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生成AIを搭載するGoogleが登場する!SGE(AIによる概要)の脅威

2024年04月02日

SEOに関心を持つ人が、今最も気にしていることがあります。それはGoogleが検索結果ページの一番上に生成AIによる答えを表示してしまったらどうなるのか?もはやGoogleの検索結果ページからユーザーが自社サイトに来てくれなくなるのではないか?という恐れです。

実際に、今Googleは着々とその恐れを現実化するようなことをするようなことを始めています。それは2023年8月30日に日本で公開されたSGEという全く新しい形の検索体験を提供する検索エンジンです。

《生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介》


SGE(Search Generative Experience)は、Googleが開発した新しい検索機能で、生成AIによって検索体験を改善するものです。SGE(AIによる概要)は、検索されたキーワードの検索意図に沿った回答をGoogleが自動で生成します。SGEは、Microsoft Bing のような、Web検索を生成AIチャットボットとのやりとりで行うサービスです。

《テスト版での検索結果ページの例》


ご覧のように「引越し 準備」、「交通事故 慰謝料」等のキーワードで検索すると検索結果ページの一番上の背景に色がついた部分にGoogleの生成AIが作成した答えが表示されています。

通常のサイトへのリンクはその下に表示されるため目立たなくなっています。そうなると私たちのサイトへのGoogleからのアクセス数が激減することが考えられます。

SGEとGeminiというチャットボット型の生成AIサービスは、できることは似ています。Geminiは、2023年12月に発表した生成AIで、元々はBardという名称の生成AIサービスで2023年1月18日に公開されたものです。公開当初は、Google AIの研究者やエンジニアのみが利用可能でしたが、2023年3月1日から一般公開され日本でも使えるようになりました。

Geminiは検索エンジンとは独立したサービスです。Geminiはアイデア作成などに強みがあるのに対し、SGEは検索結果の生成に強みがあります。

《Geminiの回答結果ページの例》


つまり、これまでのGoogle検索の提供が停止して、新たに生成AIを搭載したSGEという新しいGoogle検索が誕生するということです。現在は未だテスト版の公開にとどめていますが、近い将来正式公開をするはずです。現在のところGoogleはこのSGEを2024年中に一般公開すると発表しています。

一般公開された時、一体どのようなインパクトが従来のSEOに与えられるのか?それが問題です。

何社もの会員様から私はすでにこのSGEに関する感想や相談をいただいています。その1つをご覧下さい。

『2023年8月30日(水)、ある意味「記念すべき日」となりそうな、生成 AI による検索体験 (SGE -Search Generative Experience) の日本語版の試験運用がとうとう開始されてしまいました。https://japan.googleblog.com/2023/08/search-sge.html?m=1

2024年以降に本格搭載されるであろうSGEに向けて、目標キーワードを掲げてサイトの上位表示を目指している、企業サイトや個人ブログはまず何をすべきでしょうか。
鬼滅の刃の鬼のように、人間が経験体験したことを生成AIがそのままパクッと食べて、Googleの検索ページに「自社サイトのごとき」に出すとは、「Googleさん、E-E-A-Tをもとにしたコンテンツを書くよう私たちに言ってきたのはなんだったんだ?」と烈火の如く、怒りを感じるほどです。

個人的には、「有益な無料お役立ちコンテンツを書く人間のモチベーションを下げてしまった」生成AIによる検索体験は、GoogleがGoogle自身の首を絞めているようなものだと感じます。お手数をお掛けしますが、現時点でやれることをご教授いただけると幸いです。』

「無限Q&A」よりも恐ろしく感じます。ちなみに、私の友人に「生成AIによる検索体験」のページを見せて説明したら、「無料お役立ちコンテンツ(=ブログ)を書くモチベーションが下がった」と言ってました。

※「無限Q&A」とは私が勝手につけた名称で、数年前からGoogleの検索結果ページの上位にGoogleが作成した複数のQ&Aが表示されるブロックのことです。正式には「関連する質問」と呼ばれています。何故無限というのかという質問部分をクリックする度にQ&Aが増殖してしまい、その下にある通常のウェブサイトへのリンクがクリックされにくくなるからです。

《「無限Q&A」の例》


この感想を初めて読んだとき、私は全くそのとおりだと思いました。Googleはこれまで散々私達のサイトから情報を収集してビジネスに利用してきました。それは本来許したいことではありませんが、私が自社サイトの情報を提供することにより、検索結果上にあるリンクを通じて、私達のサイトにユーザーを送客してくれてきたため許容せざるをえませんでした。

しかし、今回のSGEが正式に導入されたら検索ユーザーが検索した時にGoogleが直接答えを検索結果ページの一番上に目立つ形で表示するようになります。そうなれば私達はGoogleに情報を無料で提供するだけで、何のメリットも無くなるのではないかと思い憤りを感じました。

一体私達サイト運営者はどうすれば良いのでしょうか?

