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2024年8月15日のGoogleコアアップデートの傾向と対策

2024年12月31日

Googleが2024年8月15日にGoogleがコアアップデートを実施しました。そして非常に多くのサイトの順位が落ちて、アクセス数が減少しました。今回はこのアップデートの詳細と、対応策について解説します。

Googleが2つの重要な発表をした


Googleはこのコアアップデートに関して2つの公式発表をしました。

1、X公式アカウントでの発表


『本日、2024年8月のコアアップデートをリリースしました。これは、検索でのパフォーマンス向上のためだけに作成されたようなコンテンツを減らし、ユーザーが本当に役立つと感じるコンテンツを増やすことで、検索結果の品質を向上させるための継続的な取り組みです』



2、公式サイトでの発表


『2024年8月15日木曜日
本日、Google 検索の 2024 年 8 月のコア アップデートを開始しました。このアップデートは、検索でのパフォーマンス向上のためだけに作成されたようなコンテンツを減らし、ユーザーが本当に役立つと感じるコンテンツを増やすことで、検索結果の品質を向上させる取り組みを継続することを目的としています。

この最新のアップデートでは、過去数か月間に一部のクリエイターやその他の方から寄せられたフィードバックが考慮されています。これまでと同様に、ユーザーの検索内容に関連性がある場合、有用で独自のコンテンツを作成している小規模サイトや独立系サイトを含む、さまざまな高品質サイトとユーザーを結び付けることを目標としています。これは、今後のアップデートでも引き続き取り組む分野です。このアップデートでは、サイトが行った改善点をより適切に把握し、Web の最高のものを引き続き表示できるようにすることも目的としています。

また、コア アップデートに関するヘルプ ページも更新しました。このページには、アップデート後に変更が見られる可能性のあるユーザー向けの詳細なガイダンスが含まれています。

投稿者: John Mueller、Google スイスの検索アドボケート』




2つの公式発表の共通点


これら2つの公式発表に共通するのは:
『検索でのパフォーマンス向上のためだけに作成されたようなコンテンツを減らし、ユーザーが本当に役立つと感じるコンテンツを増やすことにより、検索結果の品質を向上させる』
という部分です。

つまり、今回のアップデートによって「検索でのパフォーマンス向上のためだけに作成されたようなコンテンツ」が上位表示できなくなくなったということです。

サイト内にあるページが上位表示できなくなると2つの大きな問題が生じます。

1つは、せっかく作ったページが上位表示していて一定のアクセス数を稼いでいたのにそのページが上位表示できなくなるという損害です。ページを作るにはコストが掛かります。外注をした場合は1ページあたり昔は数千円程度の外注費しかかかりませんでしたが、最近では数万円から高いものだと10万円近くかかります。

私のクライアントの中でも法律事務所のサイトを運営しているところは法律の解説に関する4,000文字程度の記事を1記事あたり40,000円から60,000円くらいの外注費を払っています。また、クリニックのサイトを運営して毎月ブログに記事を追加しているところは1記事あたり60,000円から80,000円を払っています。人から聞いた話では1記事あたり100,000円以上のライティング料金を取っているSEO会社があるそうです。

このように最近では1記事あたりのライティング料金がかなり冒頭しています。外注をせずに、自社内で記事のライティングをしているところもかなりの費用をかけて記事を作成しています。社員やアルバイトがライティングする場合はその人達の給料がかかっていますし、経営者自らがライティングする場合は最も高額な給料がかかります。

近年では、Googleが専門性が高い内容の記事でないとなかなか上位表示してくれなくなってきているため、これらのライティングのコストは増えることはあっても下がることは無いと予想されます。

ただし、AIを使えばスピーディーに記事を作成することができます。しかしここに大きな落とし穴があります。それは多くの企業がAIの使い方を間違え上位表示が出来ないページを大量生産するようになっています。AIに「XXXXXについて解説をする記事を書いて下さい」というようなプロンプトを入力し、記事作成を丸投げしている企業がいるのです。

