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「関連する質問」を開くとほぼ100%「AIによる概要」が表示される!――強調スニペットの時代の終わりと、質問に答えるページの新しい役割

2026年10月09日

Googleで検索したとき、検索結果の途中に「関連する質問」という欄が表示されることがあります。関連する質問がいくつか並び、気になる質問をクリックすると、その答えが開く機能です。

この「関連する質問」の答えの中身が、大きく変わりました。これまでは、Webサイトの文章をそのまま抜き出した「強調スニペット」と呼ばれる形で答えが表示されていました。それが今では、「AIによる概要」(英語圏では「AI Overviewと言われる)というラベルの付いた、AIが作った回答にほぼ置き換わっています。

英語の検索を分析した民間企業の調査によると、AIの回答の割合は2026年8月の86%から、9月初めには97%に増えました。別の調査会社は、8月の時点ですでに100%だったと報告しています。

この記事では、この変化の中身とデータの読み方、影響を受けやすいページの特徴、そしてサイト運営者が今確かめておきたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。


「関連する質問」とはどんな機能か


「関連する質問」は、英語ではPeople Also Ask(PAA)と呼ばれる機能です。検索した言葉に関連して、ほかの人がよく調べている質問を一覧で表示します。

たとえば「確定申告」と検索すると、「確定申告はいつまで?」「確定申告をしないとどうなる?」といった質問が並びます。質問をクリックすると答えが開き、さらに関連する質問が下に追加されていきます。



これまで、この答えには「強調スニペット」が使われてきました。強調スニペットとは、Googleが質問への答えとしてふさわしいWebページを選び、その文章の一部をそのまま抜き出して表示するものです。答えの下にはそのページへのリンクが表示されるため、ここに選ばれることは、サイトにとって大きな集客の機会になっていました。


回答の97%がAIに置き換わった


この変化を報じたのが、海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableです。2026年9月9日の記事で、2つの調査結果を紹介しました。

一つは、「関連する質問」の分析ツールを提供するAlsoAsked社のマーク・ウィリアムズ=クック氏の調査です。英語の検索およそ2,000万件を分析したところ、答えがAIの回答になっている割合は、8月の86%から、9月の第1週には97%に増えていました。同氏は「まもなく100%に達する可能性が高い」と述べています。

もう一つは、Allintitle社のサイード・コスラヴィ氏の報告です。同社のツールでは、2026年8月の時点で「関連する質問」の答えは100%AIが作ったものになっていたとしています。

新しい答えには「AI Overview」というラベルが付き、答えの下には出典となったWebページのリンクが表示されます。なお、Googleはこれらの数字についてコメントしていません。

海外メディアのSearch Engine Watchも同じ日にこの変化を伝え、コスラヴィ氏の「Googleは従来の『関連する質問』の答え、つまりWebページから直接抜き出した文章を完全に引退させた」という言葉を紹介しています。


14か月で12.6%からほぼ100%へ


この変化は、ここ2年ほどの間に段階的に進んできたものです。
最初に確認されたのは2024年11月です。Search Engine Roundtableによると、検索順位を調べるツールを開発するデレク・パーキンス氏が、「関連する質問」の答えとして、強調スニペットの代わりに「AIによる概要」が表示されるテストを見つけました。

2025年5月には、SEOのデータを提供するDataForSEO社が、「関連する質問」の答えが強調スニペットなのかAIの回答なのかを見分けられるよう、データの取得の仕組みを更新したと発表しています。ツールの会社が対応を急ぐほど、AIの回答が無視できない量になってきていたということです。

そして2025年7月の時点で、AlsoAsked社の計測では、AIの回答の割合は12.6%でした。残りの87.4%は、Webサイトを引用した強調スニペットです。そこからわずか14か月ほどで、ほぼすべてがAIの回答に置き換わったことになります。

新聞にたとえると分かりやすいでしょう。これまでの強調スニペットは、ある記事の一部を「切り抜き」としてそのまま見せるものでした。切り抜きの下には新聞社の名前が載っていて、続きを読みたい人はその新聞を手に取ります。これからのAIの回答は、記者がいくつもの記事を読んで、自分の言葉でまとめ直した解説のようなものです。元の記事の名前は添えられていますが、読者は解説だけで満足しやすくなります。


数字を読むときに押さえたい3つの限界


ただし、「ほぼ100%」という数字をそのまま受け取るのは注意が必要です。2026年9月11日に、デジタルマーケティング会社Relevant Audienceがデータの限界を整理しています。

1. 英語の検索だけが対象
どちらの計測も英語の検索だけを対象にしており、英語以外の市場の数字はありません。

2. クリックへの影響は分かっていない
クリック数やクリック率がどう変わったのかについてのデータはありません。

3. Googleは認めていない
数字はいずれも民間企業のツールによるもので、Googleの公式な発表やコメントではありません。第三者の検証も経ていません。


影響を受けやすいページと受けにくいページ


Relevant Audienceは、影響を受けやすいページと受けにくいページについても整理しています。
影響が大きいとみられるのは、やり方の解説、サポート情報、用語集、医療や金融の解説、質問の形をとったブログ記事などです。つまり、「◯◯とは」「◯◯のやり方」「◯◯はいつまで」といった質問に答えるページです。これまで強調スニペットとして「関連する質問」に選ばれやすかったページほど、影響を受けやすいことになります。

一方、社名や商品名での検索、購入を目的とした検索、地図の情報が中心となる地域の検索では、影響は比較的小さいとしています。


日本語の検索ではどうなっているのか


日本のサイト運営者にとって気になるのは、日本語の検索でも同じことが起きているかどうかです。結論から言うと、日本語の検索で「関連する質問」の答えがどれだけAIの回答に置き換わっているかを示すデータは、見つかりませんでした。

参考になるのが、SEOツールを提供する株式会社JADEの観測です。同社の2026年9月9日の記事によると、日本語の検索結果で「関連する質問」が表示されたキーワードの数は、8月12日の週に171,039件となり、前の週より11.3%増えました。検索結果の上位2枠以内に表示される割合も、10.85%から15.29%に広がっています。日本語の検索でも、「関連する質問」の存在感そのものは増しているということです。

