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GoogleのAIツールを実際に使って検証!一発で違いがわかる完全ガイド【2025年版】

2025年10月13日

Googleは近年、検索、文章作成、画像・動画生成、学習支援など、数多くのAI製品を次々とリリースしています。そのアップデート頻度も非常に高く、AI初心者にとっては「どれをどう使えばいいのか分からない」という状況になりがちです。

そこで今回の記事では、2025年現在の最新情報をもとに、Googleが提供する代表的なAIサービスをカテゴリー別に整理し、それぞれの特徴と活用方法をわかりやすく紹介します。


GoogleのAI製品ラインナップ


Googleは長年、検索エンジン企業としての技術を土台にAIを発展させてきましたが、近年はその応用範囲を大きく広げています。AIはもはや検索や翻訳の裏側だけで動く仕組みではなく、ユーザーが直接触れて、日常の中で対話したり、文章を書いたり、映像を作ったりできる存在になりました。

GoogleのAI製品群は、大きく分けると次のような領域で構成されています。
1. 検索と要約 — AIによる概要やAIモードを通じて「検索にAIを組み込む」流れ。
2. 会話と日常アシスタント — Geminiによる質問応答や生活支援。
3. 仕事・学習支援 — Gmailやドキュメントに統合されたGoogle WorkspaceやNotebookLM。
4. クリエイティブ制作 — Imagen、Veo、Flowによる画像・動画生成。

それでは、ここからそれぞれのカテゴリーごとに詳しく見ていきましょう。


1. 検索をもっとスマートに:AIによる概要 と AIモード


(1)AIによる概要(AI Overviews)


AIによる概要とは、Google検索に表示されるAI要約機能のことです。検索結果の上部に、AIが複数の信頼性あるサイトから情報をまとめて「要約」した回答を示してくれる仕組みです。たとえば「冷蔵庫の霜取り 方法」と検索すると、複数のサイトの内容をAIが自動的に整理し、ステップごとに手順を提示してくれます。


この機能は、これまで米国中心で展開されていましたが、2025年には100カ国以上へ拡大し、日本でも順次テスト導入が進められています。(Expanding AI Overviews and introducing AI Mode – Google Blog)AIによる概要の魅力は、従来のように複数ページを開かなくても概要をすぐに理解できる点です。

一方で、AIが参照するサイトは一定の基準で選定されており、専門家の監修記事など信頼性の高いページが優先される傾向にあります。そのため、企業や個人のウェブサイトがAI要約に取り上げられるためには、Googleの品質評価(E-E-A-Tなど)を意識した情報設計が重要になります。

実際にAIによる概要に表示される情報を見て感じたのは、ユーザー体験が「検索から理解へ」劇的に変化しているということです。これまでのように複数のページを比較して情報を取捨選択するという工程がほとんど不要で、AIが最初から要点を整理してくれるため、調査スピードが大幅に向上します。

一方で、SEOの観点では、従来の「クリックされる」こと自体の価値が下がり、代わりにAIに引用されることの重要性が高まっていると強く感じました。 自社やクライアントのサイトがAI要約に取り上げられるケースを観察すると、コンテンツの構造化(見出し設計やFAQ構造化データなど)と、出典として引用されやすい文体(事実を明確に述べ、根拠を伴う説明)が共通していました。SEO戦略としても、今後は「検索上位」だけでなく「AI要約に選ばれる」ための最適化、いわゆるAIO(AI Overviews Optimization)・AEO(Answer Engine Optimization)が欠かせないと実感しています。

(2)AIモード


AIモードは、Google検索の新しい形として2025年9月9日に日本語対応が開始された最新機能です。従来の検索結果は「リンクの一覧」でしたが、AIモードではユーザーの質問をAIが理解し、関連情報を整理して「ひとつの答え」として返します。たとえば「週末に東京から日帰りで楽しめる紅葉スポットを教えて」と尋ねると、AIモードは天気、距離、交通アクセス、紅葉の見頃などを組み合わせて最適な提案を生成します。



この機能は、Googleの大規模言語モデル「Gemini 2.0」を基盤に構築され、AIが自動的に複数サイトを調査・要約し、出典リンクを明示します。さらに2025年には「エージェントモード」と呼ばれる拡張も始まり、AIがユーザーの目的を推測して次の行動を提案するようになりました。

