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フィッシング詐欺とスパムリンク対策のポイント

2025年01月15日

インターネット上での詐欺やセキュリティリスクは年々増加しています。特にフィッシング詐欺やスパムリンクといった手法は、多くのサイト運営者やユーザーにとって重要な課題となっています。この記事では、これらのリスクに関する基本知識と対策を、初心者向けに分かりやすく解説します。


フィッシング詐欺とは?


フィッシング詐欺とは、偽のウェブサイトやメールを使って個人情報を盗む詐欺手法のことです。例えば、銀行や有名企業を装った偽サイトで、ログイン情報やクレジットカード情報を盗まれるケースが増えています。2022年上半期の調査では、フィッシングサイトの数が前年同期比で1.5倍に増加し、その手口もますます巧妙化しています。

主なフィッシング詐欺の手口


1. 偽のウェブサイト


本物そっくりのデザインでユーザーを騙し、ログイン情報や個人情報を盗む手口です。

・銀行の偽サイトの例
「〇〇銀行からのお知らせ:セキュリティ強化のため、こちらのリンクからログインしてください」というメールが届き、リンクをクリックすると銀行の公式サイトにそっくりな偽サイトに誘導されます。ユーザーがIDやパスワードを入力すると、その情報が詐欺師に送信されます。

・通販サイトの偽サイトの例
人気のECサイト(例:Amazon)のデザインを模倣した偽サイトで、特別割引やセールを装ってクレジットカード情報を入力させるケース。

2. なりすましメール


公式メールに見せかけて偽サイトに誘導する手口です。

・パスワードリセット詐欺の例
「〇〇サービス:アカウントに不審なログインがありました。すぐにパスワードをリセットしてください」という件名のメールが送られ、偽のリセットページに誘導されます。ユーザーがパスワードを入力すると、それが盗まれます。

・請求書詐欺メールの例
「支払い期限が迫っています」という偽の請求書メールに、リンクが記載されています。クリックすると、クレジットカード情報を入力させるページに誘導されることがあります。

3. SMSフィッシング


スマホ向けの短いメッセージでリンクを送信し、ユーザーを偽サイトに誘導します。

・宅配業者を装った詐欺の例
「お荷物のお届けに失敗しました。こちらのリンクから再配達依頼を行ってください」というSMSが届き、リンクをクリックすると偽の再配達依頼ページに誘導されます。ここで住所や電話番号、クレジットカード情報を入力させられるケース。

・携帯電話会社を装った詐欺の例
「〇〇モバイル:未払い料金があります。すぐにお支払いください」というメッセージが届き、リンク先でクレジットカード情報を盗む手口。

フィッシング詐欺への対策


1. URLを確認する


本物のサイトと異なるURLを見逃さないことが重要です。詐欺サイトは、公式サイトに似たURLを使用してユーザーを騙そうとします。

・銀行の公式サイトの例
本物: https://www.examplebank.co.jp
偽サイト: https://www.examp1ebank.com(「l(エル)」を「1(数字の1)」に置き換えている)

・通販サイトの例
本物: https://www.amazon.co.jp
偽サイト: https://www.amaz0n.co.jp(「o」を「0(ゼロ)」に置き換えている)

URLを確認する際には、特にドメイン部分(例: examplebank.co.jp)が正しいかを注意深くチェックしてください。

2. SSL/TLS証明書を見る


安全なサイトでは、「https://」で始まり、アドレスバーに鍵マークが表示されます。ただし、これだけで安全性が保証されるわけではないので注意が必要です。

・安全なサイトの例
鍵マークが表示され、「https://」で始まる。公式サイトであればOK。

・鍵マークがない場合の例
「http://」で始まり、鍵マークがないサイトは基本的に避ける。情報を入力するのは特に危険です。

ただし、詐欺サイトでもSSLを導入している場合があります。URL全体の正確性と合わせて確認することが重要です。
《関連情報》 SSL化とは?