同じ記事では、商品やサービスを比べる検索で「AIによる概要」が表示される割合が0.6%から47%に伸びたことも紹介されています。ただし、これらは同社が独自に追跡している十数万件のキーワードでの暫定的な数字で、日本全体を集計したものではありません。また、日本語の「関連する質問」の答えがAIの回答になっているかどうかについては書かれていません。


強調スニペットで集客してきた動物病院


先日、ある動物病院のクライアントさんから「以前は『関連する質問』に病院のページがよく表示されていたが、最近はAIの回答ばかりになった気がする」というご相談をいただきました。

その病院では、「子犬のワクチンは何回打つ?」「猫の避妊手術は何歳から?」といった飼い主さんの疑問に答えるページを、長年こつこつと書いてきました。こうしたページは強調スニペットに選ばれやすく、病院を知ってもらう入り口になっていました。

一緒に実際の検索結果を開いてみると、答えはAIの回答に変わっていましたが、その下の出典には病院のページが含まれていました。私は「これまで書いてきたページは、今もAIに信頼できる情報源として使われています。そのうえで、一般的な答えの先にある情報を足しましょう」とお伝えしました。地域で多い病気の傾向や、病院で実際によく受ける相談、費用の目安など、病院にしか書けない情報を加えていただきました。


自社の「関連する質問」を確かめる方法


日本語の検索でどこまで変化が進んでいるかを知るいちばん確実な方法は、自社に関わるキーワードで、実際に「関連する質問」を開いてみることです。



自社のサイトに集客しているキーワードを、Search Console(Googleが無料で提供しているサイト運営者向けの分析ツール)で確認し、その中から質問の形のキーワードをいくつか選びます。実際に検索して「関連する質問」の質問を一つずつ開き、答えに「AI Overview」や「AIによる概要」のラベルが付いているか、出典に自社のページが含まれているかを確かめてください。

結果は日によって変わることがあるので、月に一度など、決まった間隔で同じキーワードを確かめて記録しておくと、変化をつかみやすくなります。


AIの要約では満たせない情報で選ばれる


最後に、「関連する質問」の答えがAIに置き換わっていく中で、サイト運営者が取り組みたいことを3つ紹介します。

1. 出典として選ばれ続けるページを保つ
AIの回答の下には出典のリンクが表示されます。正確で分かりやすい答えを持つページは、今もAIの材料として選ばれます。これまで書いてきた質問に答えるページを、最新の情報に保っておきます。

2. 要約の先にある独自の情報を加える
Relevant Audienceは、独自のデータ、実際に使ったうえでの商品の詳しい情報、価格、地域の事情など、AIの要約では再現できない情報が、読者がクリックする理由になると指摘しています。一般的な答えだけで終わらず、自社にしか書けない情報を加えます。

3. 質問に答えるページへの集客の変化を見る
Search Consoleで、質問の形のキーワードの表示回数とクリック数を定期的に比べます。表示回数は変わらないのにクリックが減っているページがあれば、そこから見直しを始めます。


まとめ


今回の話をまとめると、英語の検索では、「関連する質問」の答えが、Webサイトの文章を抜き出した強調スニペットから、「AI Overview」のラベルが付いたAIの回答へとほぼ置き換わりました。AlsoAsked社の調査では2026年8月の86%から9月初めに97%へ、Allintitle社は8月の時点で100%と報告しています。2025年7月の12.6%から、わずか14か月ほどでの変化です。

ただし、これらは英語の検索だけを対象にした民間企業の計測で、クリックへの影響は分かっておらず、Googleも認めていません。日本語の検索で同じことが起きているかを示すデータも、まだありません。だからこそ、自社のキーワードで実際に確かめることが大切です。

強調スニペットは、長い間「質問にきちんと答えたページ」へのごほうびのような存在でした。そのごほうびの形が、AIの回答の出典という形に変わろうとしています。これまで読者の疑問に誠実に答えてきたページは、形が変わっても材料として使われ続けます。次は、AIの答えを読んだ人が「もっと詳しく知りたい」と思ったときに、その期待に応えられるページになっているかを見直してみてください。

「Deep Search」という新機能――「AIモード」が数百の並列検索で作る「専門家レベルレポート」の正体

2026年10月07日

「AIモード」の中でユーザーが有効化できる「Deep Search」という新機能が、2026年5月のGoogle I/Oで発表されました。この機能は、単に情報を検索する道具というより、「専門の調査員がユーザーに代わって数百件の情報源を調べ、専門家レベルのレポートを作成する」ような働きをする、これまでのAI検索とは一線を画す仕組みです。

多くの企業のWeb担当者や経営者が、「Deep Search」を「単なる新機能の1つ」として認識しています。しかし、この機能は「AIモード」の中でも特別な位置付けを持ち、企業のコンテンツ戦略に対して独自の要求を突き付けます。「Deep Search」で選ばれる情報源になれる企業と、なれない企業では、専門的な検討をするユーザーからの信頼獲得において決定的な差が生まれるのです。

多くの企業の支援を行ってきた立場から見ると、「Deep Search」の登場は、コンテンツ発信の質を測る新しい基準の登場を意味しています。「一般ユーザー向けに書かれた記事」から「専門家の調査に耐える記事」へと、質の高い情報発信の水準そのものが引き上げられている状況です。この変化への対応が、これからのB2B企業や専門性の高いサービスを提供する企業の集客成果を大きく左右します。

今回は、「Deep Search」という新機能の正体、その仕組み、そして企業のコンテンツ戦略への影響について、実務の視点から解説します。


「Deep Search」とは何か


「Deep Search」は、「AIモード」の中でユーザーが有効化できる、深い調査に特化した機能です。

ユーザーが「AIモード」の中でDeep Searchを有効化すると、AIは通常のマルチターン検索(複数回の対話を1つのセッションとして扱う検索方式)とは異なる動作をします。1つの質問に対して数百件規模の並列検索を実行し、集めた情報を統合して、専門家レベルの詳細レポートを生成するのです。