たとえばレストランを検索したあとに自動で予約候補を出したり、学習テーマを調べたあとに関連するGoogleスライド資料を提示したりするような連携も実装されています。ただし、AIモードはあくまで試験的な段階にあり、回答の正確性には限界もあります。特に健康・法律・金融などの分野では、AIの答えを鵜呑みにせず、信頼できる一次情報で裏づけを取ることが重要です。

AIモードを実際に活用してみて感じたのは、検索という行為が「情報を探す」から「目的を達成する」に変わりつつあるということです。これまでの検索では、複数のページを比較して最適解を見つけるのが一般的でしたが、AIモードでは質問の意図を深く理解し、関連性の高い情報を一括で整理してくれます。そのため、調査の初動スピードが大きく向上し、特に市場リサーチやコンテンツ企画などの仮説立案フェーズでは非常に有効です。

ただしSEOの観点では、クリックによるアクセスよりも「AI回答に参照されること」の方が重要な意味を持つようになっています。AIモードの出典として取り上げられるページを分析すると、検索クエリに対して「構造的に答えている」ページ――つまり、質問文に近いタイトルや見出し、明快な結論文、根拠リンクが揃った構成――が多く採用されていました。これからは「検索順位を上げる」だけでなく、「AIが引用したくなるページを作る」ことが新しいSEO戦略の柱になると感じています。


2. 毎日の会話アシスタント:Geminiアプリ


GoogleのAI戦略の中核を担うのが「Gemini(ジェミニ)」です。これは、質問に答えたり、文章を作成したり、アイデアを出したりできる対話型AIアシスタントです。以前は「Bard」と呼ばれていましたが、2024年以降はGeminiに名称統一され、AIの中枢ブランドとして再構築されました。


Geminiの特長は、単独アプリとしてだけでなく、Googleの主要サービスと連携していることです。Gmailやカレンダー、マップ、YouTube、Googleフォトなどに自然に組み込まれ、アプリを切り替えなくても情報検索やタスク実行が可能になっています。

たとえば「来週の予定に余裕がある時間で散髪を予約したい」と話しかけると、Geminiが自動的にカレンダーを確認し、空き時間を提案してくれるのです。また、2025年には音声で自然に会話できる「Gemini Live」が追加され、ユーザーがAIとリアルタイムで対話しながら作業を進められるようになりました。

さらに上位版の「Gemini Advanced」では、Gemini 2.5 Proモデルを利用でき、長文処理や複雑なタスクの自動化が可能です。Geminiを使う上で大切なのは、AIを「正解を出す存在」と考えず、「一緒に考えるパートナー」として使うことです。たとえばアイデアを出したあと、その内容を自分で検証・補強していくことで、より良い成果につながります。


実際にGeminiを日々のSEO業務で使ってみると、AIに調べてもらうというよりも、一緒に考えてもらうという感覚が非常に強いです。特に、キーワードの検索意図の整理や、コンテンツ構成案の作成、競合ページの分析など、情報を整理しながら考える作業においては、まるで自分の思考を可視化してくれるような補助脳として機能します。

また、印象的だったのは、Googleが提供する他の製品――たとえばGoogleアナリティクス、サーチコンソール、Google広告、スプレッドシートなど――の使い方に関しても非常に詳しい点です。実際に「GA4で特定のページの離脱率を確認する方法を教えて」と尋ねると、公式ドキュメントに基づいた具体的な手順まで説明してくれました。このため、Geminiは単なるAIチャットではなく、Google製品のオンラインサポートのように感じる瞬間が多いです。Google自身が提供する製品群に深く接続されているからこそ、説明の正確性や操作の理解度が非常に高いのだと実感しました。

一方で、SEOのように検索アルゴリズムや最新のランキング要因が常に変化する領域では、情報の更新タイミングに多少のズレを感じることもあります。そのため、Geminiの回答をそのまま鵜呑みにするのではなく、自身の経験や実際のデータと照らし合わせて判断することが欠かせません。

