SEO用語解説 - C
コピーコンテンツとは?
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2021年8月14日
Webサイトは、絶えず変化していくもの。これは、いったん世に発表したら基本的に変更ができない、旧来のメディア(放送・新聞・出版等)とはまったく異なる性質を持っています。
自社サイトに客を引き付けるなら、更新は頻繁に繰り返さないといけません。ところが困ったことに、更新するネタがいつもあるとは限りません。これが、よそのサイトのネタを真似しようとする衝動を引き起こします。
ところがこのような行為はGoogle検索の世界では不正行為になります。「コピーコンテンツ」という言葉がWeb業界にはあります。
コピーコンテンツがはっきりと、目の敵にされるまでの流れとは
1.コピーコンテンツの取締がはじまる前夜
コピーコンテンツは、20年以上前からタブー扱いされてきました。そこには、通常の著作権の概念も働いていますし、ユーザを飽きさせてはいけないといった配慮も働いています。
それにしても、その原因は何でしょうか? 検索エンジンからの扱いが何よりも大きな原因でしょう。よそのWebページと似すぎているページは、検索エンジンからまったくよい扱いを受けられないのです。
Googleは絶えずアップデートを繰り返して進化してきましたが。アップデートが何度起こっても、この原則はまったく変わっていません。おそらくこれからも、何度アップデートされても変わることがない鉄則でしょう。
2.パンダアップデートの実施
近年のGoogleのアルゴリズムアップデートを振り返ったとき、とりわけコピーコンテンツへの扱いが厳しくなったのはパンダアップデートが実施された時でしょう…といっても、パンダアップデートの実施は1回だけではありません。
Googleのアップデートには独特の名前がつけられることは有名です。1回しか行われなかったアップデートしか知られていないかもしれませんが、実は毎年何度も実施されてきたアップデートもあるのです。パンダアップデートは、2011年ころから頻繁に実施されました。
※SEOを語る場では、パンダアップデートいう言葉の頻度は高いです! 覚えておかないと損するワードのひとつでしょう。
ではパンダアップデートは、どうして何回も実施されているのでしょうか?
このアップデートの主な目的は、
- 「他のドメインのサイトから文章をコピーしただけ」といった、独自性の低いWebページ
- そして、上記のようなWebページが含まれるWebサイト
パンダアップデートが繰り返されるたびに、規制が厳しくなっている、という言い方も成り立つでしょう。
そこまでしてGoogleは何を目標にしているのでしょうか? それは、全世界のWebコンテンツの品質を高めることです。
ならば、パンダアップデートが規制する「品質の足りないWebコンテンツ」とは?
それは主に「他のサイトから文章をコピーしたページ」です。コピーしてきたということは、個性や独自性がないということになります。
パンダアップデートの取り締まりの対象に関して
「他のサイトから文章をコピーしたページ」が存在することで、主に2通りの特徴がじわじわと出てきます。
- 「他のサイトから文章をコピーしたページ」および
「他のサイトから文章をコピーしたページ」を含むWebサイト
~のどちらも、検索順位が低下する - 「サイト内の他のページから文章をコピーしたページ」
~の、検索順位が低下する
※ようするに、自社サイトのどこかの文章をもう一度使う……それだけでもNGということです。
ではこの2点について個別に調べましょう。
1.よそのサイトからコピーしたとき
パンダアップデートが本格的にはじまって10年以上が経ちましたが……そのころはまだ、他のサイトからコピーした文章等をそのまま掲載しているWebサイトは正直なところ、ありふれた状態でした。
元の文章が優れているなら、確かにそのまま使いたくなる気持ちはわからなくもないです。コピーしていることに気づかないユーザのほうが多いですし。
しかも1ヶ所からではなく数ヶ所からペーストしているなら、コピーであることはなかなか見破れなくなります。
GoogleやYahoo!のような検索エンジンのシステムが全然洗練されていなかった時期は、コピーコンテンツにとても甘い時代でもありました。このため、何かのキーワードで検索をかけると、上位10位以内にほとんど同じ文章が並んでしまったものでした。
いかに優れている文章だとしても、同じ文章が上位10位以内に5つも6つも出てきたら、大半のユーザはイライラするでしょう。
というわけで、パンダアップデートの連続実施にGoogleが踏み切ったのは、似たり寄ったりのサイトが並んでしまう事態を避けるためだったのです。もしGoogleが何もしないでいたら、それが理由でGoogleは世界中から見捨てられてしまう恐れがあったわけです。
※パンダアップデートが連続して実施された成果がはっきりと出てきたのは、2011年直後ではありません。それから4年以上経過した2015年ころからでした。
たとえば、各ネットショップの商品情報をそっくりそのままコピー&ペーストしたまとめサイトがありました。単にまとめサイトと呼ばれることもありますが、キュレーションサイトと呼ばれることもよくあります。
パンダアップデートの連続により(その他のアップデートの影響もあるのですが……)このようなキュレーションサイトは上位に入らなくなったのです。
「キュレーション」とは?