生成されるレポートは、通常の「AIモード」の回答よりもはるかに深く、複数の観点を統合した詳細な内容になります。市場分析、技術動向調査、比較検討、業界レポートといった、通常なら専門調査会社に依頼するような水準の情報が、数分から数十分程度で生成される仕組みです。




数百の並列検索という仕組み


「Deep Search」が数百件の並列検索を実行する仕組みは、市場調査会社が数百のアンケートと文献から1つのレポートを作り上げる過程と似ています。

市場調査会社が業界レポートを作成する時、担当者が1人だけで情報を集めるわけではありません。複数の調査員が並行して、それぞれ異なる情報源(業界統計、企業インタビュー、消費者アンケート、公開資料など)から情報を集めます。集めた情報を統合し、専門家としての分析を加え、1つの詳細なレポートに仕上げる。この分業と統合のプロセスが、質の高い調査レポートを生む仕組みです。

「Deep Search」も、まったく同じ構造で動作します。ユーザーが1つの質問を投げかけると、AIは自動的に数百のサブクエリ(元のクエリを細分化した派生クエリ)を生成し、それぞれについて並行して情報を集めます。集めた情報を統合し、AIの分析を加え、1つの詳細レポートを組み立てるのです。

この仕組みの重要な点は、情報源の多様性が確保されることです。数百件の並列検索により、テキスト記事だけでなく、動画・PDFレポート・研究論文・専門メディア・コミュニティ投稿といった多様な形式の情報源が引用対象になります。




「専門家レベルレポート」の構造


「Deep Search」が生成する「専門家レベルレポート」の構造を整理します。

生成されるレポートには、以下のような共通の構造があります。

1. 主題の全体像の提示
レポートの冒頭で、扱う主題の全体像・背景・重要性が整理されます。単なる情報の羅列ではなく、主題を体系的に理解できる構成です。

2. 複数の観点からの分析
主題を複数の観点(技術面・市場面・法規面・トレンド面など)から分析し、多面的な理解を提供します。1つの視点だけでは見えない全体像を、統合的に示します。

3. 具体的な数字とデータの提示
抽象的な議論ではなく、具体的な数字・統計・データを盛り込んだ分析が展開されます。「AIモード」で引用される情報源に、事実密度の高い情報が求められる理由です。

4. 引用ソースの明示
各分析の根拠となる引用ソースが明示されます。ユーザーはレポートの各部分について、元の情報源を確認できます。

5. 結論と示唆の整理
レポートの末尾では、集めた情報から導き出せる結論と、実務的な示唆が整理されます。



通常の「AIモード」との違い


Deep Searchと通常の「AIモード」の違いを整理します。

通常の「AIモード」は、ユーザーとの対話的なやり取りの中で、その都度必要な情報を提供します。1つの質問に対して比較的短時間(数秒〜数十秒)で回答を返し、追加質問に応じてさらに情報を深掘りしていく体験です。

Deep Searchは、ユーザーが最初に「徹底的に調べてほしい」と伝えた後、数分から数十分の時間をかけて、集中的に調査を実行します。ユーザーは待つ時間を許容する代わりに、はるかに深く網羅的なレポートを受け取れます。

この違いは、以下のような使い分けを生みます。日常的な情報検索や短時間の相談には通常の「AIモード」、専門的な調査や意思決定のための深い分析にはDeep Search、といった使い分けです。ユーザーは目的に応じて2つを使い分けるようになります。


Deep Searchが使われる場面


Deep Searchが実際に使われる場面を整理します。

1. 購買前の徹底調査
高額商品の購入前、複数の選択肢を徹底的に比較検討する場面で、Deep Searchが選ばれます。住宅・車・BtoB向けサービス・投資商品といった、大きな意思決定を伴う購買行動の初期段階です。

2. 業界動向の把握
業界のマクロトレンド、市場規模の推移、主要プレイヤーの動向といった、業界の全体像を把握したい時にDeep Searchが有効です。BtoB企業の担当者が調査目的で使うケースが増えています。

3. 専門的な意思決定支援
医療・法律・税務・金融といった専門的な意思決定の前段階で、Deep Searchによる調査が行われます。専門家に相談する前の予備知識として活用されます。

4. 研究や学習の資料集め
研究者・学生・専門家が、特定テーマについて既存情報を体系的に把握する目的で使います。文献調査の代替として機能する場面です。


Deep Searchで引用されるコンテンツの特徴


Deep Searchで引用されるコンテンツには、通常の「AIモード」以上に厳しい条件があります。

1. 徹底的に深く網羅的な情報
Deep Searchは、深い情報を求めるユーザーの調査に応えるため、断片的な情報ではなく、体系的で網羅的な情報を優先します。1テーマについて数千字から1万字規模の深い記事が有利になります。

2. 一次情報の豊富さ
独自調査データ、実務経験に基づく具体的事例、専門家としての独自解釈など、他では得られない一次情報が高く評価されます。

3. 著者の権威性が確立されている
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性、Googleがコンテンツの質を判断する4つの指標)シグナルが明確な情報源が優先されます。専門家として業界内で認知されている著者による記事が選ばれやすくなります。

4. 業界メディアや権威ある情報源からの言及
自社サイト単独ではなく、業界メディアや権威ある情報源で言及されているブランドの情報が、Deep Searchで有利になります。エンティティ(実在する人物や組織としての情報の集合体)としての確立度が問われます。

企業のコンテンツ戦略への影響


Deep Searchが企業のコンテンツ戦略に与える影響を整理します。

1. 「専門家レベルの情報発信」への昇華
一般ユーザー向けの入門記事だけでなく、専門家に読まれても評価される深い情報の発信が求められます。BtoB向けの詳細な技術解説、業界レポート、実務経験に基づく専門的な分析といった、高い水準の情報発信が必要になります。