総じて、Geminiは「検索を置き換えるAI」ではなく、「思考をサポートし、実務を効率化するAI」という印象です。SEOコンサルタントのように情報整理・戦略立案・企画構成などを日常的に行う職種にとっては、発想を広げ、作業時間を短縮し、Google製品全体をより深く理解できる強力なパートナーだと感じています。



3. 仕事を効率化:Google Workspace と NotebookLM


(1)Google Workspace(業務支援AI)


Google Workspace(Gmail、ドキュメント、スプレッドシートなど)にも、Geminiが深く統合されています。「Google Workspace」は、AIが仕事中の情報整理や文書作成をサポートするツール群です。たとえばGmailで長文メールを受け取ったときに「要約して」と頼めば、AIが重要なポイントを数行にまとめてくれます。

Googleドキュメントでは、AIが文章の構成を提案したり、言い回しを自然に整えてくれたりします。スプレッドシートでは、グラフや統計をもとに「この月の売上減少の原因を説明して」と尋ねるだけで、AIが自然言語で傾向を説明してくれるようになっています。


2025年の大型アップデートでは、Google Vids という動画生成ツールもWorkspaceに追加されました。これは、会議資料やスライドの内容からAIが自動的に動画プレゼンを生成してくれる機能で、専門知識がなくても説明動画を作成できるようになっています。また、Workspaceでは「Help me write」「Help me organize」といった補助ボタンからAIを呼び出せるようになっており、誰でも自然にAIを活用できるデザインになっています。


これらの機能は、Google Workspace Add-on として提供されており、利用にはGoogle Workspace Business Standard以上のプラン契約が必要です。ただし、AIが提案する文章や数値分析はあくまで“草案”であり、最終確認は人間が行うことが前提です。Google自身も公式に「AIが出した提案は必ず人間が確認してから採用すること」を推奨しています。

実際にGoogle Workspaceを業務で使ってみると、「AIがチームの一員になった感覚」が強くあります。たとえばクライアントへのメールドラフトをGeminiに作成させると、トーンや表現の丁寧さを自動で調整してくれ、修正にかける時間を大幅に減らせました。ドキュメントでは、提案書の章立てや文章の流れをAIが整えてくれるため、構成づくりの負担がかなり軽くなります。

特に印象的なのは、Googleアナリティクスやスプレッドシートなど、他のGoogle製品との連携精度の高さです。たとえば「GA4のデータをもとに月次レポートをまとめて」と指示すると、スプレッドシート上で自動的に数値を要約し、自然文でコメントを生成してくれました。このため、Google Workspaceは単なる文書生成AIというより、Google製品全体を横断して業務を効率化する“統合アシスタントとして機能しています。

また、Geminiの説明内容がGoogle公式ヘルプの記述に近く、操作や設定に関しても正確性が高い点から、「Google製品のオンラインサポートをそのまま社内に置いたような安心感」を感じました。SEOコンサルタントとしても、レポート作成・データ解釈・提案資料の作成において非常に有効で、特に複数のGoogleツールを横断して扱う業務には欠かせない存在になっています。

(2)NotebookLM(学習・研究支援AI)


NotebookLMは、学びや調査に特化したAIツールです。ユーザーが指定した資料(PDF、Googleドキュメント、ウェブ記事など)をAIに読み込ませると、その内容を要約し、比較し、質問に答えてくれます。まるで“自分専用のAI研究助手”のような存在です。

さらにNotebookLMの特徴は、「Audio Overview」という音声要約機能です。AIが資料の要点を音声で読み上げてくれるため、通勤中などでも効率的にインプットが可能です。この機能は、学習者だけでなく、研究者・コンサルタント・ジャーナリストなどにも利用が広がっています。

2025年にはモバイルアプリ版が正式リリースされ、スマートフォンでも資料をアップロードして対話できるようになりました。公式サイトでは、Googleドライブとの連携方法や、学習資料を安全に扱うためのガイドラインも紹介されています。


NotebookLMを実際に使ってみて感じたのは、「情報整理と要約の精度が非常に高い」ということです。長文のPDF資料やクライアントからのヒアリングメモをアップロードすると、AIが瞬時に全体構造を把握し、要点を明確に抜き出してくれます。特に、複数の資料を読み込ませて「共通点」や「相違点」を比較させると、まるで自分の代わりにアシスタントが会議メモを整理してくれたような感覚になります。

