SEO専門家131人が選んだ2026年のランキング要因――1位は検索意図との一致・AI記事の量産はマイナス評価
2026年10月24日

「AIで検索が変わった今、SEOでは何を優先すればいいのか」。最近、こうした質問を受けることがよくあります。「AIによる概要」や「AIモード」、ChatGPTの検索など、新しい話題が次々に出てくるので、何から手を付ければいいのか分からなくなるのも無理はありません。
その疑問に一つの手がかりを与えてくれる調査が、2026年9月9日に公開されました。米国のSEO会社Zyppy(ジッピー)が実施した、2026年版のGoogleランキング要因の専門家調査です。SEOの実務者131人が、Googleの検索順位を決める要素について評価しました。
ランキング要因とは、Googleが検索順位を決めるときに参考にしているとされる、さまざまな要素のことです。Googleはその中身をすべて公開していないため、専門家の経験や検証にもとづく見立てが、実務の重要な判断材料になっています。
この記事では、調査の結果と、そこから学べる重要ポイント、そして今週から取り組みたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。
SEO専門家131人に聞いたランキング要因調査
調査を行ったのは、Zyppy社のサイラス・シェパード氏とドーン・シェパード氏です。サイラス・シェパード氏は、米国のSEO業界で長く活動してきた人物として知られています。
調査の方法は次のとおりです。SEOの実務者131人が、103項目の要素について、順位を強く押し上げる「プラス3」から、強く押し下げる「マイナス3」までの7段階で評価しました。あわせて、最も重要だと思う要素を3つ、自由に挙げてもらっています。集まったデータは、合計で13,665件にのぼります。
先に、注意を一つ。この調査は、あくまで専門家の意見を集めたアンケートです。Googleが公式に認めた順位の決め方ではありませんし、実際の順位のデータを測って因果関係を確かめたものでもありません。調査を行ったZyppy社もSEOの支援を事業とする民間の会社です。ただ、現場で日々順位の変動を見ている131人の見立てがどこに集まっているかを知ることには、十分な意味があります。
上位3つは関連性と被リンクとコンテンツ品質
「最も重要な3つ」として挙げられた割合が高かった要素は、次のとおりです。
1. 関連性:57.1%
ページの内容が、検索した人の求めているものに合っているかどうかです。Zyppy社は、これを検索意図との一致という意味で説明しています。
2. 被リンク:54.8%
被リンクとは、ほかのサイトから自社のサイトに向けて張られたリンクのことです。とくに、信頼できるサイトや、内容の近いサイトからのリンクが重視されています。
3. コンテンツ品質:47.6%
独自性、正確さ、情報の新しさなど、内容そのものの質です。
4位以下は、サイトの権威性や信頼性が36.5%、クリックなど利用者の行動のデータが29.4%、ブランドの認知が27.0%と続きます。上位の3つだけが45%を超えており、ほかの要素とのあいだに大きな差があります。
海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableも、関連性、被リンク、コンテンツ品質の3つがランキング要因の土台になっているという調査の結論を紹介しています。

《出典》 Google Ranking Factors Expert Survey Says Content & Links Most Important(Search Engine Roundtable)
単独で最も評価が高かったのは検索意図との一致
103項目の一つひとつを7段階で評価した結果では、最も高い評価を受けたのが「検索意図との一致」でした。
検索意図とは、検索した人がその言葉で本当に知りたいこと、やりたいことです。たとえば「エアコン 掃除」と検索した人は、自分で掃除する方法を知りたいのか、業者に頼みたいのか。その意図に合った答えを出せているかが問われます。
調査に協力した専門家の一人は、技術的に完璧な記事でも、検索した人が求めていたものと違う答えを出していたら、何をしても救われないという趣旨のコメントを寄せています。
これはレストランに例えると分かりやすいと思います。どれほど内装が美しく、料理の盛り付けが見事でも、ラーメンを食べに来たお客さんにフランス料理を出したら満足してもらえません。見出しの付け方やページの作りは、あくまで料理の盛り付けです。まず、お客さんが食べたいものを出すことが先なのです。

メタディスクリプションはなぜ最下位なのか
一方、103項目の中で最も評価が低かったのが、メタディスクリプションでした。メタディスクリプションとは、検索結果でページのタイトルの下に表示される、ページの説明文のことです。
多くの回答者が、メタディスクリプションには順位への効果がほとんどないと評価しました。これは、メタディスクリプションを順位の決定には使っていないというGoogleのこれまでの説明とも一致しています。
ただし、メタディスクリプションが不要というわけではありません。検索結果に表示される説明文は、検索した人がクリックするかどうかを判断する材料になります。順位を上げる道具ではなく、クリックしてもらうための道具として考えるのが正しい使い方です。
被リンクは今も強い評価を受けた
「AIの時代に、被リンクはもう古いのでは」と考えている方もいるかもしれません。しかし今回の調査では、被リンクは「最も重要な3つ」の2位に入り、依然として強い評価を受けました。
PPC Landの報道によると、103項目の中でも、信頼性の高いサイトからのリンクや、内容の近いページからのリンクは、特に高い評価を受けた項目の一つでした。反対に、スパムのような質の低いリンクは、最も大きなマイナス要因の一つに数えられています。
つまり、数を集めればいいという時代はとうに終わり、どんなサイトから紹介されているかが問われているということです。中小企業であれば、取引先や業界団体、地域の商工会、取材を受けたメディアなど、実際のつながりのあるところから紹介してもらえる関係を地道に増やしていくことが、遠回りに見えて一番の近道です。
AI記事の量産はマイナス・独自データはプラス
今回の調査で特に注目したいのが、AIで作った記事の評価です。
人の手を加えずに量産したAI記事は、はっきりとマイナスの評価でした。一方で、AIを使いながらも、人が内容を確認し、編集を加えた記事は、良い評価を受けています。
コンテンツの品質に関する項目の中で、最も高い評価を受けたのは、独自の調査や自社で集めたデータでした。専門家の一人は、AIのおかげで記事は安く作れるようになり、誰でも一晩で千本の記事を作れる時代になったからこそ、品質がふるいになっているという趣旨の指摘をしています。
これは、Googleの公式の方針とも重なります。Googleはスパムに関するポリシーの中で、生成AIなどを使って、利用者に価値を加えないまま大量のページを作ることを、「大量生成コンテンツの不正使用」として禁止しています。問題はAIを使うこと自体ではなく、価値を足さずに量だけを増やすことなのです。