2. 業界内でのポジション確立の重要性
Deep Searchで引用される情報源は、業界内で認知された企業に集中する傾向があります。業界メディアへの寄稿、業界カンファレンスへの登壇、業界団体での活動といった、業界内でのエンティティ確立への投資が重要になります。

3. 一次情報の継続的な発信
自社の独自調査、業界動向の分析、実務データの公開といった、他では得られない一次情報の継続発信が、Deep Searchでの引用機会を高めます。


コンサル事例:中古自動車査定サービスでのレポート型コンテンツ


ある中古自動車査定サービスのクライアントさんの事例です。「中古車の売却を検討するユーザーがDeep Searchで詳細な相場調査を行うようになった」というご相談でした。

拝見すると、査定サービスの案内は整備されていましたが、中古車市場の動向・車種別の相場推移・売却時期の判断といった、調査目的で読まれる深い情報の発信が薄い状態でした。私は、月次で中古車市場のレポートを発表することを提案しました。人気車種の相場推移、季節要因、輸出動向、走行距離別の価格差など、業界データを体系的に整理したレポート形式です。数ヶ月後、中古車の売却相談的なクエリで「AIモード」のDeep Searchに自社レポートが引用されるようになりました。


まとめ


今回の話をまとめると、「Deep Search」は「AIモード」の中で動作する数百件の並列検索によって専門家レベルのレポートを生成する新機能で、企業のコンテンツ発信に「専門家に読まれても評価される深さ」という新しい水準を要求している、ということです。

徹底的に深く網羅的な情報の発信、一次情報の継続的な発信、業界内でのエンティティ確立、著者の権威性の明示という4つの方向で対応を進めることで、Deep Searchでの引用獲得が可能になります。この対応は、単なる新機能への対策ではなく、企業のコンテンツ発信の質そのものを引き上げる取り組みとして位置付けることが重要です。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。

ChatGPT広告が「会話できる広告」に――Sponsored AgentsとShopify連携で何が変わるのか

2026年10月04日

ChatGPTの画面に広告が表示されるようになって、半年余りがたちました。日本でも2026年8月に広告の提供が始まり、ChatGPTの回答の下に「スポンサー」と書かれた広告を見かけた方もいるはずです。

その広告が、新しい段階に入ろうとしています。OpenAI社は2026年9月16日、ChatGPT広告の新機能をまとめて発表しました。目玉は「Sponsored Agents(スポンサード・エージェント)」と呼ばれる仕組みです。広告をクリックすると、その企業が用意したAIと会話できるようになります。

あわせて、広告文や画像をAIが提案する機能や、顧客管理ツールのHubSpot、ネットショップ作成サービスのShopifyとの連携も発表されました。

この記事では、発表された内容と日本の事業者への影響、そして実際に試すときの考え方を、SEOとWeb集客の相談に長く携わってきた立場から解説します。


ChatGPT広告に4つの新機能が加わった


OpenAI社が公式ブログで発表した主な新機能は、次の4つです。

1. 会話できる広告「Sponsored Agents」
広告をクリックした人が、その企業のAIと会話できる新しい広告の形です。現在は米国の一部の広告主とテストしている段階です。

2. 広告管理画面でのAIによる提案
広告文や画像の案を、AIが提案してくれる機能です。広告を出す手間を減らすためのものです。

3. HubSpotとの連携
HubSpotの画面から、ChatGPT広告の作成や成果の確認ができるようになりました。発表日から使えるとされています。

4. Shopify向けのアプリ
Shopifyでネットショップを開いている事業者が、専用アプリからChatGPT広告を出せるようになりました。米国で先に提供が始まり、9月23日からはChatGPT広告を扱うほかの国でも使えるようになるとされています。




Sponsored Agentsは会話できる広告


今回の発表で最も新しいのが、Sponsored Agentsです。

ここでいうエージェントとは、利用者の質問に答えたり、手続きを手伝ったりするAIの担当者のことです。Sponsored Agentsは、広告主である企業が用意したAIの担当者を、広告の先に置く仕組みです。

流れはこうです。ChatGPTで調べものをしていると、関連する広告が表示されます。その広告をクリックすると、企業のAIとの会話を始めるかどうかを選べます。会話を始めると、商品について質問したり、自分に合った説明を受けたりできます。納得したら、リンクから企業のサイトに進みます。

OpenAI社は、この会話にははっきりとラベルが付き、ChatGPT自身の中立的な回答とは区別されると説明しています。また、もともとChatGPTとしていた会話とも切り離されるとしています。



ここは、SEOやAI検索対策に取り組んでいる企業にとっても大事なポイントです。OpenAI社は広告を始めたときから、広告がChatGPTの回答の中身に影響することはないと説明してきました。つまり、お金を払えばChatGPTの回答の中で自社が推薦されるようになる、というわけではありません。

ChatGPTの回答そのものに自社の名前が出てくるかどうかは、これまでどおり、自社サイトの情報の質や、ほかのサイトでどう紹介されているかで決まります。広告はあくまで回答とは別の枠で、お金を払って見てもらう道です。自然に紹介されるための取り組みと、広告で見てもらう取り組みは、分けて考えておく必要があります。


広告をクリックした後に何が起きるのか


これまでのネット広告は、クリックすると企業のサイトに移動するのが普通でした。そこから先は、サイトの文章を読んで自分で判断するしかありません。

Sponsored Agentsは、そのあいだに「店員さんとの会話」を挟むようなものです。家具店でテーブルを見かけたとき、店員さんに「これは何人座れますか」「うちの部屋に入りますか」と聞いてから買うかどうかを決める。その体験を、ChatGPTの中で再現しようとしているわけです。

実際、OpenAI社の発表でも、広告で見かけたダイニングテーブルが自分の部屋に合うか気になっている買い物客の例が紹介されています。

なお、企業のAIとの会話の内容を広告主がどこまで見られるのかについては、今回の発表文では触れられていません。日本で提供が始まる際には、この点も確認しておきたいところです。

海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableも、この発表を同じ日に報じています。同メディアによると、今回の発表には、成果を数える期間を7日、14日、30日から選べる機能や、広告の表示回数に応じて課金しながら成果につながるよう配信を調整する仕組みも含まれています。