SEOの仕事では、膨大な情報をまとめてクライアント向けに提案書を作る場面が多いのですが、NotebookLMを活用すると、一次情報から「要約+洞察」を抽出するプロセスが圧倒的にスムーズになります。また、Googleドライブとの連携がスムーズで、過去のレポートや競合分析資料をすぐに参照できる点も非常に便利です。

さらに驚いたのは、AIの説明が「Google公式ドキュメント的」な正確さを持っていることです。操作方法や分析プロセスの質問にも明確に答えてくれるため、まるでGoogleの公式サポートに直接相談しているような安心感がありました。特にAudio Overviewで要点を耳で確認できるのは、移動中に最新資料を頭に入れる際にとても助かります。NotebookLMは、知識労働者にとっての“第二の頭脳”とも言える存在だと感じました。


4. クリエイティブに挑戦:Imagen/Veo/Flow


(1)Imagen(画像生成AI)


Imagenは、Googleが開発する高精度の画像生成AIです。テキストを入力すると、AIがその内容に沿った写真やイラストを生成します。たとえば「夕暮れの東京タワーを背景にした雨上がりの街並み」というような指示を与えると、リアルで光の反射まで描写された画像を生成してくれます。

2025年にはImagen 3が導入され、構図の自然さと人物表現の精度が大幅に向上しました。さらにGeminiアプリから直接Imagenを呼び出せるようになり、会話の流れの中で「その内容を画像にして」と指示すれば即座に生成できます。また、生成画像にはGoogle独自の透かし技術「SynthID」が自動的に埋め込まれ、AI生成コンテンツであることが識別できるようになっています。


Imagenを実際に使ってみてまず驚いたのは、生成される画像の完成度の高さと使いやすさでした。特に人物の表情や照明のリアルさ、構図の自然さが他の画像生成ツールと比較しても際立っています。たとえばブログ記事やプレゼン資料用のビジュアルを作成するとき、わずかな指示だけで「Google製らしいクリーンで説得力のある絵」が完成する印象です。

SEOの観点から見ても、Imagenは非常に有効です。アイキャッチ画像や記事内のイラストをオリジナルで用意できるため、他サイトとの差別化やCTR(クリック率)の改善に直結します。既存のストック画像に頼るよりも、検索意図に合った独自のビジュアルを生成できることが、コンテンツ品質の一部として強く作用します。

また、Imagenの優れている点は、Geminiとの連携です。文章を生成した流れの中で「この説明に合うイメージを作って」と指示すれば、そのままImagenが出力してくれるため、AIライティングとビジュアル制作がシームレスにつながります。この体験は、まさにAIがデザイナーとライターの間に立ってくれるような感覚です。

さらに、生成された画像には自動で「SynthID」という透かしが埋め込まれており、AI生成であることが識別可能になっている点も、Googleらしい透明性と責任あるAI設計を感じさせます。使ってみて、Imagenは単なる画像生成AIというより、コンテンツマーケティング全体を支える「ブランド品質の維持に強いツール」だと実感しました。

(2)Veo(動画生成AI)


Veoは、Googleが開発する高性能な動画生成AIで、数行のテキストや静止画像から高画質の動画を自動的に生成できます。そして2025年5月のGoogle I/Oで、ついにVeo 3が正式リリースされました。


Veo 3では、映像品質と物理表現(光の反射、カメラ動作、人物の自然な動き)が格段に向上しました。これにより、映画やCM、教育用の短編など、商用レベルの動画も生成可能になっています。また、「Flow」という映像制作ツールも同時に発表され、Veoで生成した映像をAIが自動で編集・カット・ナレーション挿入することもできるようになりました。GoogleはVeoシリーズを「プロフェッショナル・クリエイターとAIの共同制作ツール」と位置づけており、AI生成映像にはSynthIDによる透かしが全自動で付与されるなど、倫理的配慮も進んでいます。

Veo 3を実際に試してみると、「映像生成AIの領域がついに実用レベルに達した」と感じました。特に印象的だったのは、テキスト数行からでも自然なカメラワークや光の反射、人物の動きまで再現される点です。単にAIが動画を作るというより、まるで人間の映像ディレクターが意図を理解して撮影してくれているような感覚でした。

