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2019年04月04日

Googleのリスティング広告を買うと検索順位は上がるのか?広告とSEOの関係

2019年04月04日

先日、私のSEOセミナー受講者の方から「Googleのリスティング広告を買うと検索順位は上がるのではないか」という趣旨のご質問をお寄せいただきました。

『こんにちは、以前鈴木先生のセミナーを受講したものです(かなり前になり、海外での仕事が多くなったので、その後は受講できていませんが)
Googleの検索順位には、矛盾が発生しているのではないかと最近思います。Googleは検索結果を適正にすれば、「それが色々なビジネスに繋がり、将来への期待値」として株価を上げている。
その一方で、今現在のGoogleの売上は、アドワーズ広告が主体です。試しにアドワーズ広告を停止したところ、検索順位も落ちました。
おそらくGoogleの価値観でいえば、「広告費用を出してまで宣伝する必要性がないサイト」というGoogle主体の捉え方をして、検索順位を落としたかと思います。
このようなSEOの見方は、正しいでしょうか?』


私はこれまでセミナー中の質疑応答の中で少なくとも40名近くの方から、この方と同じように「Googleのリスティング広告を買っている間は検索順位が上がるが、広告を停止すると順位が下るのでは?」という質問や報告をいただいています。

Googleは公式に何度もリスティング広告を購入することが自然検索順位の上昇につながることは無いと発表しています。
【参考情報】
"Do AdWords customers get special treatment in organic search results?"
アドワーズ広告の顧客は自然検索の順位で特別扱いされるのか?

Googleの公式見解をそのまま鵜呑みにするのは良くないと思いますが、それでもこの発表は事実だと思います。
もしGoogleが意図的にそうしたことをしているとすると米国などを中心にスキャンダルになりGoogleという会社の存亡に関わる大事件になるからです。

先日も海外のSEOニュースサイトで気になるニュースがありました:
【参考情報】
"Google Assistant is Not Disclosing That Some Search Results are Ads"
GoogleはGoogle音声アシスタントが紹介するビジネスが広告の場合そのことを通知していない

"Google has a legal obligation to disclose when its surfacing advertisements in search results. That applies to web search as well as voice search.
When displaying search results on a screen it’s easy to disclose paid listings with a “sponsored” or “ad” label.
How should Google disclose paid results when delivering voice answers? There hasn’t been a need to solve that problem until now.

(米国内でGoogleは検索結果ページに表示させる広告情報は広告であるということを明記する法的な義務を負っている。このことはWeb検索だけでなく音声検索でも適用される。Web検索では「広告」と表示されることは容易だが、音声検索の場合は困難だ。)

というニュースです。

このように米国においてGoogleは、Web検索の検索結果ページに表示されるビジネスが広告の場合は広告であることを明記する義務があり、それが少しでも曖昧になると弁護士や各方面から非難、追求されるという立場にいます。

こうした立場にいるGoogleがフェアであるかどうかに神経を尖らせる人たちから厳しく監視されているのに、広告主を自然検索の順位を決める際に優遇することは考えられません。

では何故、それでも事実としてGoogleの広告を買っている期間は自然検索順位が上がりやすい傾向にあるのでしょうか?

私の意見では、恐らく、アドワーズ(現:Google広告)を購入すると、Googleの検索結果ページからリンクされているサイトへの流入が増えるからです。
そのことをGoogleは多くの検索ユーザーのブラウザに仕込んだクッキーファイルや、Googleが何故か無料で提供しているChromeブラウザなどに流入のデータに記録します。
そしてGoogleはそれを定期的に収集してサービス改善のために利用していると公表しているくらいですので、サイトの評価をする上で参考にしていると考えられます。

そもそもGoogleの検索順位決定要因でも重要な要因の中に:

1、Googleの自然検索結果からの流入が多いか?
2、直接訪問者数が多いか?


という2つがあります。

下の図はSEMRush社が2017年に発表したGoogleの検索順位決定要因です。



ご覧のように検索順位決定の要因の1番が直接訪問者数(Direct Website Visit)になっています。

直接訪問者数はアクセス解析サイトのGoogleアナリティクスの左サイドメニューの:

集客 → すべてのトラフィック → チャンネル

を押すと表示されます。

【Googleアナリティクスの流入元内訳のデータ】



Google検索で上位表示しているサイトは検索エンジンや通常のWebサイト、あるいはSNSなどのメディアからくる訪問者ではなく、ブラウザから直接来るユーザーが多い傾向が実際にあります。

ブラウザから直接来るユーザーとは、ブラウザのブックマークやお気に入りから来る人達や、ブラウザがURLを覚えているのでamazon.co.jpなどの場合は ama とブラウザに入れるだけでその後の zon.co.jp が自動的に補完され表示されたURLをブラウザ上でクリックする人たちのことです。


直接訪問が多いサイトはユーザーに認知度が高いサイトで有名なサイトです。有名なサイト、人気が高いサイトを上位表示させようとするGoogleは直接訪問者が多いサイトを高く評価していると考えられます。

下の図は国内トップレベルの銀行のサイトのアクセス状況を推測したシミラーウェブのデータです。このソフトを使うと85%近くの正確性のあるサイトのアクセス状況の推測データが見れます。



ご覧のように直接流入を示す「Direct」がもっとも大きな流入メディアになっています。

さらにアマゾンのアクセス状況推測データを見ても:



というようにDirectからの流入が自然検索(organic)やSNS(Social)などと比べると最も多いことがわかります。

このように人気サイトは知名度が高いので、ブラウザから直接訪問するユーザーが大多数を占める傾向があります。

もう一つの「1、Googleの自然検索結果からの流入が多いか?」のほうですが、Googleの広告を購入しているとサイトの存在を知る人達が増え、彼らが再度サイトを見ようとするときは広告のリンクを踏んで来るのではなく、Googleで社名や店名を入れて検索してそのサイトを訪問する可能性が増します。



そのためGoogleの広告を買っている期間はGoogleでの指名検索が増えてGoogleの検索結果ページからの流入が増えるはずです。

こうした理由により、Googleの広告を購入している期間は自然検索での検索順位が高くなる傾向があるのだと思われます。

このことをGoogleは知っているのか知っていないのかはわかりません。あるいは黙認しているのかどうかもわかりません。

しかし、このメカニズムを指摘されて修正を迫られない限り、Googleの広告を購入すると自然検索の順位が上がるという問題を解消する動機は生まれないはずです。

ということでこのメカニズムが存在するとしたら、それはGoogleが意図的に行っていることではなく、結果的に広告を買うと上位表示しやすくなり、やめると下がりやすくなるという現象なのだと思います。

重要なことはGoogleの広告を買うことにより多少自然検索の順位が左右されるかどうかを気にするよりも、むしろ広告などに1円も使わなくても自然検索で上位表示する対策をやり抜くことだと思います。

そうすれば広告などに左右されずにサイトからの売上が安定、成長するのではないでしょうか。
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