広告づくりもAIが手伝う


続いて、広告管理画面でのAIによる提案です。広告管理画面とは、広告主が広告の作成や予算の設定、成果の確認を行う画面のことです。

OpenAI社の説明では、広告の飛び先となるページの内容と、広告の目的をもとに、AIが広告文と画像の案を出してくれます。さらに、見出しや説明文を会話の流れに合わせて調整したり、自動で翻訳したりする機能も加わりました。

広告文を考えるのが苦手な中小企業にとっては、出稿のハードルが下がる変化です。ただ、AIが出した案をそのまま使うのではなく、事実と違う表現や、自社らしくない言い回しがないかを必ず人の目で確かめてください。



HubSpotとShopifyとつながる意味


残る2つの新機能は、外部のサービスとの連携です。

HubSpotは、見込み客や顧客の情報をまとめて管理するためのツールです。今回の連携で、HubSpotの中からChatGPT広告を作り、成果を確認し、広告経由で問い合わせてきた見込み客へのフォローまで一か所で行えるようになりました。

Shopifyは、ネットショップを簡単に作れるサービスです。専用アプリを使うと、ChatGPT広告のアカウントを作ったり、すでにあるアカウントとつないだりして、ショップの商品データを広告管理画面に取り込めます。商品データとは、商品名、価格、画像、説明文などをまとめた一覧のことです。広告の作成や成果の確認も、Shopifyの画面から行えます。

米国のマーケティング調査会社eMarketerは、こうした連携によって新しいブランドが参入しやすくなる一方で、ChatGPTの利用者はGoogle検索よりずっと少ないため、当面は検索広告の予算のごく一部にとどめるべきだという見方を示しています。


日本の事業者はいつから使えるのか


日本の事業者にとって気になるのは、どの機能がいつから使えるかです。

まず、ChatGPT広告そのものは、日本でも使えます。OpenAI社は8月11日に、日本を含む5か国で広告を始めたと発表しました。また、広告主が自分で広告を出せる広告管理画面の提供国の一覧にも、日本が入っています。

Shopifyアプリについて、OpenAI社は9月23日からChatGPT広告の提供国でも使えるようになるとしています。発表文に日本の名前は出てきませんが、日本は広告の提供国に入っているため、対象に含まれると考えられます。実際に使えるかどうかは、自社のShopify管理画面でアプリを確認するのが確実です。

一方、Sponsored Agentsは、現時点では米国の一部の広告主とのテストにとどまっています。日本でいつ使えるようになるかは、発表されていません。


「Shopifyのお店でも出すべきか」というネットショップの相談


先日、インテリア雑貨のネットショップを運営しているクライアントさんから、こんなご相談をいただきました。「ShopifyからChatGPT広告が出せるようになったと聞きました。うちも今すぐ始めたほうがいいでしょうか」と。

拝見すると、このショップは商品数は多いものの、商品の説明文が短く、サイズや素材が書かれていない商品が目立ちました。私は「広告を出す前に、まず商品データを整えましょう」とお伝えしました。

ChatGPT広告は、会話の内容に合わせて広告が選ばれる仕組みです。説明が薄い商品は、どの会話に合うのかをAIが判断しにくくなります。さらに将来、Sponsored Agentsのような会話型の広告が日本でも使えるようになれば、AIの担当者が答えられるのは商品データに書いてあることだけです。

そこで、売れ筋の商品から順に、サイズ、素材、使い方、お手入れ方法を説明文に書き足していただくことにしました。広告はその作業が一段落してから、少額で試す予定です。


試すときに気をつけたい3つのこと


ネットショップや中小企業がChatGPT広告を試すなら、次の3つを意識してください。

1. 少額で始めてGoogle広告と比べる
ChatGPT広告には、まだ業種ごとの成果の基準値がありません。期間と予算の上限を先に決めて少額で始め、同じ期間のGoogle広告と比べて、問い合わせや売上につながったかを見ます。

比べるときは、成果を数える期間をそろえることも大切です。今回の発表で、ChatGPT広告でも広告に接してから何日後までの購入や問い合わせを成果として数えるかを、7日、14日、30日から選べるようになりました。Google広告の設定と期間が違うと、正しい比較になりません。

2. 商品データと飛び先のページを整える
AIが広告文を提案するときも、広告を会話に合わせるときも、材料になるのは自社のページと商品データです。古い価格や在庫切れの商品が残っていないかを確かめておきます。

3. 出せない話題があることを知っておく
OpenAI社は、健康や心の健康、政治といった慎重な扱いが必要な話題の近くには広告を表示しないとしています。また、広告が表示されるのは無料プランとGoプランの利用者だけです。自社の商品がどんな会話に合いそうかを考えてから出稿してください。


まとめ


今回の話をまとめると、OpenAI社は9月16日にChatGPT広告の新機能を発表しました。広告の先で企業のAIと会話できるSponsored Agentsは、米国の一部の広告主とのテスト段階です。AIによる広告文や画像の提案、HubSpotとの連携、Shopify向けアプリも加わり、Shopifyアプリは9月23日からChatGPT広告の提供国でも使えるようになるとされています。日本ではChatGPT広告そのものは使えますが、Sponsored Agentsの提供時期は未定です。

これまでのネット広告は、通りに立てる看板のようなものでした。Sponsored Agentsは、その看板の横に店員さんを立たせる仕組みです。ただ、どれほど話し上手な店員さんでも、商品のことをよく知らなければお客さんの質問には答えられません。会話できる広告が日本に来る日に備えて、今のうちに自社の商品情報を、AIが胸を張って説明できる中身にしておきましょう。

「Search Live」で「AIモード」に話しかける時代へ――音声検索対策はここから変わる

2026年10月03日

Google I/O 2026で発表された「AIモード」関連の新機能の中で、音声検索対策のあり方を根本から変えるのが「Search Live」です。ユーザーがスマホのカメラを対象物に向けながら、音声で「AIモード」に話しかけて相談する。まるで隣にいる専門家と会話するように、リアルタイムで対話しながら情報を得られる新しい検索体験が、Search Liveで実現しました。