クリックの動きやブランドも見られている
上位3つ以外にも、実務に役立つ結果がいくつか出ています。
まず、利用者の行動に関する項目です。最も評価が高かったのは、検索した人が満足して用事を済ませられたかどうかでした。反対に、ページを開いた後すぐに検索結果に戻ってしまう動きは、マイナスに評価されています。米国の広告業界メディアPPC Landによると、回答者からは、クリックのデータを使うGoogleの仕組み「Navboost(ナブブースト)」が今も大きな影響力を持っているという声も上がっています。
次に、ブランドです。インターネット上での評判や、社名やブランド名で検索される回数が、信頼の重要な目印として挙げられました。
そして、技術的なSEOです。サイトの表示の速さやページの作りといった技術面は、できていて当たり前の「最低条件」と位置付けられました。技術面が悪ければ順位は下がりますが、技術面が良いだけで中身の薄いページが上がることはない、という評価です。なお、表示速度の指標については、過大評価だという声から、ネットショップでは本当に重要だという声まで、回答者の意見が最も割れた項目の一つでした。
「AIで記事を毎日10本出したい」という相談
先日、ある不動産会社のクライアントさんから、こんなご相談をいただきました。「AIを使えば記事がいくらでも書けるので、毎日10本ずつ公開していきたい。数が多いほど検索に強くなりますよね」と。
拝見すると、すでに公開されていたAIの記事は、「住宅ローンの選び方」「引っ越しの手順」といった、どこのサイトにも書いてある一般的な内容がほとんどでした。そうした記事のアクセスは、ほぼゼロに近い状態でした。
私は、「数を増やすより、この会社にしか書けない記事を月に数本作りましょう」とお伝えしました。たとえば、担当エリアの駅ごとの家賃の相場を自社の取引データからまとめた記事や、実際に案内したお客さんからよく出る質問への回答です。AIは下書きや構成づくりに使い、数字と経験は社内の担当者が書き足す。そうした体制に切り替えて、記事づくりを進めているところです。
今週やりたい主要ページの読み直し
今回の調査から分かるのは、AI検索の話題が増えても、SEOの土台は動いていないということです。奇策を探すより、基本の点検が効きます。今週は、自社の主要なページを一本ずつ、次の3つの視点で読み直してみてください。
1. 検索意図に本当に答えているか
そのページで上位を狙っている検索語を思い浮かべ、検索した人が知りたいことに、ページの最初のほうで答えているかを確かめます。
2. 自社にしかない情報が入っているか
自社のデータ、実例、料金、担当者の経験など、ほかのサイトにはない情報が入っているかを確かめます。なければ、一つでも書き足します。
3. 量産したまま放置している記事がないか
AIで作って手を加えないまま公開している記事があれば、内容を見直して価値を足すか、統合するか、公開をやめるかを検討します。
まとめ
今回の話をまとめると、Zyppy社がSEOの実務者131人に103項目を評価してもらった2026年版の調査で、「最も重要な3つ」に挙げられた割合は、関連性が57.1%、被リンクが54.8%、コンテンツ品質が47.6%でした。単独の評価で最も高かったのは検索意図との一致で、メタディスクリプションは最下位でした。人の手を加えないAI記事の量産はマイナス、独自調査や自社データはプラスの評価です。ただし、これは専門家の意見を集めたアンケートであり、Googleの公式発表ではありません。
家にたとえるなら、AI検索の新しい機能は、次々に運び込まれる新しい家具のようなものです。どの家具をどこに置くかを考えるのは楽しい作業ですが、家を支えているのは、目に見えない土台です。検索した人の知りたいことに正面から答え、自社にしか書けないことを書き、信頼できるサイトから紹介される。新しい家具に目を奪われる時期だからこそ、一度足元の土台を確かめておきましょう。
AIが好むのは「起承転結」ではなく「結起承転」――冒頭で結論を述べる文章がなぜ引用されるのか
2026年10月22日

学校で習った文章の書き方といえば「起承転結」ですが、AI検索時代の記事作成においては、この順序をそのまま使うと不利になることが分かってきました。
「AIによる概要」に引用されている段落を丁寧に観察してみると、共通しているのは「冒頭にいきなり結論が書かれている」という点です。導入で背景を語ってから徐々に核心へ向かうという、日本語の作文教育で教わった構造とは、真逆の順序になっているのです。
長年SEOコンサルタントとして企業サイトの改善に携わってきた経験から言うと、この「結起承転」への転換は、AI検索対策の中でも最も効果が大きい改善の1つです。
今回は、「起承転結」がなぜAI検索で通用しなくなったのか、そして代わりに使うべき「結起承転」という考え方を、実務の視点から解説します。
「起承転結」がAI検索で通用しなくなった理由
「起承転結」は、「起(背景)→承(展開)→転(意外な視点)→結(結論)」という順序で文章を組み立てる、東アジアで古くから用いられてきた構成法です。読み物としては引き込まれる展開になりやすく、エッセイや小説には向いています。
ところが、AI検索の観点からは大きな問題があります。AIが記事を読む際、まず参照するのは「冒頭数段落」なのです。ここに結論がない場合、AIは「このページには的確な答えがない」と判断してしまい、引用候補から外してしまいます。
これは、AIが読み込めるテキスト量に制限があるためです。LLM(大規模言語モデル、膨大なテキストを学習して人間のような文章を生成できるAI)は、Web上の全記事を最初から最後まで読むわけではありません。特に「AIによる概要」の生成時には、各サイトから抽出する情報量が制限されているため、冒頭部分の重要度が非常に高くなります。

「結起承転」という新しい文章構造とは
「結起承転」は、順序を入れ替えて「結(結論)→起(背景)→承(展開)→転(補足)」で書く手法です。まず冒頭で「この記事の結論はこれです」と示し、その後に背景・詳細・補足を展開していきます。
英語圏では、この構造は昔から「Inverted Pyramid(逆ピラミッド)」と呼ばれ、ジャーナリズムの基本形として使われてきました。新聞記事が「誰が・いつ・どこで・何をした」を第1段落に集約し、詳細を後段落に展開するのと同じ発想です。
例えるなら、家電の取扱説明書のようなものです。取扱説明書は、まず「これはコーヒーメーカーです」と結論を示し、そこから使い方の詳細を段階的に説明していきます。「昔ある会社が創業して〜」という起承転結で始まる取扱説明書は存在しません。読者が求めているのは「何がどうなるか」の答えだからです。