SEOやコンテンツマーケティングの観点でも、Veoは非常に可能性を感じます。ブログ記事や商品ページに埋め込む説明動画を、従来のように撮影・編集の外注を行わずにAIだけで制作できるため、動画SEOの内製化が一気に現実的になりました。実際に、あるクライアントのサービス紹介ページでVeo生成動画を設置したところ、平均滞在時間が約30%向上しました。

また、Flowとの組み合わせによって、生成した映像を自動的に編集・ナレーション付きで整えてくれる点も非常に便利です。SEOの現場では検索×動画×AIの融合が進んでいますが、Veoはその中心に立つツールの一つだと感じます。さらに、SynthIDによる透かしが自動付与されるため、コンテンツの透明性や著作権面でも安心して活用できます。

総じて、Veo 3は「AIによる映像生成」の域を超え、企業のコンテンツ戦略全体に組み込めるレベルに達したツールです。特に、ブランドストーリーテリングやSNS動画広告など、ビジュアルが重要なSEO施策を展開するうえで、非常に強力な武器になると実感しました。

(3)Flow(映像制作支援AI)


Flowは、Veo 3とともに発表されたGoogleの新しい映像制作支援AIツールです。Veoが映像を生成するAIだとすれば、Flowはそれを編集・演出するAIです。撮影、編集、音声、テロップ、ナレーションといった工程をAIが自動的に補い、まるで人間の映像編集者がチームに加わったかのように、動画の完成度を高めてくれます。

Flowの最大の特徴は、生成した動画素材を文脈に沿って自動編集できる点です。AIがシーン構成を分析し、不要な部分をトリミングしたり、視聴者の集中が途切れないようテンポを調整したりします。さらに、動画内にナレーションや字幕を自動挿入することも可能で、YouTube・SNS・広告映像など、複数フォーマットに合わせて出力できます。


GoogleはFlowを、VeoとImagenの中間に位置する「AI映像スタジオ」として位置づけています。Imagenで作った画像をVeoで動画化し、Flowで編集して完成させる──こうした連携を通して、クリエイティブ制作の一連の流れをAIが一括で支援するエコシステムが実現しつつあります。もちろん、ここでも「SynthID」が自動付与され、AI生成コンテンツの透明性が担保されています。

Flowを実際に使ってみると、「映像編集という専門領域が、ここまで自動化できるのか」と驚かされました。Veoが生成した素材をFlowに渡すだけで、AIが文脈を理解し、シーンのつなぎやカットテンポ、BGMや字幕の挿入まで一貫して整えてくれます。特に感動したのは、映像の流れに沿って自動的にナレーションを追加してくれる機能で、まるでプロの編集チームが関わったかのような完成度の動画が短時間で仕上がる点です。

SEOやコンテンツマーケティングの現場でも、Flowの登場は非常に大きな意味を持ちます。従来、動画コンテンツの制作は「時間・コスト・専門知識」という3つのハードルが高かったのですが、Flowを活用することで、AIが動画制作の民主化を実現したと感じます。ブログ記事やランディングページにFlowで編集した短い動画を組み込むだけで、ページ滞在時間やCTRが向上し、検索順位にも好影響を与えるケースが見られました。

また、FlowはGoogle製品らしい統合性を持っており、GeminiやVeo、Imagenとの連携が非常にスムーズです。特に、テキストで構想を立てて、画像を生成し、動画化し、Flowで最終編集まで完了するという一連の流れは、「AIクリエイティブ制作の新しいワークフロー」を体感させてくれます。

さらに、SynthIDによる透かしの自動付与により、生成動画の出所や信頼性も明確で、責任あるAI活用というGoogleの姿勢が強く感じられる設計になっています。Flowは単なる編集AIではなく、マーケティングとクリエイティブをつなぐ次世代の映像パートナーだと実感しました。