多くの企業のWeb担当者は、これまでの音声検索を「テキスト検索の音声版」程度に捉えてきました。しかし、Search Liveの登場で、音声検索は「音声で入力してテキストで回答が返る」だけの機能ではなく、「音声とカメラの組み合わせで、リアルタイムで対話する」全く新しい体験へと変貌しています。この変化に対応できる企業と、旧来の音声検索対策のままの企業では、これからの数年間で明確な差が生まれてくるでしょう。

数百件のAI検索対策の分析から見えてきたのは、音声検索対策の質が根本的に問われる時代に入ったという事実です。Search Liveが普及することで、音声で自然に読み上げられる情報、視覚的な状況と組み合わせて機能する情報、対話の途中で追加質問に応えられる情報といった、新しい水準の情報発信が求められるようになりました。

今回は、「Search Live」で「AIモード」に話しかける新しい体験、音声検索対策がどう変わるのか、企業がどう対応すべきかを解説します。


「Search Live」とは何か


「Search Live」について、実務的に整理します。

Search Liveは、ユーザーがスマホのカメラを対象物に向けながら、音声で「AIモード」に話しかけて相談できる機能です。テキストや写真を送信する従来の検索とは異なり、リアルタイムで対話しながら情報を得られる新しい体験を提供します。

具体的な使い方は以下のようになります。ユーザーがスマホカメラを対象物(植物、機械、料理、症状など)に向けます。同時に音声で「これは何ですか」「使い方を教えて」「同じ状況の対処法は」といった質問を話しかけます。「AIモード」はカメラの映像と音声を統合的に理解し、リアルタイムで音声または音声とテキストの両方で回答します。



この構造は、観光地の案内所で、地図を指しながら音声で相談員に質問する場面と似ています。観光地の案内所では、パンフレットや地図を目の前に置きながら「ここに行きたいのですが、どうやって行けばいいですか」と相談員に質問できます。相談員は地図の情報と質問を統合的に理解し、道順や周辺情報を含めて丁寧に説明してくれます。この対面での相談体験を、AIとの間で実現しているのがSearch Liveなのです。


音声検索の質的な変化


Search Liveの登場で、音声検索の質が根本的に変化しました。

従来の音声検索
これまでの音声検索は、テキスト入力の代替でした。ユーザーは音声で質問を入力し、テキストの検索結果を得ます。音声はあくまで入力手段の一つで、体験の中核ではありませんでした。

Search Live時代の音声検索
Search Liveでは、音声が対話の中核として機能します。カメラの映像と組み合わせながら、リアルタイムで会話することで情報を得るのが体験の本質です。1回の質問で完結せず、対話を続ける中で徐々に情報が深まります。

この質的変化により、企業側に求められる対応も大きく変わります。単に「音声で質問された時にテキストで回答される」ことを想定するのではなく、「音声で読み上げられた時に自然に伝わる情報」「カメラと組み合わせて機能する情報」「対話の中で追加質問に応えられる情報」といった、新しい観点での情報設計が必要になります。



Search Liveが普及する場面


Search Liveが普及する場面を整理します。

1. 視覚的な識別が必要な場面
植物、動物、機械、商品、料理、症状といった、視覚的な識別を伴う質問で、Search Liveが特に有効です。写真を送るより、カメラを向けながら音声で質問する方が自然で速いためです。

2. 手を使えない状況
料理中、運転中(合法な範囲で)、作業中、育児中といった、手を使えない状況での検索が Search Liveに移行します。音声だけで情報を得られる体験が、忙しい日常生活で重宝されます。

3. 対話的な相談が必要な場面
商品選び、旅行計画、医療相談、法律相談といった、対話を通じて情報を絞り込む必要がある場面で、Search Liveが選ばれます。「AIモード」の対話能力が最大限に活かされる用途です。

4. 感情的なサポートが必要な場面
不安を感じている、判断に迷っている、といった状況で、対話型の相談は心理的にも支えになります。テキストの一方的な情報より、対話することそのものに価値がある場面です。



音声で読み上げられた時に自然な情報構造


Search Live時代の音声検索に対応するためには、音声で読み上げられた時に自然に伝わる情報構造の設計が重要です。

1. 短くリズミカルな文章
長く複雑な文章は、音声で読み上げられた時に理解しにくくなります。1文を短く、リズミカルな文章にすることで、聞き取りやすくなります。

2. 結論先出しの明確さ
音声を聞く場合、テキストのようにスキャニング(飛ばし読み)ができません。結論を最初に明確に述べ、その後に理由や詳細を展開する構造が有効です。

3. 具体的な数字の使い方
抽象的な表現より、具体的な数字を使うことで、音声でも情報が明確に伝わります。「多くの企業で」より「約60%の企業で」といった具体化が有効です。

4. 箇条書き構造の活用
「3つのポイントがあります。1つ目は〜、2つ目は〜、3つ目は〜」といった構造は、音声で読み上げられても分かりやすくなります。


視覚情報と音声情報の組み合わせに応える構造


Search Liveは、視覚情報(カメラの映像)と音声情報(ユーザーの質問)を組み合わせて処理します。この組み合わせに応えるためには、企業側も両方の要素を持つ情報発信が必要です。

1. 視覚的識別ポイントの明示
商品や状況について、視覚的に識別できる特徴を、記事内で明示的に説明します。「〇〇の見た目の特徴は」「〇〇を見分けるポイントは」といった、視覚情報とのマッチングを支援する情報です。

2. 視覚情報を補完する詳細解説
写真や動画を掲載するだけでなく、その視覚情報が何を意味するのか、どういう文脈で見るべきかを詳細に解説します。AIが視覚情報の意味を正確に理解する助けになります。

3. 状況別の対応情報
同じ対象物でも、状況によって対応が異なる場合が多くあります。状況別の対応情報を体系的に整理することで、Search Liveでの具体的な質問に対応しやすくなります。