私が日々相談を受けているなかでそうしたケースを最近見るようになっています。AIを使う際には、著者の経験か、専門家としての独自性が高い意見を入力しなくてはなりません。何故なら、Googleは独自性が高い記事でなければ上位表示させないようになっているからです。AIにそうした独自性が高い情報を入力しないで記事を作成してもらうと独自性がほとんど無い、あるいは全く無い記事になってしまうからです。


AIを使って記事を作成する際に気をつけるべきこと


具体的には、AIを使って記事を作成する際には次の5つのうち最低1つが該当する必要があります。

1. 専門家としての専門知識に基づいたコンテンツ


記事の内容には、専門家でなければ知らないような深い専門知識が必要です。これは、AIだけでは提供できない価値のある情報を提供するために重要です。専門家の知識を元に、信頼性の高い情報を発信することが求められます。

2. 著者または企業の経験に基づいたコンテンツ


記事の著者やその企業が実際に経験したことを基にコンテンツを作成します。この経験に基づいた情報は、他にはない独自の視点を提供するので、読者にとって有益なものになります。

3. データに基づいたコンテンツ


独自に調査した統計データや調査結果を活用してコンテンツを作成します。データに裏付けられた情報は、読者にとって信頼性が高く、説得力のある記事になります。

4. 事例に基づいたコンテンツ


記事の著者やその企業が経験した具体的な事例を紹介します。これにより、読者は実際のケーススタディを通じて理解を深めることができます。

5. 独自の視点や意見に基づいたコンテンツ


単に情報を羅列するだけでなく、著者自身の独自の視点や意見を盛り込むことで、記事の価値を高めます。読者にとって、オリジナルな視点は新たな洞察を提供する要素となります。

これらのポイントを押さえることで、AIを使った記事作成でも、読者にとって価値のある、質の高いコンテンツを提供できるようになります。

サイト内にあるページが上位表示できなくなると生じる2つ目の大きな問題は、サイトのアクセス数が減るとGoogleによるサイト全体の評価が下がり、これまで上位表示していたトップページやその他自社にとって重要なページも上位表示することができなくなるという問題です。


重要な6つの対策


こうしたことが起きる理由は、Googleのサイト評価の仕組みにあります。これまで全日本SEO協会が創設以来、調査、研究してきた中でわかってきたGoogleで上位表示するための重要な対策は6つあるのですが、その中の1つに悪影響を及ぼすことになります。



1. E-E-A-T(信頼性)


E-E-A-Tとは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust(信頼)」の頭文字を取ったもので、Googleがサイトの信頼性を評価する基準です。信頼できる情報源からのコンテンツを作成し、サイトの信頼性を高めることが、上位表示に繋がります。

2. クエリー(検索キーワード)に対して的確な答えを返すコンテンツを作る(関連性)


検索ユーザーが入力するキーワードに対して、関連性の高いページを作成することが重要です。ユーザーの検索意図を理解し、それを満たすコンテンツを提供することで、Googleの評価が向上し、上位表示されやすくなります。

3. Googleからの流入を増やす(トラフィック)


Googleからのアクセスを増やすためには、ユーザーが求めている内容を提供するコンテンツを増やすことが必要です。ニーズの高いテーマで記事やページを作成し、それにより多くの訪問者を集めることで、サイト全体の評価が上がります。

4. エンゲージメントを高める(ユーザーエンゲージメント)


ユーザーがサイトに滞在する時間を増やし、複数のページを閲覧してもらうことで、Googleの評価が高まります。直帰率(サイトにアクセスしてすぐに戻る割合)を減らし、ユーザーのエンゲージメントを高める工夫が求められます。

5. 被リンクを増やす(被リンク)


他のサイトからリンクされることは、Googleにとってそのサイトが信頼されている証拠となります。他のウェブサイトやブログから自社サイトを紹介してもらうことで、被リンクを増やし、サイトの評価を高めます。

6. 内部最適化をする(内部対策)


サイト内部の最適化も重要です。タグの調整や、ページ内でのキーワードの使い方を工夫することで、Googleがページ内容をより正確に理解し、評価しやすくなります。これには、メタタグの設定や見出しタグの使用などが含まれます。