3. 多要素認証を利用する


多要素認証(MFA)を導入することで、仮にパスワードが盗まれた場合でも追加の認証ステップで被害を防ぐことができます。

・銀行アカウントでの利用例
パスワード入力後、登録したスマートフォンにワンタイムパスコードが送られてきて、それを入力しなければログインできない仕組み。

・オンラインストアでの利用例
パスワードに加えて、アプリで生成された認証コードを入力する2段階認証を採用。

4. 不審なメールを疑う


リンクや添付ファイルを開く前に、差出人アドレスやメール内容をよく確認します。不審な点があれば、メール内のリンクをクリックせず公式サイトに直接アクセスすることを推奨します。

・差出人アドレスの確認の例
本物: info@company.co.jp
偽メール: info@company-support.co.jp(公式に見せかけた偽アドレス)

・メール本文の確認の例
本物: 丁寧な言葉遣いで、公式ロゴが正確に表示されている。
偽メール: 「緊急」「今すぐ対応」など、ユーザーを急かす言葉が多い。ロゴがぼやけている。


詐欺サイトとその特徴


詐欺サイトは、個人情報を窃取するために合法的なウェブサイトを模倣します。特にネット通販詐欺やチケット転売詐欺が多く、注意が必要です。

詐欺サイトの見分け方には次のようなものがあります:

1. URLとSSL対応をチェック


詐欺サイトは本物そっくりのURLを使用することが多いですが、細かい部分に違いがあります。また、「https」で始まり鍵マークが表示されていても安全が保証されるわけではありません。

・本物と偽サイトの比較の例
本物: https://www.officialsite.co.jp
偽サイト: https://www.0fficialsite.co.jp(「o」を「0」に置き換え)

本物: https://secure-paymentsite.com
偽サイト: https://secure-paymensts.com(スペルを微妙に変える)

鍵マークがあるからといって安全とは限りません。詐欺サイトでも無料のSSL証明書を使って暗号化通信を実現している場合があります。URL全体の信頼性を慎重に確認してください。

2. 決済方法を確認


信頼できるサイトでは通常、複数の決済方法を提供しています。一方、銀行振込のみや不自然な決済方法を指定するサイトは詐欺の可能性が高いです。

・安全な決済方法の例
クレジットカード、電子マネー、PayPayなどの幅広い決済方法を提供。

・詐欺サイトの怪しい決済方法の例
「銀行振込のみ」や「代引き不可」と記載。
例: 「〇〇銀行口座への振込をお願いします。お振込み後に商品を発送いたします。」
振込先が個人名義や、不自然に海外の銀行口座の場合も要注意。

3. 販売者情報を確認


特定商取引法に基づき、ウェブサイトには販売者の住所や会社名、連絡先などの情報を明記する必要があります。詐欺サイトはこれらが不十分だったり、偽装されていたりします。

・安全な販売者情報の例
「会社名:株式会社〇〇」
「所在地:東京都〇〇区〇〇町〇-〇-〇」
「連絡先:03-XXXX-XXXX」

・詐欺サイトの怪しい例
「販売者:ショップ〇〇」→ 会社名ではなく個人や曖昧な名称。
「所在地:12345 Tokyo」→ 不完全な住所や実在しない住所。
「連絡先:メールのみ対応」や電話番号が記載されていない。

さらに、記載された情報を検索して確認することで、実在する企業かどうかを調べるのも有効です。

フィッシングサイトの動向


フィッシング詐欺は、巧妙化しながらその手口を広げており、近年特に被害が増加しています。デジタルアーツの調査結果によれば、2022年上半期にはフィッシングサイトのURL総数が前年同期比で約1.5倍に増加しました。この急増の背景には、特定のトップレベルドメイン(TLD)が多く利用されていることが挙げられます。


急増する特定TLD


デジタルアーツが発表したフィッシングサイトのURL調査結果によると、以下のTLDがフィッシングサイトで多く使用されていることがわかりました:

1. 「.cn」(中国): 全体の23.11%を占め、最多。
2. 「.com」: 続いて20.72%。
3. 「.ci」(コートジボワール): 突如3位にランクイン。2020年にはアジアの組織が複数の「.ci」ドメインを取得しており、2022年上半期には利用率が約3倍に増加しました(1月8.40% → 6月27.13%)。

注意すべきポイント


こうしたTLDが使われたサイトは特に注意が必要です。外部リンクをクリックする際には、必ずURLのドメインを確認し、「.cn」「.ru」「.ci」などの怪しいドメインが含まれていないか注意することを推奨します。

フィッシングサイトの動向を理解することは、セキュリティ対策の第一歩です。特にURLやドメイン名の確認を徹底することが、個人情報や資産を守るための基本的な予防策となります。


スパムリンクとは?