コンサル事例:雑貨店での対話型情報発信


先日、ある雑貨店のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「インテリアや生活雑貨の相談を『AIモード』で音声で行うユーザーが増えたが、うちの店の情報が反映されない」と。

拝見すると、商品ラインナップの写真は美しく撮影されていましたが、対話的な相談に応える情報が薄い状態でした。「玄関に合う雑貨は」「小さな部屋でも使えるインテリアは」「贈答用の雑貨で予算3000円だと」といった、対話の中で徐々に絞り込まれる相談パターンに対応する情報構造が必要でした。

私は、対話的な相談パターンを想定した記事の体系化を提案しました。空間別(玄関・リビング・寝室・キッチン)、用途別(贈答用・自宅用・オフィス用)、予算別、季節別の選び方ガイドを、それぞれ独立した記事として整備し、相互リンクで結んだ情報体系を作る形です。同時に、動画による商品紹介と、音声で自然に読み上げられる話し言葉的な記事構造への転換も並行しました。約3か月後、雑貨選びの対話的クエリで「AIモード」への引用が始まりました。


Search Live時代への実務対応


Search Live時代への実務対応のポイントを整理します。

1. 音声で自然な情報構造への転換
既存記事の中で、音声で読み上げられた時に自然に伝わる構造を持つものを増やします。短い文章、結論先出し、具体的な数字、箇条書き構造といった要素の意識的な導入です。

2. 視覚情報と音声情報の両立
写真や動画による視覚情報と、その視覚情報を補完する詳細な解説の両方を、体系的に発信します。マルチモーダル(テキスト・画像・動画・音声など複数の種類の情報を同時に扱えること)対応の基盤を作ります。

3. 対話的な相談パターンへの対応
ユーザーが対話の中で徐々に絞り込む相談パターンを想定した情報構造を整備します。状況別・条件別・目的別に情報を分類する体系設計が有効です。

4. E-E-A-Tシグナルの継続強化
音声対話でも、AIは引用する情報源の信頼性を評価します。著者情報、実務経験の可視化、外部からの認知シグナルといったE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性、Googleがコンテンツの質を判断する4つの指標)シグナルの継続強化が、Search Live時代でも不変の基盤です。


まとめ


今回の話をまとめると、「Search Live」の登場により音声検索は「テキスト検索の音声版」から「カメラと組み合わせたリアルタイム対話」へと質的に変化しており、企業には音声で自然な情報構造・視覚情報と音声情報の両立・対話的な相談パターンへの対応・E-E-A-Tシグナルの継続強化という新しい対応が求められる、ということです。

視覚的な識別が必要な場面、手を使えない状況、対話的な相談が必要な場面、感情的なサポートが必要な場面で、Search Liveが選ばれるようになります。企業は既存の音声検索対策の延長ではなく、新しい対話体験に応える情報発信への転換が必要です。この転換ができる企業ほど、これからの音声検索時代に集客成果を高められるでしょう。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。

「AIによる概要」が「出るキーワード」と「出ないキーワード」の見分け方――データで見る出現パターン

2026年10月01日

「AIによる概要」は、すべての検索クエリで表示されるわけではありません。実際に検索してみると、表示されやすいキーワードと表示されにくいキーワードには一定の傾向があります。

この記事は、SEOに取り組んでいる企業の経営者やWeb担当者、SEO担当者の方に向けて、「どのキーワードからAIO対策を始めるべきか」を解説するものです。

結論から言うと、AIO対策はすべてのキーワードに一律で行うのではなく、「AIによる概要」が表示されやすく、自社への流入や問い合わせに影響するキーワードから優先することが重要です。

この記事では、「AIによる概要」が出やすいキーワードと出にくいキーワードの特徴を紹介します。読むことで、自社がAIO対策を優先すべきキーワードを判断できるようになります。


「AIによる概要」が出るキーワードには明確なパターンがある


Semrushの2024年調査によると、「AIによる概要」は英語圏の検索クエリのうち約13〜18%で表示されており、日本語圏でも徐々に表示率が上がってきています。ただし、全キーワードで均等に表示されるわけではなく、特定のクエリタイプに集中しているのが特徴です。

具体的には、質問形式のクエリ・比較検討クエリ・ハウツー系クエリで表示率が高く、ブランド指名検索・地名検索・トランザクション系クエリでは表示率が低い、という傾向が見られます。

つまり、キーワードの「タイプ」によって「AIによる概要」の表示確率が大きく変わるということです。この違いを知らずにすべてのキーワードを同じ扱いで対策していると、AI検索時代の変化に対応できません。




出やすいキーワードの4つの特徴


「AIによる概要」が出やすいキーワードには、以下の4つの特徴があります。

1. 質問形式である
「◯◯とは何か」「◯◯はなぜ起きるか」「◯◯はいつ始まったか」といった、明確な疑問形のクエリでは、「AIによる概要」の表示率が非常に高くなります。AIが「これは答えが求められているクエリだ」と即座に判断できるためです。

2. 比較・検討系である
「◯◯と△△の違い」「◯◯を選ぶ基準」「◯◯のメリット・デメリット」といった、複数の選択肢を比較するクエリでも表示率が高くなります。AIは複数のソースから情報を統合して比較表を作りやすいためです。

3. ハウツー系である
「◯◯する方法」「◯◯のやり方」「◯◯を始めるには」といった手順を求めるクエリも、「AIによる概要」が出やすいカテゴリーです。AIが段階的な手順を要約して提示しやすいためです。

4. 情報探索クエリである
具体的な購入や予約ではなく、情報を集めたい段階のクエリ全般で表示率が上がります。「◯◯とは」「◯◯について知りたい」といった、購買前のリサーチ段階のクエリです。




出にくいキーワードの3つの特徴


逆に、「AIによる概要」が出にくいキーワードにも、明確な特徴があります。

1. ブランド指名検索
「トヨタ」「アマゾン」「〇〇株式会社」といった、特定の企業名やブランド名を含むクエリでは、「AIによる概要」の表示率が低くなります。ユーザーが求めているのは要約情報ではなく、そのブランドの公式ページだからです。