AI検索時代の記事は、まさにこの取扱説明書的な構造が求められていると言えます。
なぜAIは冒頭に結論がある文章を選ぶのか
理由は主に3つあります。
1. AIは「効率的に答えを見つけたい」と設計されているから
「AIによる概要」の目的は、ユーザーの質問に対して最短で答えを返すことです。回答生成のプロセスで、AIは「答えが早く見つかる文章」を優先的に選ぶよう最適化されています。冒頭で結論が示されている文章は、この最適化と相性が良いのです。
2. クエリファンアウトへの対応がしやすいから
「AIモード」では、クエリファンアウト(Query Fan-Out、1つの質問を複数の細かい質問に展開する処理)によって、ユーザーの元の質問が複数のサブクエリに分解されます。各サブクエリに対して答えを探すとき、AIは各記事の冒頭を見て「この記事は答えを持っているか」を判断します。冒頭に結論がある記事は、この判断で選ばれやすくなります。
3. ハルシネーション防止のため根拠を素早く特定したいから
AIが誤情報を生成するハルシネーション(AIが事実に基づかない内容を、あたかも事実のように生成する現象)を防ぐため、Googleは「どこにその情報が書かれていたか」を明確に紐づけようとしています。冒頭に結論が書かれた文章は、AIから見て「根拠が明確」と判断されやすく、引用ソースとして選ばれやすくなります。
「結起承転」で書き直された文章の具体例
抽象的な説明だけでは分かりにくいので、具体的なビフォー・アフターを見てみます。
「起承転結」型で書かれた文章の例:
「近年、SEOを取り巻く環境は大きく変化しています。かつては被リンクの数や、キーワードの詰め込みが重視されていました。しかし、AIの登場によって状況は変わりました。今、Googleが最も重視しているのは、E-E-A-Tと呼ばれる4つの評価軸です。」
この文章では、結論(E-E-A-Tが重要)が最後に来ています。AIから見ると、冒頭の3文は「歴史的背景」のみで、答えが含まれていないと判定されます。
「結起承転」型に書き直すとこうなります:
「Googleが今最も重視しているのは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性、Googleがコンテンツの質を判断する4つの指標)と呼ばれる4つの評価軸です。かつては被リンクの数やキーワードの詰め込みが重視されていましたが、AIの登場によって状況は変わりました。」
冒頭に結論を置くだけで、AIから見て「答えのある段落」に変わります。同じ情報量でも、順序を変えるだけで引用率が大きく変わります。

よくある「結論を後回しにしてしまう」パターン
日本語のWeb記事でよく見かける、結論を後ろに置いてしまうパターンを3つ紹介します。
まず、「歴史的背景から入るパターン」です。「〇〇は1990年代に登場し」といった沿革説明から始まる記事は、AIから見て答えが遅すぎます。読者が本当に知りたいのは「今どうなっているか」であって、歴史ではありません。
次に、「反語で問いを立てるパターン」です。「◯◯とは何か、ご存知でしょうか」といった問いで始まると、その段落自体には答えがないため、AIは引用できません。問いは見出しに任せ、本文は答えから始めます。
最後に、「結論の前置きを長々と書くパターン」です。「これから◯◯について説明しますが、その前にまず基本を押さえておきましょう」といった前置きが長い文章は、答えに到達する前にAIの処理範囲を超えてしまいます。
コンサル事例:構成を変えるだけでAI引用が急増したケース
先日、あるスクールのクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「講座紹介記事を50本以上公開しているのに、『AIによる概要』でまったく引用されない」と。
拝見すると、記事はどれも「起承転結」で書かれていました。「英会話学習の歴史を振り返ってみましょう」から始まり、「現在の日本の英語教育の現状は」と続き、最後の方で「弊社の講座では、この課題を解決できます」と結論が示される構成です。
私は、全記事の冒頭段落を「結論先出し」に書き直してください、とお伝えしました。「弊社の英会話講座は、TOEIC800点未満の社会人が実践的な英会話力を身につけるためのオンライン講座です。」から始め、その後で背景や詳細を展開する形です。
3か月後、Search Consoleを確認すると、教育系のロングテールクエリで「AIによる概要」への引用が増えたことが確認されました。文章の順序を変えただけで、AI検索時代の露出は劇的に変わることを、改めて実感した事例です。
「結起承転」で書くための3つの実務的な型
具体的にどう書けばよいか、実務ですぐ使える3つの型を紹介します。
1. 「◯◯は、△△です。理由は〜」型
冒頭で「主題+結論」を1文で示し、次の文から理由を展開する型です。定義系・説明系の記事で最も使いやすく、AIから見ても「これは定義段落だ」と即座に認識されます。
2. 「結論から言うと、◯◯です。」型
明示的に「結論から言うと」と切り出す型です。読者に対して「これから結論を言います」と宣言することで、AIも読者も心構えができます。ハウツー系記事と特に相性が良い型です。
3. 「◯◯するには、△△という3つの方法があります。」型
冒頭で「答えの数」を先出しする型です。「3つの方法があります」と数字を示すことで、AIは「この記事はリスト形式の答えを持っている」と認識しやすくなります。
いずれの型も、共通しているのは「冒頭1〜2文の中に、疑問に対する答えの核が入っている」という点です。この核があるかないかで、AI引用率は大きく変わります。
既存記事を「結起承転」に書き換える手順
すでに公開している記事を書き換える際には、次の順序で進めるとスムーズです。
ステップ1:導入段落の1文目に結論を置く
記事全体の主張や答えを、記事の冒頭1文目に凝縮します。導入段落が3〜4段落あるなら、そのうちの1段落目の1文目です。
ステップ2:各中見出しの直下1段落目にも結論を置く
記事全体の構造だけでなく、各中見出しセクションの内部も同じ構造にします。中見出しの直下1段落目に、そのセクションの結論を書きます。
ステップ3:不要な前置きを削る
「その前にまず」「詳しくは後述しますが」といった前置きを削除し、直接答えに入る形に整えます。読者は結論を早く知りたいと思っており、前置きは離脱の原因になります。
まとめ
今回の話をまとめると、AI検索時代の文章構造は「起承転結」から「結起承転」への転換が求められている、ということです。冒頭で結論を示してから背景・詳細を展開する構造は、AIから見て引用しやすく、読者から見ても答えに素早くたどり着ける構造です。
学校の作文教育で身についた「起承転結」の癖は、意識的に矯正しないと直りません。既存記事を見直す際には、まず冒頭1段落だけでも「結論先出し」に書き直してみることをおすすめします。それだけで、AI検索時代の露出は変わり始めます。
AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。
「AIによる概要」のリンクがWebページではなく「AIモード」を開くテスト――クリックの行き先が変わるとき、サイト運営者が知っておきたいこと
2026年10月19日