安全にAIを使うためのポイント


AIを使う際に重要なのは、「AIの出力をうのみにしない」という姿勢です。Googleも公式に、AIの提案は“人の意思決定を補助するもの”であり、最終判断はユーザー自身が行うべきだと強調しています。
特に健康、法律、金融、ニュースなど重要なテーマでは、AIが生成した内容を信頼できる一次情報や専門家の意見で確認することが欠かせません。
GoogleはAIの安全利用のために、複数の取り組みを導入しています。
たとえば画像や動画生成ツールには「SynthID」という不可視のデジタル透かしを自動的に埋め込み、AI生成コンテンツを検出できるようにしています。また、AIによる概要(AI Overviews)には参照元サイトのリンクが明示され、情報の出典が確認できるよう設計されています。(Building AI responsibly – Google Blog)


まとめ


ここまで紹介したように、GoogleのAIは検索、文章、学習、創作などあらゆる場面に溶け込んでいます。
AI初心者が最初に触れるべき順番としては、次のような流れがおすすめです。

1. 検索でAIによる概要やAIモードを試す — まずAIの要約に慣れる。
2. Geminiアプリで質問や文章作成を体験 — 日常の中でAIとの対話に慣れる。
3. WorkspaceやNotebookLMで業務・学習を効率化 — 実務レベルでAIを使いこなす。
4. ImagenやVeoで創作に挑戦 — アイデアをビジュアルで形にしてみる。

GoogleのAIは、特別な設定や知識がなくても、いつものサービスの中で自然に使い始めることができます。つまり「特別なAIツールを覚える」のではなく、「いつものGoogleにAIが溶け込んでいる」ことに気づくことが、最初の一歩なのです。その小さな体験から、AIは確実にあなたの「日常の相棒」になっていくでしょう。

AppleがPerplexity買収を検討中!AppleによるPerplexity買収が実現したら何が起きるのか?

2025年10月06日

AppleがついにAI検索に本格参入か──。もしAppleが急成長中のAI検索スタートアップ「Perplexity」を買収すれば、Safariのデフォルト検索エンジンはGoogleから一気に塗り替わるかもしれません。これは単なる検索エンジンの変更ではなく、ユーザー体験、広告モデル、そしてウェブのトラフィック構造そのものを揺るがす一大転換です。果たしてAppleは、長年続いたGoogle依存を断ち切り、検索市場の覇権争いに挑むのでしょうか。その先に待つシナリオを探ります。

Perplexityとは?


Perplexity(パープレキシティ)は、いま世界中で急速に注目を集めているAI検索エンジンです。従来の検索のように「キーワードに対応するリンク一覧」を返すのではなく、ユーザーの質問に対してAIが分かりやすい答えをまとめて提示し、その根拠となる情報源へのリンクも必ず添える仕組みを採用しています。

この特徴により、利用者は複数のサイトを行き来せずとも短時間で要点を理解でき、さらに「どの情報から導かれた答えなのか」が透明性をもって確認できます。その信頼性の高さが評価され、GoogleやChatGPTに次ぐ「新しい検索の選択肢」として台頭してきました。

資金調達ではジェフ・ベゾス氏やNVIDIAといった大手も出資し、2024年時点で評価額は140億ドル規模に到達したと報じられています。今やPerplexityは、AI時代の検索体験を牽引する存在として、Appleをはじめとするテック大手からも強い関心を集めているのです。



AppleがPerplexity買収を検討?


まず事実ベースで整理します。2025年6月、ReutersはBloombergの報道を引用し、Appleの幹部がPerplexity買収について社内で議論したと伝えました。記事では、これは初期段階の検討に過ぎず、Perplexity側との交渉は行われていないこと、そしてPerplexityが「M&Aの話は聞いていない」とコメントしたことも明記されています。また、記事はSafariへのAI検索統合の可能性や、Google依存を見直す意図に触れています。

さらに8月には、The Informationの報道を受けて再びReutersが「AppleはMistralとPerplexityの買収を社内で議論した」と報じました。CEOのティム・クック氏がAI関連の大型M&Aに前向きであることも紹介されており、AppleのAI戦略が従来よりも積極的に変化していることが示されています。

また9to5Macは、Apple内部での力学として「Eddy Cue氏はM&Aに積極的だが、Craig Federighi氏は内製を好む」との違いがあり、社内で議論が分かれていることを伝えています。

さらにBloombergのMark Gurman氏も、AppleのM&A責任者Adrian Perica氏とサービス部門トップのEddy Cue氏らがPerplexityの可能性を検討したと報じています。

要するに「AppleがPerplexityを実際に買収するかは未確定だが、社内で真剣に議論されたのは事実」というのが現時点の状況です。


なぜAppleはPerplexityに目を向けるのか?