これらの対策をバランスよく実施することで、Google検索での上位表示を目指すことができます。それぞれの対策が連動して効果を発揮し、サイト全体の評価を高めることに繋がります。

サイト内にあるページが上位表示できなくなり、サイトのアクセス数が減るとこの「Googleで上位表示するための重要な6つの対策」の1つである「3、Googleからの流入を増やす 【トラフィック】」に悪影響を及ぼすことになります。トラフィックというのはサイトのアクセス数のことですが、サイト内にあるページが上位表示できなくなれば当然サイトの全体のトラフィックが減ります。

そうなるとこれまで上位表示していたトップページやその他自社にとって重要なページも上位表示することができなくなるという問題が起きて、売上にダメージを与えることになります。



Googleが低品質コンテンツを見破る仕組み


問題は、Googleはどうやって「検索でのパフォーマンス向上のためだけに作成されたようなコンテンツ」を見破り、「ユーザーが本当に役立つと感じるコンテンツ」であるかを見抜くのかという点です。

考えられる答えは先ほどの「Googleで上位表示するための重要な6つの対策」の1つである「4. エンゲージメントを高める(ユーザーエンゲージメント)」です。

ユーザーが検索結果ページから私たちのウェブページに遷移した時に長時間滞在していたり、1ページだけ見てすぐに検索結果ページに直帰しなければ、ユーザーがそのウェブページやウェブサイトを気にいった可能性が高くなります。

反対に、数秒、または数十秒しか滞在しないですぐに検索結果ページに戻ってしまったり、検索結果ページからリンクされているページだけを見て検索結果ページに戻ってしまったらユーザーはそのウェブページやウェブサイトを気にならなかった可能性が高くなります。

こうした考え方を「ユーザーエンゲージメント」と呼びます。ユーザーエンゲージメントが高いページはユーザーが気に入ったページ、低いページはユーザーが気に入らなかったページだということになります。

ユーザーエンゲージメントが高いサイトは検索で上位表示しやすくなります。何故ならGoogleとしてはユーザーが気に入るページを上位表示させ、気に入らないページは順位を下げるか検索結果にかからないようにしようと努力しているからです。そうすることにより、ユーザーは自分たちが気に入るページが上位表示される検索エンジンを頻繁に使うようになるからです。

この考え方は検索エンジンだけでなく、ゲームや映画、ドラマなどのエンターテイメントのコンテンツを提供する企業やInstagramやXなどを運営するSNS企業も持っており、研究を重ねてエンゲージメントが高いコンテンツを判別してそれらをユーザーに見せようと努力をしています。



実際にエンゲージメントの高いサイトの順位が上がっている


実際に、会員専用ツールの「SEOスコープ」で上位表示をしているサイトのエンゲージメントを見ることができますが、上位表示しているページのエンゲージメントは高い傾向委があり、今回のコアアップデートで検索順位が下がったページや、圏外になってしまったページのエンゲージメントは低い傾向があることがわかります。



《参考情報》 SEOスコープ

このSEOスコープでは、検索にかかったページが属するサイトの平均ページビュー、平均サイト滞在時間、直帰率などの数値を総合してエンゲージメント総合スコアというスコアを算出しています。

ではGoogleはどのようにしてウェブページのエンゲージメントを測定しているのでしょうか?そのヒントとなるものが、Googleが提供するGA4(Googleアナリティクス4)にあります。
GA4にはそのものずばり「エンゲージメント」という項目があり、そこでサイトにある各ページのエンゲージメント率がわかるようになっています。

各ページのエンゲージメント率を見るには、サイドメニューの「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を選択します。そして表示される表の一番右端にエンゲージメント率が表示されています。



Googleの公式サイトによるとエンゲージメント率は、全セッション数に対するエンゲージメントがあったセッション数の割合で算出されているということです。

エンゲージメント率 = (エンゲージメントがあったセッション数/全セッション数)✕ 100


そして、エンゲージメントがあったとみなされる条件は:

(1)セッションの長さ: 10秒以上継続したセッション
(2)ページの閲覧数: 2ページ以上閲覧したセッション
(3)コンバージョンイベント: 目標とするアクション(購入、フォーム送信など)が発生したセッション

のうち、いずれか1つでも満たせば、そのセッションは「エンゲージメントがあったセッション」とみなされるということです。

エンゲージメント率が高いほど、ユーザーがサイトに深く関わっていることを示します。




また、この表にはエンゲージメント率の他に「平均エンゲージメント時間」が表示されるので、ページに滞在する時間が短いページを見つけることができます。さらには、カスタマイズすることにより「直帰率」を表示することができるので、他のページを見ないでそのページだけを見て帰ってしまうことが多いページを見つけることもできます。





これらのデータを見て、数値が悪いページを見つけ、それらのエンゲージメントを高くする対策をすれば、エンゲージメントが改善され、Googleが高く評価をしてくれるようになり、検索順位が落ちたページは順位が改善し、圏外になったしまったページは順位が再びつく道が開けます。

では、エンゲージメントが低いページを発見した後に、そのページのエンゲージメントを高くするにはどうすれば良いのでしょうか?


エンゲージメントを高めるための6つの対策


ページのエンゲージメントを高くするには、次のような対策があります。

1、そのページを見に来たユーザーが見たい情報が十分にページ内にあるかを確認して不足していたら追加する


ユーザーが求めている情報がしっかりと提供されていないと、ページをすぐに離れてしまう可能性があります。ページに訪れたユーザーが必要とする情報を的確に提供することで、滞在時間を伸ばし、エンゲージメントを高めることができます。不足している内容があれば、追加して充実させましょう。

2、メインコンテンツの本文中からサイト内リンクを追加して、他のページも見てもらうようにする


ページ内に関連する他のコンテンツへのリンクを追加することで、ユーザーがサイト内を回遊しやすくなります。これにより、1ユーザーあたりのページビュー数が増加し、サイト全体のエンゲージメントが向上します。関連性の高いリンクを適切に配置することがポイントです。

3、情報の根拠となる外部サイトにリンクを張り、そのリンクをクリックして外部サイトも見てもらい、その後自社ページに戻ってきてもらう


信頼性のある外部サイトへのリンクを提供することで、コンテンツの信頼度を高めることができます。ユーザーが外部リンクをクリックして情報の裏付けを確認した後、再び自社サイトに戻ってくる可能性が高くなり、結果としてエンゲージメントが高まります。外部リンクは、情報の正確性と信頼性を補強する手段として有効です。

4、なるべくたくさんのオリジナル画像を掲載して、画像を見てもらう


オリジナルの画像を多く掲載することで、ユーザーの視覚的な興味を引き、ページの魅力を高めることができます。画像はテキストに比べて直感的に理解しやすく、視覚的なエンゲージメントを促進します。ユーザーが画像をじっくり見ることで、ページに滞在する時間も自然と長くなります。

5、メインコンテンツに関連性が高い動画を貼り付けて、動画を見てもらう


動画はテキストや画像よりも強力なコンテンツ形式であり、ユーザーの関心を引きやすいです。関連性の高い動画をページ内に埋め込むことで、ユーザーが動画を見る時間が増え、サイトの滞在時間も延びます。これにより、エンゲージメントが大きく向上します。

6、オリジナルテキストを追加して、より多くの文章を読んでもらう


オリジナルのテキストを追加することで、ページの情報量が増え、ユーザーにとっての価値が高まります。特に、ユーザーが求める情報を深く掘り下げた内容を提供することで、ページの滞在時間が増え、エンゲージメントも向上します。ユニークで有益なコンテンツを提供することが大切です。


以上が、2024年8月15日のコアアップデートによって順位が下がった原因と対策についてです。

ユーザーにも、Googleにも求められているページはエンゲージメントが高いページです。エンゲージメントの意味を理解して、それを高める施策を早急に実施してください。

《補足資料 GA4に直帰率を表示する手順》





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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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