それを知るには落ち着いて、SGEのテスト版を利用して実際にどのような検索結果ページになるのかを観察するとともに、Googleの出方を冷静に観察する必要があります。

SGEのテスト版の申し込み方法


まずは、実際にSGEを使わないとSGEのインパクトを推測することは困難です。
SGEのテスト版は誰でも申し込みができるようになっており、申し込み後即時に利用できるようになります。

申し込みは
https://labs.google.com/search
でできます。詳しい申し込み方法は
https://support.google.com/websearch/answer/13572151
に解説されています。

未だSGEのテスト版を利用したことが無い方はこちらからお申込みください。

《SGEのテスト版の申し込みページ》


申し込みが完了すると次のような画面が表示されるようになります。画面の下にあるボタンをクリックしてオンにするとその時点がからSGEを使うことができるようになります。

《SGEのテスト版の設定ページ》


SGEの検索結果の検証


手続きが完了したら早速、色々な気になるキーワードで検索してみましょう。検索の仕方は従来のGoogle検索と同じです。
「オーストラリア留学 準備すること」で検索したら次のような4行くらいだけ生成AIの情報が表示されている検索結果ページが表示されました。「もっと見る」というリンクをクリックすると全ての情報が表示されます。

《「オーストラリア留学 準備すること」、「遺産相続」での検索結果ページの例》


《「インプラント 治療費」、「DX 意味」での検索結果ページの例》


最初に、「オーストラリア留学 準備すること」、「遺産相続」、「インプラント 治療費」、「DX 意味」等の、すぐに商品・サービスを購入するのではなく、ユーザーが疑問に思っていることの答えを探すためのクエリ(=問い)で検索するとほとんどの場合生成AIの答えが表示されます。

こうしたキーワードは「情報検索キーワード」と呼びます。商品・サービスを今すぐ購入する意思は無く、ただ情報を検索しているからこのように呼びます。

《ユーザーの3つの検索意図に基づいた3つの検索キーワードのパターン》


検索キーワードには情報検索キーワードの他に、「購入検索キーワード」と「指名検索キーワード」があります。
購入検索キーワードは「スマホケース 通販」、「歯医者 名古屋」、「相続相談 横浜」等の検索ユーザーが商品・サービスを購入しようという明確な意思を持って検索するキーワードのことです。

指名検索キーワードとは、「ユニクロ」、「ユニクロ 渋谷」、「松本整骨院」、「iPhone 15」のような企業の社名や店名、商品名などのブランド名での検索キーワードのことです。

「スマホケース 通販」、「歯医者 名古屋」、「相続相談 横浜」等の購入検索キーワードで検索してみると下図のように生成AIの回答は表示されません。

《「スマホケース 通販」での検索結果ページの例》


《「歯医者 名古屋」での検索結果ページの例》


《「相続相談 横浜」での検索結果ページの例》


購入検索キーワードで検索した時に生成AIの答えが表示されない理由は恐らく、検索ユーザーは生成AIによるシンプルな答えを求めているのではなく、多種多様な商品や事業者の情報を求めているとGoogleのアルゴリズムが判断しているからだと思われます。

そしてもう一つの理由は、購入検索キーワードはGoogleにとってのお金になるキーワードだからだと考えられます。購入検索キーワードは非常に競争率が高く、購入にもつながりやすい本気客、今すぐ客が検索するキーワードであるためキーワード連動型の広告であるリスティング広告が売れやすいキーワードです。

そうしたキーワードでも検索結果の一番上の目立つ位置に生成AIによる答えを表示してしまったら、広告を購入する企業が減る可能性があります。

次に、指名検索キーワードである「ユニクロ」、「ユニクロ 渋谷」、「松本整骨院」、「iPhone 15」で検索しましたが、これも生成AIは表示されず従来のような生成AI無しの検索結果ページが表示されました。

《「ユニクロ」での検索結果ページの例》


《「ユニクロ 渋谷」での検索結果ページの例》


《「iPhone 15」での検索結果ページの例》


ということは、今のところ検索結果ページに生成AIの答えが表示されるのは情報検索キーワードだけということになります。

生成AIの部分からの外部サイトへのリンク


検索結果ページに生成AIが表示された場合でも、引用元として外部リンクが表示されるようになっています。
例えば、「交通事故 慰謝料」で検索した場合下図のように解答部分に複数の下向きの矢印があり、それをクリックするとその部分の文章の引用元サイトから引用した画像とサイト名、外部リンクが表示されます。

他にも、画面の右上に3件程度の引用元サイトへのリンクが表示されています。その部分はスクロールができるようになっており、スクロールをすると8件くらいまでのサイトへのリンクが表示されますので、クリックしたユーザーが引用元サイトに行く可能性があります。

《生成AIの部分からの外部サイトへのリンク》


その外部リンクをクリックすると引用元サイトに飛ぶことができます。これにより、引用されたサイトはある程度サイトへの訪問者を獲得する可能性があります。

《リンクが張られている引用元サイトの例》


しかし、どれだけ多くのGoogleユーザーがわざわざそのリンクをクリックするかはわかりません。いたとしても大勢ではなく、少数のユーザーではないでしょうか?それでも全くリンクを張ってくれないよりはましだと言えますが。

以上が、SGEの意味と、SGEが私達サイト運営者に及ぼす影響についてです。

次回は、「SGE」が実施された後、私達サイト運営者がどうすれば従来のようにGoogle検索からの自社サイトへの流入を維持することが出来るのかを考察します。
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