検索結果の一番上に表示される「AIによる概要」。その中にある下線付きの文字は、これまでなら、クリックするとその情報の元になったWebページが開くものだと考えるのが自然でした。
ところが2026年9月、その「当たり前」とは違う動きが見つかりました。「AIによる概要」の回答の中にあるリンクをクリックすると、外部のWebページではなく、Googleの対話型AI検索「AIモード」が開くというテストです。
見つけた人物は、これを「通常の検索結果から『AIモード』へ利用者を誘導する新たな手法」だと指摘しています。Googleはこのテストについて、まだ公式なコメントを出していません。
「AIモード」とは、Google検索の中で使える対話型のAI検索機能です。質問を入力すると、AIが複数の情報源を調べて回答をまとめ、続けて質問を重ねることもできます。この記事では、今回のテストの中身と、Googleが進めているリンクの見直しの流れ、そしてサイト運営者が確認しておきたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。
「AIによる概要」のリンクをクリックすると「AIモード」が開く
このテストを報じたのは、海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableのバリー・シュワルツ氏です。2026年9月22日の記事で、「AIによる概要」の回答の下部に表示されるリンクが、外部のWebページではなく「AIモード」へ移動するテストが行われていると伝えました。
記事では、そのリンクにマウスの矢印を合わせた画面や、クリックして「AIモード」が開く様子を収めた動画も紹介されています。見た目はふつうのリンクと変わらないため、利用者はWebページが開くと思ってクリックすることになります。
海外メディアのSearch Engine Watchによると、こうしたリンクをクリックすると、最初に検索した内容を引き継いだまま「AIモード」が開くとのことです。

発見者が指摘した「新たな手法」
このテストを最初に見つけたのは、X(旧Twitter)で検索の変化を発信しているガガン・ゴトラ氏です。同氏は次のように投稿しました。
「『AIによる概要』の回答の中で、Googleは今、Webページではなく『AIモード』に移動するリンクを表示するテストをしている。また別の日、また別の手法。通常の検索結果から利用者を『AIモード』へ押し出すためのGoogleの手法だ」
「また別の手法」という言葉には、Googleがこのところ、さまざまな形で利用者を「AIモード」へ導こうとしていることへの皮肉が込められています。
Search Engine Watchは、これまでにも「AIによる概要」の中のクリックできる文字が、Webページではなく通常の検索結果の新しい検索につながるテストがあったと伝えています。今回は、その行き先が通常の検索結果から「AIモード」に変わった点が違うということです。
《出典》 Google tests new clickable anchor text in AI Overview that redirects to AI Mode(Search Engine Watch)
Googleのコメントはまだない
ここで押さえておきたいのは、今回のテストがGoogleによって公式に認められたものではないという点です。
これまでのGoogleのテストの中には、広報担当者や担当の副社長が存在を認め、意図を説明したものもありました。今回は、外部の専門家が見つけて報じた段階にとどまっています。どのくらいの利用者に表示されているのか、どの国や端末で行われているのか、正式な機能として採用されるのかは分かっていません。
ですから、「Googleはもう、AIの回答からWebサイトへリンクしなくなる」と決めつけるのは早すぎます。一方で、どのような方向を目指したテストなのかを理解しておくことは大切です。
5月には「Webへのリンクを増やす」と発表していた
今回のテストが注目を集めた背景には、Googleがこれまで、AIの回答からWebサイトへのリンクを増やすと説明してきたことがあります。
Googleは2026年5月6日、公式ブログで「AIモード」と「AIによる概要」のリンクに関する5つの改善を発表しました。回答の中の関連する文章のすぐ横にクリックできるリンクを増やすこと、パソコンではリンクにマウスを合わせるとWebサイトの名前やページのタイトルが表示されること、回答の最後に別の視点の記事を紹介することなどです。
Googleで検索のプロダクト管理を担当するヘマ・ブダラジュ副社長は、リンクを見つけやすく役立つものにし、オリジナルの声を紹介することで、Webの豊かさを発見する手助けをしていきたいと述べています。
リンクは増えたがすべてがWebに向かうわけではない
実際に、「AIによる概要」の中のリンクは増えているというデータもあります。
海外のSEO専門メディアSearch Engine Journalによると、AI検索の分析ツールを提供するPeec AI社のデータでは、「AIによる概要」の回答の本文中に外部のWebページへのリンクが含まれる割合が、9月10日ごろまではほぼゼロだったのに対し、9月20日には26.2%まで増えていました。ただし、調査の対象数や国、端末、どこまでを本文中のリンクと数えたのかといった方法は明らかにされていません。民間企業の計測で、第三者の検証も経ていない数字です。
Search Engine Journalは、この記事の見出しで「『AIによる概要』のリンクは増えたが、すべてがWebに届くわけではない」と表現しています。リンクの数が増えても、その一部が「AIモード」を開くものであれば、Webサイトへの入り口が同じだけ増えたことにはなりません。
ショッピングモールにたとえると分かりやすいでしょう。案内板にお店の名前がたくさん書かれるようになったのに、その矢印のいくつかをたどると、お店ではなくモールのインフォメーションカウンターに戻ってくる。今回のテストは、そうした状態に近いと言えます。

サーチコンソールの数字にも影響が出る可能性
サイト運営者にとって見逃せないのが、効果を測る数字への影響です。
サーチコンソールでは、検索結果から自社サイトへのクリックが記録されます。Webページへのリンクがクリックされれば、それは自社サイトへのクリックとして数えられます。
一方、Search Engine Journalは、「AIモード」を開くリンクがクリックされても、それは自社サイトへのクリックとしても表示回数としても記録されない可能性があると指摘しています。Googleの資料でこの扱いがはっきり説明されているわけではありませんが、「AIによる概要」の中で自社の情報が使われていても、その先のクリックは自社の数字に表れないことがある、と理解しておく必要があります。

