをいかに大量に受けることを目指す必要がありました。
これが有力な決め手のひとつだったのです。どんなにつまらない内容のWebサイトでも、あちこちのWebサイトからリンクをしてもらうだけで、当時のGoogleは「このサイトは、おそらく人気があるのだろう」と認識し、評価してしまったのです。まだそのような技術だったのです。
このような被リンクの数がものをいう時代は……、
- 中身のほとんどないサイトであってもとにかく自分自身でサイトを増やして、そこから上位表示を目指すサイトにリンクを張る
- サイトかブログを運営している知り合いにお願いしまくって、それぞれの持つサイトやブログからリンクを張ってもらう
- お互いにリンクを張りましょうという交換条件を出して合意をとり、相互にリンクを張りあうという、いわゆる「相互リンク」をする
という手法がまかり通っていました。被リンクを頼まれた相手も、よほどひどいサイトでもない限り、嫌がらずにリンクを張ってくれたものでした。
しかしこれをいつまでも放置しておくと、Googleとしては「信頼できる検索エンジンではない」とみなされる危険にさらされますし、一般のネットユーザにとっても満足のいかない検索結果が表示されてしまうことになります。
なにしろ「被リンクを集めることが上手な人が、検索上位を独占してしまう」ことになりますから、キーワードにぴったりの内容を持つWebサイトがいつまでたっても上位に来ませんし、ネットユーザの目にとまるチャンスを失ってしまいます。
2 被リンクが質重視に変わって以後
2012年前後までは全日本SEO協会でも、当時の最新の方法論である以上はこの逆転現象を起こすことを提案するしかありませんでした。2時間くらいのセミナーでも、具体的な被リンクの増やし方をさかんに解説していました。
しかしそれだけでは、検索結果に顕著な偏りが出てしまいます。2010年代は、Googleがその点をじわじわと時間をかけて改良した時代となりました。
AというWebサイトとBというWebサイトがあるとします。サイトAは3つのサイトからリンクされていて、サイトBは100ものサイトからリンクされている、とします。
数ではサイトBが圧勝ですが、その100サイトの内訳はどうでしょうか。90%以上が不人気なサイト、または信頼できない情報を盛り込まれたサイトでも、上位に入るのです。そのいっぽう、サイトAにリンクされている3サイトはいずれも、絶大な人気を誇りアクセスが多いサイトだったとします。
2012年ころまでは、検索上位に表示されるのは間違いなくサイトBのほうだったわけです。しかしその後は、だんだんとサイトAのほうが上位に入れるように変えられました。サイトAの被リンク元は、少数でも質の高いサイトで占められているからです。
被リンク元が「量より質」に変わったのは、Google自体が「量より質」に路線変更したことを物語っています。この傾向は年々強まっています。
その路線変更を可能にした技術の一つが不正リンクの購入により被リンクを獲得したサイトを突き止める技術でした。
「不正なリンク購入」とは、金銭を払うなどしてリンクを買い集めること。Googleが適正でない判断した手段で買いそろえようとしても、その効果は年々低下していくばかりです。現在では絶対に、リンクをお金で集めるような真似はすべきではありません。
ちなみに、GoogleやYahoo!などが販売するリスティング広告の購入のSEO効果は間接的に若干あり、これは例外的に許されています。ただし、検索結果ページ上に表示されるリスティング広告欄からのリンクの効果があるのではなく、リンクをたどったユーザーが広告主の社名や商品名などで検索することが増えて、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの流入が増え、それがGoogleによって評価されるという間接的な効果があるというだけのことです。Googleは公に、自然検索の順位は販売していないと言っています。
《参考サイト》検索に対する Google の方針 https://www.google.com/intl/ja/search/howsearchworks/mission/
こうした意味でリスティング広告の購入が自然検索結果での上位表示に若干の効果があるという証言は多数あります。しかし直接的なリンクの効果はありません。
※リスティング広告とは、キーワード検索の結果ページに表示される広告のことです。たとえば「美容室 表参道」のような組み合わせで検索すると、検索結果の真上に「広告」が掲示されます。真下にも出てきます。これらがリスティング広告の典型です。
まとめ:被リンクを、機械的に買ったり増やしたりするのは今ではNG行為
被リンクはSEOの初期から重要でしたが、古い情報を鵜呑みにするのは禁物です。
- 自分自身のサイトからリンクを他のサイトに張ることを「発リンク」と呼ぶ。
- その反対で、他のサイトから自分自身のサイトにリンクを張ってもらうことを「被リンク」と呼ぶ。さらに、リンクを張ってくれたサイトを「被リンク元」または「リンク元」と呼ぶ。
- 2012年くらいまでは、被リンクが多いだけで検索上位に入れる可能性が高かった。このため、サイトを量産してリンクを張りまくったり、他人に依頼してリンクを張ってもらったりする行為、お互いにリンクを張り合う相互リンクが流行していた。
- しかしこれでは、内容が空虚なサイトやコンテンツの質の悪いサイトでも上位されてしまうため、Googleはアルゴリズムを変えて対策する方向にかじを切った。
- この10年ほどで、被リンクは「量よりも質」に変わった。「評価されるコンテンツ」「役立つコンテンツ」を持つサイトからリンクを受けることが、SEO改善の第一歩となる。
- 現在は、リンクをお金で買うような真似はGoogleが「不正」とみなすため手を出すべきではない。
被リンクの取り扱いは、概念自体は難しいものではありません。しかし、質の高い被リンク元を探すことは簡単とは限りません。焦らずにじっくりと取り組むのがベストです。