2. 地名+店舗タイプのローカル検索
「渋谷 ラーメン」「新宿 歯科医院」といった、地域と店舗タイプを組み合わせたローカル検索では、「AIによる概要」ではなくGoogleマップの検索結果が優先されます。答えを要約するより、地図上の店舗リストを見せる方が有用だからです。

3. トランザクション系クエリ
「◯◯ 購入」「◯◯ 予約」「◯◯ 通販」といった、具体的な行動を伴うクエリでも「AIによる概要」の表示率は低くなります。ユーザーは要約が欲しいのではなく、購入や予約のためのページに直接飛びたいからです。



業界別に見る出現率の実データ


Semrushの業界別調査データによると、「AIによる概要」の表示率には業界差が明確にあります。

教育・学習分野:約25〜35%(最も高い部類)
健康・医療分野:約20〜30%(高い表示率、ただしYMYL領域では慎重な出方)
テクノロジー分野:約20〜30%
ビジネス・金融分野:約15〜25%
旅行分野:約10〜20%
不動産分野:約8〜15%
Eコマース分野:約5〜10%(低い表示率)

自社が属する業界の平均表示率を知っておくと、AI検索対策のリソース配分が判断しやすくなります。


自社キーワードの出現状況を調べる具体的な方法


自社が対策しているキーワードで「AIによる概要」が出ているかどうかを調べる方法は、大きく3つあります。

1. 実際にGoogleで検索してみる
最も確実な方法は、対策キーワードを1つずつGoogleで検索してみることです。ただし、シークレットモード(パーソナライズを避けるためのブラウザ機能)を使い、自分のログイン状態や過去の検索履歴の影響を除外することが重要です。

2. Search Consoleで「AIによる概要」経由の流入を確認する
Google Search Consoleでは、パフォーマンスレポートから「AIによる概要」経由のクリックとインプレッションが把握できるようになっています。特定のクエリでインプレッションが伸びているのにクリックが伸びていない場合、「AIによる概要」に取り上げられている可能性があります。

3. SEOツールの表示検出機能を使う
SemrushやAhrefs、SEランキングといった主要SEOツールは、「AIによる概要」の表示有無を検出する機能を提供しています。数百〜数千のキーワードを一括で分析できるため、規模の大きなサイトには特に有用です。


コンサル事例:キーワード分類でリソース配分を最適化した例


先日、あるリフォーム会社のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「200個以上の対策キーワードがあり、どこから手をつければよいか分からない」と。

拝見したところ、キーワードには「リフォーム 費用」「浴室リフォーム やり方」といった情報系のものと、「東京 リフォーム 会社」「◯◯市 リフォーム 見積もり」といった地域+行動系のものが混在していました。

私は、キーワードを「AIによる概要が出るタイプ」と「出ないタイプ」に分類してから、対策の優先順位を決めましょう、とお伝えしました。「AIによる概要」が出る情報系キーワードには「引用される段落」を意識した記事を作り、出ないローカル系キーワードにはローカルSEO(Googleマップ上の店舗情報最適化)に集中する、という戦略です。3か月後、AI検索経由の流入が着実に増えるようになりました。


「今後出るようになる」キーワードを予測する方法


現時点で「AIによる概要」が出ないキーワードでも、今後表示されるようになる可能性が高いものがあります。予測のポイントは3つです。

まず、そのキーワードで「フィーチャードスニペット(強調スニペット、検索結果の最上部に答えの一部が抜粋表示される枠)」が既に出ているかを確認します。フィーチャードスニペットが出ているキーワードは、「AIによる概要」への移行候補である可能性が高いです。

次に、「関連する質問(他の人はこちらも質問、関連する質問のリスト)」が表示されているかを確認します。関連質問リストが出ているキーワードは、AIが「このクエリには複数の答えが求められている」と認識しており、「AIによる概要」への移行が起きやすい傾向があります。

最後に、質問形式に近い言い回しに変換できるかを検討します。「東京 マンション 相場」というキーワードは、「東京のマンションの相場はいくらか」という質問形式に変換できます。こうした変換可能なキーワードは、AIが今後表示対象に加える可能性が高いです。

また、直近3か月のSearch Consoleのインプレッション推移を見て、じわじわ表示回数が伸びているキーワードは要注目です。Googleは新しいクエリタイプへの「AIによる概要」対応を段階的に広げているため、露出が伸びているキーワードは移行前のシグナルであることが多いです。


キーワードを3つのグループに分けて戦略を立てる


ここまでの分類を踏まえ、自社キーワードを3つのグループに分けて戦略を立てるのが実務的です。

グループA:現在「AIによる概要」が頻繁に出るキーワード
すぐに「引用される段落」を意識した記事作成に切り替えます。パッセージレベル抽出(Passage-level Extraction、Googleがページ全体ではなく特定の段落を評価単位として抽出する仕組み)を意識した段落設計が最優先です。

グループB:将来「AIによる概要」に移行しそうなキーワード
フィーチャードスニペットが出ているキーワードや、疑問形に変換できるキーワードがここに該当します。今のうちからAI引用対策の下準備を進め、移行時に一気に露出を伸ばせる状態にしておきます。

グループC:「AIによる概要」が今後も出ないキーワード
ローカル検索・ブランド指名検索・トランザクション系のキーワードは、従来型SEOやローカルSEO、広告運用に集中する対象です。AI対策のリソースは投入せず、別の施策で成果を上げます。


まとめ


今回の話をまとめると、「AIによる概要」が出るキーワードと出ないキーワードには明確なパターンがあり、そのパターンを理解することで、AI検索時代のリソース配分を最適化できるということです。

質問系・比較系・ハウツー系・情報探索系のキーワードには「引用される段落」を意識した対策を、ブランド指名検索・ローカル検索・トランザクション系のキーワードには従来型SEOや別の施策を、というように、キーワードのタイプ別に戦略を分けていく必要があります。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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