8月の全文表示と合わせて見えてくる方向性
今回のテストは、ほかの変化と合わせて見ると、その意味がよりはっきりします。
2026年8月には、一部の検索で「AIによる概要」が「もっと見る」を押さなくても最初から全文表示され、続けて質問できる欄が開いた状態になる変化が確認されました。Googleの広報担当者はこれを認め、システムが最も役立つと判断した話題では「AIによる概要」が動的に拡張されることがあると説明しています。
5月に「AIによる概要」と「AIモード」が一つの検索体験としてつながり、8月には「AIモード」への質問欄が最初から開かれるようになりました。そして9月には、回答の中のリンクまで「AIモード」への入り口として試されています。Googleは、さまざまな入り口から利用者を「AIモード」へ導こうとしていると見るのが自然です。
「引用されているのにアクセスが来ない」と悩む不動産会社
先日、ある不動産会社のクライアントさんから「地域の住宅ローン減税を解説したページが『AIによる概要』で引用されているのに、そのページへのアクセスが思ったほど増えない」というご相談をいただきました。
一緒に検索してみると、「AIによる概要」がページの内容を詳しくまとめていて、利用者は回答を読むだけで要点をつかめる状態でした。回答の中のリンクも、すべてが会社のページにつながっているわけではありませんでした。
私は「引用されていること自体は、AIに信頼できる情報源として認められている証拠です。そのうえで、要約だけでは分からない情報をページに用意しましょう」とお伝えしました。物件の種類ごとの減税額の試算例や、地域の金融機関で実際によく聞かれる質問などを加えていただきました。AIの要約で満足する人もいれば、その先の具体的な情報を求めてクリックする人もいます。そうした人の期待に応えられるページであることが大切です。
リンクの行き先が変わる時代に確認したい3つのこと
最後に、今回のテストを踏まえて、サイト運営者が確認しておきたいことを3つ紹介します。
1. 自社が引用されている「AIによる概要」を実際に見る
主要なキーワードで検索し、自社のページが「AIによる概要」のどこで、どのような形で紹介されているかを確かめます。リンクをクリックして、本当に自社のページが開くかどうかも確認してください。
2. クリック数だけで成果を判断しない
「AIによる概要」で引用されていても、クリックとして数字に表れないことがあります。Search Consoleのクリック数だけでなく、指名検索の件数や問い合わせの数など、複数の数字で効果を見ていきます。
3. 要約の先にある情報でクリックする理由をつくる
AIの要約で得られる一般的な説明だけでなく、自社の事例、具体的な数字、地域の事情など、ページを開かなければ分からない情報を用意します。それが、利用者がリンクをクリックする理由になります。

まとめ
今回の話をまとめると、2026年9月、「AIによる概要」の回答の中にあるリンクが、外部のWebページではなく「AIモード」を開くテストが見つかりました。発見者は、通常の検索結果から利用者を「AIモード」へ誘導する新たな手法だと指摘しています。Googleはこのテストについて、まだ公式なコメントを出していません。
Googleは5月にWebへのリンクを増やすと発表しており、実際に回答の中のリンクは増えているというデータもあります。一方で、そのすべてがWebサイトにつながるわけではない可能性が出てきました。8月の全文表示と合わせて見ると、Googleがさまざまな入り口から利用者を「AIモード」へ導こうとしていることがうかがえます。
AIの回答の中に自社の名前が出ることと、自社のサイトに人が訪れることは、もはや同じ意味ではなくなりつつあります。だからこそ、引用されることと、クリックしたくなる理由をつくることの両方が必要です。次に自社のページが「AIによる概要」に引用されているのを見つけたら、そのリンクを自分の手でクリックして、どこに連れて行かれるのかを確かめてみてください。
フランスで「AIによる概要」が始まりクリック率が23%下がった――順位は落ちないのにアクセスが減る理由と対策
2026年10月17日

検索順位は変わっていない。検索結果に表示される回数も減っていない。それなのに、サイトへのアクセスだけが減っている。最近、こうした相談を受けることがあります。
その理由をはっきり示すデータが、フランスから出てきました。SEOツールを提供するAhrefs(エイチレフス)社が、フランスで「AIによる概要」が始まった前後のデータを比べたところ、「AIによる概要」がよく表示されるサイトでは、クリック率が中央値で23.1%下がっていたのです。
「AIによる概要」とは、Googleの検索結果の一番上に表示される、AIが作った回答のことです。検索した人は、各サイトのリンクを見る前に、まずAIがまとめた説明を読むことになります。
この記事では、Ahrefs社の調査の中身と、日本のサイト運営者がそこから学べる重要ポイント、そしてサーチコンソールで今すぐ確かめたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。
フランスでは2026年7月に始まった
「AIによる概要」は、米国で2024年5月に始まり、日本でも2024年から表示されています。一方、フランスでは長いあいだ提供されておらず、始まったのは2026年7月22日のことでした。
ある日を境に、それまでなかった「AIによる概要」が一斉に表示され始める。これは、影響を測るうえでとても珍しい機会です。始まる前と後のデータを比べれば、「AIによる概要」がクリックにどれだけ影響したかを、ほかの要因と切り分けて調べやすくなるからです。
Ahrefs社はこの機会を利用して調査を行い、フランス語版を8月に、英語版を2026年9月16日に公開しました。
963ドメインの前後を比べた調査
調査の対象は、フランスでクリック数の多い上位1,000ドメインのうち、データがそろっていた963ドメインです。ドメインとは、「example.com」のようなサイトの住所のことで、ここでは1つのサイトと考えてください。
データの出どころは、サーチコンソールです。サーチコンソールとは、Googleが無料で提供している、自社サイトの検索での表示回数やクリック数などを確認できる分析ツールのことです。
比べたのは、開始前の28日間と、開始後の9日間です。そのうえで、各サイトが表示される検索語のうち、どのくらいの割合で「AIによる概要」が出るかによって、サイトを分けました。
1. よく表示されるサイト
表示される検索語の20%を超える割合で「AIによる概要」が出るサイトです。
2. ほとんど表示されないサイト
その割合が2%未満のサイトです。こちらを比べる基準として使いました。