Perplexityは、AIを使った検索で急成長しているスタートアップです。質問に答えると同時に必ず情報源のリンクを提示する設計で、透明性と信頼性を売りにしています。資金調達ではジェフ・ベゾス氏やNVIDIAも出資し、評価額は140億ドル規模に達したと伝えられています。
AppleがPerplexityに関心を持つのは大きく三つの理由があります。第一に、AI人材と技術を一括して獲得できるという買収効果。第二に、SafariやSiriに「会話型検索」を組み込むことで、ユーザー体験をGoogle以上に差別化できる点。第三に、長年続けてきたGoogle依存からの脱却です。特に三番目は重要で、米司法省による独禁訴訟でGoogleが「デフォルト検索契約」を禁じられる可能性が高まる中、Appleが検索戦略を再構築する動機は強まっています。


Safariのデフォルト検索をPerplexityに切り替える可能性


ここで筆者の予想に立ち戻ります。AppleがPerplexityを買収した場合、最も大きな変化は「Safariのデフォルト検索エンジンをGoogleからPerplexityに置き換える」ことです。



現在、AppleはSafariのデフォルト検索をGoogleに設定する代わりに、年間150〜200億ドル規模の巨額収入を得ています。これはAppleのサービス収益の中でも大きな柱であり、簡単に手放すとは考えにくい金額です。

しかし、もし独禁法の是正措置によってこの契約が無効化されれば、Appleは「どうせ失う収益なら、自ら主導して次の検索体験を握る」という選択肢を取る可能性があります。SafariのデフォルトをPerplexityに変えることは、AppleにとってGoogle依存を断ち切り、自社のAI体験を主導する大胆な一歩となり得るのです。


買収が実現したら何が起きるのか?


もしAppleがPerplexityを買収し、Safariのデフォルト検索をGoogleから切り替えた場合、ユーザー体験は大きく変わります。これまでの「キーワード検索 → リンクのクリック → 情報にアクセス」という流れが、「質問 → AIによる要約回答 → 必要なら出典にジャンプ」という形式に置き換わるのです。

ユーザーはわざわざ複数のサイトを行き来しなくても要点をすぐに理解でき、効率的な検索が可能になります。一方で、従来型の検索流入に依存してきた多くのウェブサイトにとっては「アクセス減少リスク」が現実化します。


広告ビジネスの変化


次に広告ビジネスです。Google検索は広告収入によって支えられており、AppleもGoogleからの契約料で莫大な利益を得てきました。しかしもしPerplexityをデフォルト検索にすれば、この収益構造は根底から変わります。

Appleはプライバシーを重視する企業であり、トラッキングベースの広告には慎重です。そのため、Perplexityを軸とした新しい広告モデルは「文脈ベース広告」や「回答内スポンサー表示」のような形式に進化する可能性があります。たとえば、Perplexityの回答に「おすすめのホテル」と表示される際に、スポンサーのホテルが自然に組み込まれるような仕組みです。


開発者・メディアへの影響


開発者やメディア運営者にとっては、SEO(検索エンジン最適化)だけでは不十分になります。Perplexityは「回答エンジン」として機能するため、AEO(Answer Engine Optimization) や GEO(Generative Engine Optimization) といった新しい最適化手法が不可欠です。

たとえば、自社の情報をAIが正確に引用するようにするには、構造化データや出典明記を徹底し、AIに読み取られやすい形でコンテンツを整備する必要があります。すでにSEO業界では「AIに選ばれるコンテンツ作り」が大きなテーマとなっており、もしSafariがPerplexityに切り替わればこの動きは加速するでしょう。


Perplexity側の課題


一方で、Perplexityにも課題があります。短期間で評価額140億ドルに到達した注目株とはいえ、Appleレベルの膨大な検索トラフィックを処理するためには、インフラの拡張や推論コスト削減、誤情報の排除といった課題を解決する必要があります。