IT用語としておなじみの単語となっていますが、デジタルの時代が到来する前は美術館・博物館等の展示企画といった意味合いで使われる言葉でした。
たとえばニューヨークの近代美術館で「ゴッホの展示会をやります」と宣言したら? そのときはゴッホの絵画だけを集めてきて、目録をつくるでしょう。このように、特定のテーマに関してまとめることが、キュレーションとなるのです。
「まとめること」には価値があります。
古今東西の芸術作品は無数にあるでしょう。しかしゴッホの作品を鑑賞したい人にとっては、その他の作品はひとまず不要でしょう。そこでゴッホの絵画がまとめてあると、願ってもない幸せでしょう。
インターネットの世界にはとにかく情報があふれているため、自然と「まとめる行為」が歓迎されるようになりました。こうしてキュレーションサイトが誕生したのですが…
SEOの世界では、そこが誤解された観があります。「キュレーション=たくさんのサイトから、自分が欲しい情報を(好きなように)コピーして寄せ集めたもの」といった認識が世界中に広がってしまったのです。
しかし無節操なまとめ方では、実際に大半のユーザの役には立つことはないのです。現に、検索結果に無節操なまとめサイトが並んでしまい、同じ文章が集まってしまいました。
1.自社サイトにある他のページからコピーしたとき
例えば、日産自動車の公式サイトにWebページが全部で100ページあったとします。日産セレナという自動車のファンのために、セレナの特集ページがその中に存在したとします。
しかしその特集ページ、1ページではなかったとしたら? 100ページの中で、ほかに3ページくらいあったとしたら、どうでしょうか?
…検索で飛んでくるユーザは、しばらくの間気づかない可能性が高いでしょう。
しかし、その自動車メーカーのサイトをよく見るようになったら、いずれは気づくでしょう。このことに気づくと、中にはがっかりするユーザもいるでしょう。
何よりもGoogleのような検索エンジンのシステムが見つけ出して、低評価を下してしまいます。
というわけで…
- 情報のコピー元がよそのドメインのサイトでない場合
- 同一サイト内の、たとえば数ページ分の情報の寄せ集めである場合
も、現在のSEOの基準では同様にNGだと思ってください。
まとめ:コピーコンテンツはとにかく、SEOでは回避するに限ります
パンダアップデートの実施がスタートしたのは2011年ですが、そのころは未だ他のサイトの安直な盗用が顕著でした。ところが、パンダアップデートの実施はコンテンツの品質に注意を払うことの大切さを世界中に啓蒙したといえます。文章をはじめとしたコンテンツの流用や使いまわしを戒めるべきだという認識が定着したことは、Googleの思惑が大成功したものと評価できます。
- コピーコンテンツは20年以上前からありふれていて、好印象を持たれていなかった。
- Googleは長い間放置していたが、2011年になってから腰を上げ、パンダアップデートを繰り返して対策するようになった。
- 無数に行われてきたパンダアップデートの目的は、コピーコンテンツを排除して、平均的に世界のWebコンテンツの質をレベルアップさせること。
- よそのサイトのコンテンツをコピーすると、そのページはもちろんのこと、そのページを含むサイト全体の検索順位が下がってしまう。
- だからといって、自社サイト内の各ページ間で、コンテンツを使いまわすことも認められない。検索順位が下がるという点ではまったく変わらない。
- たびたびのパンダアップデートの成果が出た結果、キュレーションサイトのようなコピーコンテンツを大量に含むサイトは上位に入れる望みをいっさい喪失している。
SEOで失敗したくないなら、どのページにもコピーコンテンツが混ざってしまうことがないようにしないといけません。