次にスパムリンクというサイトを危険にさらす行為について考えてみましょう。スパムリンクは、関連性のないウェブサイトから貼られるリンクのことです。Googleのガイドラインに反するこれらのリンクは、検索順位を下げる要因となるため、サイト運営者は適切な対策を取る必要があります。

スパムリンクの確認方法


1. Googleサーチコンソールを活用


サーチコンソールで「リンク」→「上位のリンク元サイト」を確認。無料で簡単にスパムリンクの有無をチェックできます。

2. 被リンクチェックツールを利用


詳細な分析には、有料ツール(Majestic、Ahrefs、MOZ)や無料ツール(hanasakiganiなど)を活用。スパムリンクの影響度や詳細を確認するのに役立ちます。

スパムリンクにはどう対処すべきか?


サイト運営者やSEOに関心を持つ方から、コンサルティングやセミナーでよく寄せられる質問のひとつに、「サーチコンソールで自社サイトの被リンク元をチェックしたら、中国やロシアのドメインを持つ怪しげな海外サイトからのリンクがたくさん見つかった。このまま放置していても大丈夫でしょうか?」という質問をよくいただきます。

この疑問に対する私の個人的な見解をお伝えします。結論から言えば、Googleはこうしたスパムリンクや低品質な被リンクを基本的に無視するようにアルゴリズムを設計しています。実際、怪しげなサイトから何千、何万ものリンクを受けているサイトでも、難易度の高いキーワードで上位表示しているケースが数多くあります。これは、Googleがそうしたリンクの影響を排除し、検索順位に直接影響しないようにしていることを示していると言えるでしょう。


それでも気になる場合の対処法


しかし、「怪しいリンクが放置されているのはどうしても気になる」という方もいらっしゃいます。その場合は、次の手順をおすすめします。

1. Googleサーチコンソールで被リンク元を確認する


サーチコンソールの「リンク」セクションで、どのサイトからリンクを受けているかを確認します。

2. 否認ツールを使用する


気になるリンクが特定できたら、Googleが提供する「リンク否認ツール」を使用して、それらのリンクを否認します。具体的には、否認するリンクをテキストファイルにまとめ、サーチコンソールでアップロードするだけです。

本当にサイト運営者が時間をかけるべきことは?


私の意見としては、怪しいリンクの対処に時間をかけるよりも、ユーザーのためになる良質なコンテンツを作ることに集中するべきだと考えています。
Googleは、リンクの品質だけでなく、サイト自体のコンテンツの価値を高く評価します。以下のような取り組みを優先することで、結果的にSEOの成果が得られるでしょう。

・ユーザーの疑問や悩みを解決する記事の作成
・サイトの使いやすさやデザインの改善
・サイトの専門性・経験・権威性・信頼性(E-E-A-T)を高めるための施策

怪しいリンクの対処に悩むより、価値あるコンテンツを生み出すことこそ、長期的にサイトの成長を支える最良の方法です。


まとめ


インターネットは便利な一方で、フィッシング詐欺やスパムリンクといったリスクも存在します。基本的な対策を知っておくだけで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。サイト運営者として、またユーザーとして、これらの情報を日常的に意識することが重要です。

また、中国やロシアなどの怪しいサイトからの被リンクは、基本的には放置しても問題ありません。それでも気になる場合は、リンク否認ツールを使用して対処できます。しかし、SEOの成功において重要なのは、怪しいリンクの対策ではなく、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作り続けることです。
《参考情報》 フィッシング110番
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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