パーソナルアシスタント開発競争に遅れたらGoogleは未来を失う!?
2015年08月18日
Googleがパーソナルアシスタント時代に向けて動き出しました。"Google’s iOS App Now Provides Context-Aware Conversational Search
Functionality is imperfect, but useful, and does more than Siri can do."
『Googleが会話の文脈を理解する会話検索をiOSに提供開始:機能は完璧ではな無いものの、Siri以上の事が出来るようになった』(Search Engine Land 2015年8月14日 )
この記事によるとiPhoneユーザー向けに提供しているGoogleというアプリに人工知能機能を実装したということです。
どのような機能かというとiPhoneユーザーがGoogleというアプリを起動して、観光地の名前で検索した後に、ホームボタンを押して口頭で「XXXXで一番良いホテルはどこ?」と質問をするとその答えが検索結果として表示されるということです。
一見大したことは思えませんが、これまでのテキスト検索よりは少し便利になったようです。
Googleの弱点は、これまで構築した資産であるGoogle検索に拘るところです。今回の機能もこれまでのウェブ検索に毛が生えてようなものに感じられます。
何故検索に拘るかというと検索ビジネスで成功したからでしょう。いわゆる「成功の呪い」というものです。
過去の成功体験に囚われるために全く新しい世界に飛び出すことは得ることよりも、失うリスクがあるのでどうしても賢い人達ほどそれが出来ないものです。
しかし、検索ビジネスにおいて、完全に負けたBingを運営するマイクロソフトには何も失うものはありません。
以前、当ブログでもご紹介したWindows10英版やWindowsPhone英語版に実装されたコルタナというパーソナルアシスタントを紹介したYouTube動画をご覧下さい。
この動画ではSiri、GoogleNow、コルタナというパーソナルアシスタントに同じ質問を投げかけてそれぞれがどうユーザーを助けるかを検証しています。
現在のところGoogleのパーソナルアシスタントであるGoogleNowが一番優れているということは決してありません。
Siriやコルタナのほうが見やすかったり動作が早い時が多いのです。
サービスの普及を成功されるには初動が重要です。普及段階に入った時に最高レベルのプロダクトを持っていればそのプロダクトは先行者利得を得てそのマーケットを支配する可能性が増します。
検索ビジネスで負けたマイクロソフトは終わった勝負を捨てて、次のパーソナルアシスタントという人工知能のフィールドにチャレンジを始めました。
コルタナを何としてでも普及させるためにもWindows10を無償化したのではないでしょうか?
ところで、ウェブ検索エンジンとパーソナルアシスタントの違いは何でしょうか?
それらの最大の違いは・・・
【ウェブ検索エンジン】検索結果から自分の頭脳で判断してウェブページを選ばなくてはならない
【パーソナルアシスタント】ユーザーの意図と好みを理解して1つだけ答えを出す
です。
また、ウェブ検索エンジンはパーソナルアシスタントの1つのパーツでしかなく、ユーザーが検索するのを待っている受け身のソフトでしかありません。
一方、パーソナルアシスタントは、ウェブ検索以外にもTwitter、Facebookなどのソーシャルメディアアプリや、地図アプリ、天気予報アプリ、計算機アプリなど様々な情報ソースから情報を収集することが出来ます。
また、ユーザーが検索という面倒な行為をしなくても、ユーザーの状況や気分を察して情報を必要としていそうなタイミングでタイムリーに提案という形で情報提供が出来ます。
そうなってくるとパーソナルアシスタントというのは誰もがスマホさえ持っていれば持てる個人的な秘書ロボットになるはずです。
そしてこの個人的な秘書ロボットとはすでにiPhoneのSiriやマイクロソフトのコルタナがしているように、ユーザーの話し相手になってくれたり、歌が聞きたければその時の気分にあった歌を歌ってもくれます。
もうそうなると個人的な秘書ロボットという段階を超えて友達にすらなるかもしれません。
そこまでいけば誰もが実態の無い「ドラえもん」のような凄い友達を持つようなことになるはずです。
すでに物質的実態のあるロボットが販売され人気を博しています。それはソフトバンクがこの夏に発売したペッパーです。
その顔はドラえもんというよりは鉄腕アトムに近いですが足りないのは脚くらいのものでかなりの話し相手になってくれるそうです。
こうした世界になってきたときに今のGoogleはどうなるのでしょうか?
それは、家電業界で日本が下請けメーカーのような立場になったように、あのGoogleも1つのコンテンツプロバイダーという下請けになる可能性があるということです。
無論こうした状況を避けるためにGoogleは必死で持ち金を使いM&Aという手段を駆使して人工知能技術を持っている企業を買収する動きに出ています。
もしもこの人工知能開発競争に負けたら、その時こそ「Googleが人工知能に敗北する日」が来るはずです。
話しはここでは終わりません。
何故なら、もし私達がGoogleのウェブ検索エンジンという1ツールに集客を依存していたら私達の会社もGoogleと一緒に共倒れになるからです。
では私達サイト運営者はどうすればよいのでしょうか?
それはGoogleだけに囚われるのではなく、視野をGoogle以外の企業の取り組みにまで広げる事です。
今日も国内で1つのニュースが報道されました。それは・・・
『楽天は、8月19日、Android(TM) OS向けのアプリストア「楽天アプリ市場」のサービスを開始した。同ストアでは、約180社のアプリ開発者が提供する、「楽天アプリ市場」限定アプリを含む約390タイトルのアプリを取り扱っている(※8月18日時点の数字)。
「楽天アプリ市場」の大きな特徴は、ストア内の支払いやアプリ内における課金に「楽天スーパーポイント」を利用できるだけでなく、支払い金額に応じて通常の10倍のポイントを獲得できること(※購入額100円毎に、「楽天スーパーポイント」を通常の10倍に当たる10ポイントを付与。一部のアプリは対象外)』(Social Game Info 2015年08月20日)
これは明らかにGoogleアンドロイドが支配するアンドロイドアプリ市場をアマゾンのように独自のアプリストアを立ち上げてGoogle経済圏から逃れるための動きです。
楽天は着々と駒をすすめています。それは:
1、楽天市場で格安スマホ「楽天モバイル」を発売する
2、LINEのようなメッセージアプリのバイバーを買収、アマゾンKindleの対向するためにKoboを買収
3、楽天スーパーポイントの価値を高めるためローソンと提携
などの動きです。
Googleが未だ提供していないポイントという武器にレバレッジをかけてモバイル市場の川上から川下までを攻めようとしています。
楽天も現在、パーソナルアシスタントには関心を持っていることでしょう。
あのFacebookにも動き出しています。それは・・・
『フェイスブックは、ニューヨーク・シリコンヴァレーのオフィス間を跨ぐAIチームを結成し、さらにフランスはパリに、新たなAI研究所を開設する。ヨーロッパには、彼らAIに注力する北米企業が欲しがる「AI人材」が眠っているのだという。』(WIRED.jp 2015.6.3 )
FacebookというGoogleの5分の1の年商を稼ぐもう一つのインターネットにおいてユーザーを人工知能を使い囲いこもうとしているようです。
今後私達は楽天、ソフトバンク、マイクロソフト、Facebook、アマゾン、アップル等の動きにも目を配り、機会を見つけたら活用する必要があるはずです。
ようやく、Google一極の世界から多極的な世界に時間が戻る可能性が出てきました。
しかし、その先にはまた新たな支配者が登場することでしょう。
一つだけ確かなことは私達はもはや立ち止まることは許されないという事です。
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