よく表示されるサイトほどクリック率が下がった
結果は次のとおりです。
963ドメイン全体で見ると、クリック率の変化はマイナス3.4%でした。ところが、「AIによる概要」がよく表示されるサイトに絞ると、クリック率は中央値で23.1%も下がっていました。中央値とは、数字を小さい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値のことで、極端な数字に引っ張られにくい平均の一種です。
一方、ほとんど表示されないサイトでは、同じ期間にクリック率が2.3%上がっていました。季節やGoogleのほかの変更の影響を取り除くために、この差を差し引いて計算し直すと、下がり幅は24.8%になります。
さらにAhrefs社は、「AIによる概要」が出る割合が1ポイント増えるごとに、クリック率がおよそ1ポイント下がるという関係も示しています。よく表示されるサイトのうち、82.2%でクリック率が下がっていました。
クリック数そのものの減り方も見ておきましょう。調査対象のサイト全体のうち、1日あたりのクリック数が10%以上減ったサイトは48%、30%以上減ったサイトは19%、半分以上を失ったサイトも5%ありました。わずか9日間でこれだけの変化が出たことになります。
また、フランスの「.fr」ドメインのサイトは、クリック数が中央値で12.3%減っており、調査対象全体の8.8%より大きな落ち込みでした。
先に、注意を一つ。この調査はAhrefs社が自社で行ったもので、第三者の検証は経ていません。同社はSEOツールを販売している会社でもあります。また、開始後のデータは9日分しかなく、同社も期間を延ばして改めて分析するとしています。

表示回数は減らないのにクリックだけが減る
この調査で最も重要なのは、表示回数の動きです。
「AIによる概要」がよく表示されるサイトでも、表示回数は横ばいか、むしろ増えていました。極端な例では、表示回数が183%増えたのに、クリック数は1.9%減っていたサイトもあったそうです。
表示回数が落ちていないということは、検索結果から消えたわけではない、ということです。サイトは今までどおり検索結果に出ている。しかし、その上に表示されるAIの回答を読んで満足し、サイトまで来ない人が増えたのです。
これは、商店街のお店に例えると分かりやすいと思います。店の前を通る人の数は変わらないのに、店の入口の前に案内係が立ち、通行人の質問にその場で答えてしまう。そうなると、わざわざ店に入る人は減ります。表示回数は店の前の人通りで、クリックは店に入った人の数です。
Ahrefs社も、表示回数を見て判断するのはやめるべきで、打撃を受けたのはクリック率だとはっきり書いています。
どんな分野が大きく影響を受けたのか
分野別に見ると、最も強く影響を受けたのは医療・健康の分野でした。この分野では、検索語の22.2%で「AIによる概要」が表示され、クリック率は20.4%下がっていました。
医療や健康の調べものには、「〇〇の症状は」「〇〇の原因は」といった、短い答えで済む質問が多く含まれます。こうした情報収集のための検索は、AIの回答でそのまま用が足りてしまいやすいのです。
反対に、商品の購入や予約につながる検索、ツールを使わないと答えが出ない検索、人の意見や体験を求める検索が多い分野は、比較的影響が小さかったとされています。

日本ではすでに2年前から始まっている
フランスの数字は、日本のサイト運営者にとっても無関係ではありません。
フランスの調査はあくまでフランスのデータで、日本の数字を測ったものではありません。ただ、日本ではすでに2024年から「AIによる概要」が表示されており、同じ仕組みが働いていると考えるのが自然です。
また、Ahrefs社は以前の世界規模の調査で、「AIによる概要」が出る検索での1位のサイトのクリック率への影響が、2025年春のマイナス34.5%から、同年末にはマイナス58%に広がったとしています。時間がたてば影響が薄れるのではなく、むしろ大きくなっているというのが同社の見方です。
米国のマーケティング会社Seer Interactive(シア・インタラクティブ)社が顧客企業42社のデータで行った分析でも、「AIによる概要」が出る検索のクリック率は、2024年6月から2025年9月までの間に61%下がっていました。これも事業者が自社の顧客データをもとに公表したもので、第三者の検証を経たものではありません。
「アクセスが減ったのに順位は変わらない」という相談
先日、ある歯科医院のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「ブログ記事のアクセスが1年前の半分近くになっている。でも順位を調べると、ほとんど変わっていない」と。
サーチコンソールで一緒に確認すると、アクセスが大きく減っていたのは「親知らずを抜いた後の注意点」「歯ぐきから血が出る原因」といった、短い答えで済む記事ばかりでした。表示回数はほぼ横ばいで、クリック率だけが下がっていたのです。
一方で、「インプラントの費用と治療の流れ」のように、自院の料金表や治療期間、実際の症例を載せていたページは、ほとんど影響を受けていませんでした。
私は、減った記事を書き直すよりも、AIの短い答えでは済まない情報を足すことをお勧めしました。その医院でしか分からない料金、通院の回数、患者さんからよく受ける質問への院長自身の回答などです。現在は、アクセスが減った記事から順に手を入れているところです。
サーチコンソールで確かめたい3つのこと
自社のサイトで同じことが起きていないか、サーチコンソールで次の3つを確かめてみてください。
1. 期間を比べてクリック率の変化を見る
「検索パフォーマンス」の画面で、期間の比較を選び、たとえば直近3か月と前年の同じ3か月を比べます。合計クリック数だけでなく、平均クリック率の変化を見てください。
2. 表示回数が減っていないのにクリックが減ったページを探す
「ページ」のタブを開き、表示回数とクリック数の両方の変化を並べます。表示回数は横ばいか増えているのに、クリック数が減っているページが、AIに答えを先に言われている可能性が高いページです。
3. そのページの検索語を確認する
該当するページをクリックし、「検索キーワード」のタブで、どんな言葉で表示されているかを確かめます。「〇〇とは」「〇〇の原因」のような短い答えで済む検索語が多ければ、「AIによる概要」の影響を受けやすいページです。
なお、Googleの説明では、「AIによる概要」からのアクセスは、サーチコンソールでは通常の検索と同じ「ウェブ」の中に含まれて集計されます。「AIによる概要」の分だけを切り分けて見ることはできないため、表示回数とクリック率の動きから推し量るしかありません。

クリックされるページに変えるには
影響を受けているページが見つかったら、AIの短い答えでは済まない情報を足していきます。たとえば、次のような情報です。
自社の料金表、実際の事例や施工例、ほかの選択肢との比較表、担当者自身の経験にもとづく意見などです。どれも、AIが一般的な知識だけでは答えられない、その会社にしかない情報です。
また、Seer Interactive社の分析では、「AIによる概要」の中で引用されたブランドは、引用されなかったブランドに比べて、通常の検索結果のクリック率が35%高かったとされています。クリックが減る時代だからこそ、AIの回答の中で名前を挙げてもらえる存在になることにも意味があります。
まとめ
今回の話をまとめると、フランスで2026年7月22日に「AIによる概要」が始まった後、よく表示されるサイトのクリック率は中央値で23.1%、比較対象との差で見ると24.8%下がりました。表示回数は横ばいか増えており、検索結果から消えたのではなく、クリックだけが減ったことになります。医療・健康分野の影響がとくに大きく、日本でも同じ仕組みが働いていると考えられます。
これからのSEOでは、表示回数という「店の前の人通り」だけを見て安心することはできません。見るべきなのは、何人が店に入ってくれたかです。入口の案内係が答えてしまえる質問ではなく、店の中に入らなければ手に入らないもの。料金や事例や、あなた自身の言葉を、店の一番目立つ棚に並べておきましょう。
AIで書いた記事は「公開前に人が事実確認」が極めて重要――Googleが公式ガイドに明記した理由と見直すべき4つの場所
2026年10月15日

AIで記事を書くことは、もはや特別なことではなくなりました。ChatGPTやGemini、Claudeを使って下書きを作り、少し手を入れて公開する。そうした制作の流れは、企業のWebサイトでもすっかり当たり前になっています。
そうした中、Googleが生成AIで作ったコンテンツについての公式ガイドを2026年10月1日に更新しました。新たに書き加えられたのは、生成AIの仕組みについての説明と、「AIが作ったコンテンツは、公開前に人の手で事実確認することが極めて重要だ」という一文です。
今回の更新は英語版ドキュメントでの変更です。しかし、ガイドの考え方は日本語のサイトにもそのまま当てはまります。しかも、9月24日から始まったスパムアップデートが進行している最中の更新ということもあり、AIで記事を量産しているサイトにとっては見過ごせない内容です。
この記事では、Googleのガイドに何が加わったのか、なぜ人による確認がそこまで重視されるのか、そして本文以外にどこを確認すればよいのかを、長年SEOのコンサルティングに携わってきた立場から解説します。
Googleの生成AIガイドに何が加わったのか
今回更新されたのは、Google検索セントラルにある、ウェブサイトで生成AIコンテンツを使う際のガイダンスをまとめたドキュメントです。サイト運営者が生成AIをコンテンツ制作に使うときの考え方をまとめたもので、これまでも「AIを使うこと自体は問題ないが、ユーザーにとって価値のあるコンテンツであることが前提」という立場が示されてきました。
今回の更新で新しく加わったポイントは、大きく分けて次の3つです。
1. 生成AIは事実を取り出すのではなく、言葉の並びを予測している
Googleは、生成モデルは事実を検索して取り出しているのではなく、学習データをもとに「次に来そうな言葉の並び」を予測しているのだと説明しています。
2. AIの出力には不正確な内容が含まれることがある
そのため、生成AIの出力には誤り、いわゆるハルシネーション(AIが事実ではない内容を、もっともらしく作り出してしまう現象)が含まれる可能性があると明記されました。
3. 公開前に人の手で事実確認することが極めて重要
そのうえで、AIが生成したすべてのコンテンツについて、正確性と信頼性を公開前に人の手で事実確認し、見直すことが「極めて重要(critical)」だと書かれています。

生成AIは事実を「調べて」いない
今回の更新でまず注目したいのは、Googleが生成AIの仕組みそのものを説明に加えたことです。
生成AIの中心にあるのは、LLM(大規模言語モデル:膨大な文章を学習し、文章の続きを予測することで言葉を生成するAI)と呼ばれる技術です。LLMは、質問を受けると百科事典を引いて正解を探しにいくわけではありません。学習した膨大な文章のパターンから、「この流れなら次はこの言葉が来る確率が高い」という予測を積み重ねて文章を組み立てています。
スマートフォンの予測変換をイメージすると分かりやすいでしょう。「お世話に」と打てば「なっております」が候補に出てきます。これは、スマートフォンが意味を調べたからではなく、その並びが多く使われているからです。生成AIは、この予測変換を比べものにならないほど高度にしたものだと考えてください。
この仕組みだと、文章としては非常に自然なのに、中身の数字や固有名詞が間違っているということが起こります。「それらしい言葉」と「正しい事実」は必ずしも一致しないからです。しかも、AIは間違っているときも自信がありそうな文体で書くため、読み手が誤りに気づきにくいという問題もあります。
Googleがわざわざこの仕組みをガイドに書き込んだのは、「AIが書いたものは正しいはずだ」という前提で公開してしまうサイト運営者が少なくないからだと私は考えています。

「極めて重要」という強い言葉の重み
今回の更新を報じた海外のSEO専門メディアSearch Engine Landでは、記者のバリー・シュワルツ氏が「critical(極めて重要)」という言葉づかいに注目しています。Googleはこうした強い言葉を気軽には使わない、という指摘です。
Googleの公式ドキュメントは、多くの場合「〜するとよいでしょう」「〜を検討してください」といった推奨の書き方をしています。その中で「極めて重要」と言い切ったことは、人による確認を「できればやること」ではなく「必ずやること」として位置づけたと読むのが自然です。
同氏は記事の中で、AIで作ったコンテンツを人の確認なしに自動で公開するやり方はもはや通用しない、という趣旨の解説もしています。これはGoogle自身の発言ではなくメディアの解釈ですが、実務の受け止め方としては妥当だと私も考えます。
本文以外に確認すべき4つの場所
今回のガイドで見落としやすいのが、確認の対象範囲です。Googleは本文だけでなく、次のような要素も人の手で確認する対象として挙げています。
1. タイトル要素
ページのタイトル要素(タイトルタグ)は、検索結果で青い文字のリンクとして表示される部分です。AIに「SEOに強いタイトルを考えて」と頼むと、内容と合っていない数字や、誇張した表現が入ることがあります。
2. メタディスクリプション
メタディスクリプションは、検索結果のタイトルの下に表示される説明文の元になる情報です。本文を書き直したのに、説明文だけがAIの最初の案のまま残っているというケースがよくあります。
3. 構造化データ
構造化データとは、ページの内容を検索エンジンが理解しやすい決まった形式で記述したものです。商品の価格や在庫、記事の著者や公開日などを伝える役割があります。Googleは、構造化データについては一般的なガイドラインに沿っているかの確認と検証も求めています。
4. 画像の代替テキスト
画像の代替テキスト(alt属性)は、画像の内容を文字で説明するものです。目の不自由な方が使う読み上げソフトや、検索エンジンが画像の内容を理解するために使われます。
この4つに共通するのは、ページを開いた読者の目にはほとんど触れない場所だということです。だからこそ確認が後回しになりやすく、AIの出力がそのまま残ってしまいます。
なぜ見えない場所の誤りが危ないのか
タイトルやメタディスクリプション、構造化データは、読者の目には触れにくい一方で、検索エンジンにとっては「このページは何について書かれているのか」を判断する重要な手がかりです。
たとえば、構造化データの価格と、ページに表示されている価格が食い違っていたとします。人間の読者は表示されている価格しか見ませんが、検索エンジンは両方を読み取ります。情報が食い違っていれば、そのページの信頼性に疑問が生じるのは当然です。構造化データはリッチリザルト(検索結果に評価の星や価格などを加えて目立たせる表示)の元にもなるため、誤りがあれば検索結果に間違った情報が出てしまうおそれもあります。

また、同じガイドにはECサイト向けの記載もあります。AIで生成した商品画像には、IPTCという画像の情報を記録する国際的な規格に沿って「AIで生成した画像である」ことを示すメタデータを入れること、AIで作った商品データはその旨を分けて表示することなどが求められています。ECサイトを運営している方は、この部分もあわせて確認しておくとよいでしょう。
9月のスパムアップデートとの関係は?
今回の更新と同じ時期に、Googleは「2026年9月のスパムアップデート」を実施しています。スパムアップデートとは、Googleのスパムポリシーに違反するサイトを見つけ出す仕組みを改良する更新のことです。
海外のSEO専門メディアSearch Engine Journalによると、このアップデートは9月24日に始まり、完了まで最大2週間かかる見込みで、すべての地域と言語が対象です。つまり日本語のサイトも対象に含まれます。
ただし、Googleはこのスパムアップデートが何を対象にしているのかを明らかにしていません。Search Engine Landは今回のガイド更新とスパムアップデートの関連を指摘していますが、これもメディアの見方です。「このアップデートはAI記事を狙ったものだ」と決めつけるのは避けるべきでしょう。
一方で、Googleのスパムポリシーには「大量生成コンテンツの不正使用(Scaled content abuse)」という項目がはっきりと存在します。検索順位を操作する目的で大量のページを作る行為のことで、その例として「生成AIなどのツールを使い、ユーザーにとって価値を加えないまま多数のページを作ること」が挙げられています。
現場でよく見る「直し忘れ」
先日、ある税理士事務所のクライアントさんから「AIで書いたコラムを毎週公開しているが、本当にこのやり方で大丈夫か」というご相談をいただきました。
拝見すると、本文は所長さんがきちんと目を通していて、税制の説明も正確でした。ところが、ページのタイトルには最新の制度とは異なる年度の数字が入っていて、メタディスクリプションにもAIが最初に出した文章がそのまま残っていました。画像のalt属性も、記事の内容とは関係のない一般的な説明になっていました。
私は「本文の確認は十分なので、公開前のチェックリストにタイトル、説明文、画像の説明の3項目を加えましょう」とお伝えしました。確認する作業そのものは数分で終わるものです。それでも、チェックの項目に入っていないだけで毎回見落とされてしまうのです。
これは、料理の味見に似ています。メインの料理はしっかり味見をしていても、添えてあるソースの味見を忘れてしまえば、お客さんの評価はそこで下がってしまいます。読者や検索エンジンが目にする部分は、本文以外にもたくさんあるということです。
AIで量産しているサイトが決めておくべき確認手順
AIで多くの記事を公開しているサイトほど、確認を担当者の注意力に任せるのではなく、手順として決めておく必要があります。私がおすすめしているのは、次の流れです。
1. 数字と固有名詞を一つずつ一次情報で確かめる
ハルシネーションが最も起こりやすいのが、数字、日付、人名、会社名、制度名です。これらは公的機関や公式サイトなどの一次情報(その情報を最初に発表した元の情報源)に当たって確認します。
2. タイトルとメタディスクリプションを本文と照らし合わせる
本文を修正したあとに、タイトルと説明文が本文の内容と一致しているかを確認します。
3. 構造化データと画像のalt属性を確認する
構造化データはGoogleのリッチリザルトテストなどのツールで検証し、alt属性は画像の内容と合っているかを見ます。
4. 誰がどう作ったのかを読者に伝える
Googleは「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」に関するドキュメントの中で、コンテンツが「誰によって」「どのように」「なぜ」作られたのかを意識するよう求めています。AIを使った場合は、その使い方を読者に分かる形で伝えることも推奨されています。
まず何から手をつけるべきか
とはいえ、すでに公開している記事が数百本あるサイトで、すべてを一度に見直すのは現実的ではありません。
まずはアクセスの多い記事10本から始めることをおすすめします。アクセスが多い記事ほど多くの人の目に触れ、誤りがあったときの影響も大きいからです。その10本について、数字と固有名詞、タイトル、メタディスクリプションの3点だけを確かめてみてください。
そして、これから公開する記事については、今回挙げた確認項目を公開前のチェックリストに組み込みます。過去の記事の見直しと、これからの記事の確認を分けて考えると、無理なく続けられます。
今回のガイドの更新は、AIを使うことを否定するものではありません。Googleは以前から、コンテンツの作り方ではなく質を評価するという立場をとっています。AIを使うかどうかではなく、公開する前に人が責任を持って確かめたかどうかが問われていると考えるべきです。
まとめ
今回の話をまとめると、Googleは生成AIコンテンツのガイドを更新し、生成AIは事実を調べているのではなく言葉の並びを予測しているという仕組みを説明したうえで、公開前に人の手で事実確認することを「極めて重要」と明記しました。確認の対象は本文だけでなく、タイトル要素、メタディスクリプション、構造化データ、画像の代替テキストにまで及びます。
9月のスパムアップデートが何を対象にしているかは公表されていませんが、大量生成コンテンツの不正使用はGoogleのスパムポリシーに明記されています。AIで記事を量産しているサイトは、確認を個人の注意力に任せず、手順として決めておくことが大切です。まずはアクセスの多い記事10本の数字と固有名詞から見直してみてください。
AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。
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