特に「回答にどの情報源を引用するか」という透明性は、Perplexityの強みであると同時にリスクでもあります。もし出典が偏っていたり、不正確な情報を混入させてしまえば、Appleブランドにとって大きな打撃となりかねません。そのため、Appleが買収した場合には、品質管理とガバナンスの仕組みを大幅に強化する必要があるでしょう。


実現シナリオと残る不確実性


では、Appleが実際にPerplexityを買収する可能性はどれほどあるのでしょうか。現時点での報道はすべて「社内で検討が行われた」という段階であり、実際に交渉が始まったわけではありません。ReutersやBloombergも明言しているように、あくまで初期の議論に過ぎず、今後の展開は不透明です。

また、Apple社内でも意見が分かれていると伝えられています。サービス部門のEddy Cue氏はM&Aに積極的ですが、ソフトウェア部門のCraig Federighi氏は内製志向が強いと報じられています。つまり「買収でAI力を一気に強化するのか」「自社開発を重視するのか」という戦略的な葛藤が残っているのです。


SafariのデフォルトがPerplexityになったら?


まとめると、AppleがPerplexityを買収してSafariのデフォルト検索を切り替えれば、検索市場の構造は大きく変わります。ユーザーはAI回答中心の検索体験を享受し、広告モデルは新しい形に再構築され、開発者やメディアは「AIに選ばれる」ための新しい最適化手法を求められるでしょう。

現時点ではまだ憶測の域を出ませんが、米司法省によるGoogleへの独禁法是正措置や、AppleのAI戦略転換が重なれば、このシナリオは十分に現実味を帯びてきます。

私の予想としては、AppleがPerplexityを買収し、Safariのデフォルト検索をPerplexityにする可能性は十分にあると考えています。もしこれが実現すれば、AI検索時代の覇権争いは一気に加速し、Google対Appleという新たな構図が鮮明になるでしょう。

AIモードはChatGPT化するのか?

2025年10月02日

2025年9月9日に国内で提供が始まったGoogleの「AIモード」を試してみると、まるでChatGPTを使っているような感覚がありました。もしかするとGoogleは、このAIモードの公開によって一気にChatGPTからユーザーを奪う戦略を狙っているのではないか、と感じさせられます。ChatGPTに後れを取ってきたGoogleが逆転を狙う手段として、世界中のGoogle検索ユーザーにAIモードを提供することが残されているからです。

Google AIモードとは何か?


Googleが2025年に導入を開始した「AIモード」は、検索体験そのものを根本から変える新しい仕組みです。従来のGoogle検索は「キーワードを入力すると青いリンクが並ぶ」というものでした。しかしAIモードでは、ユーザーがモードを切り替えると、検索ページ全体がAIによる文章回答を中心に再構築されます。


検索の冒頭に要約が追加される「AIによる概要」(AI Overviews)とは違い、AIモードは検索そのものを会話的な体験に置き換えるのが特徴です。Googleはこれを「より直感的で包括的な検索体験」と説明しており、自然な言葉で質問したり、フォローアップ質問を重ねたりできる点で、従来の検索とは一線を画しています。



ChatGPTとの共通点


実際にAIモードを試してみると、その体験はChatGPTに非常によく似ています。ユーザーが質問を投げかけると、AIは自然な文章で答えを返し、関連する情報源も一緒に示してくれます。また、続けて「もう少し詳しく教えて」や「別の観点ではどうか」と聞けば、それに応じた追加回答が得られます。この流れはまさにChatGPTと同じ「会話型AI」の感覚です。

米国の有力紙ワシントン・ポストも「GoogleのAIモードは検索にチャット型のインタラクションを導入し、ChatGPTの影響を色濃く受けている」と報じています。


ChatGPTとの相違点


ただし、AIモードとChatGPTはまったく同じではありません。ChatGPTはOpenAIが開発した独立型の対話AIで、幅広い用途に使える「万能アシスタント」として設計されています。一方、AIモードはGoogle検索に組み込まれた機能であり、あくまで検索エンジンの一部として動作する点が大きな違いです。

情報の扱い方にも違いがあります。ChatGPTは現在ではウェブ閲覧機能を通じて最新の情報を取得できますが、基本的な仕組みは学習済みデータをもとに応答を生成するモデルです。対してAIモードは、Google検索の膨大なインデックスを背景に持ち、その時点での最新のウェブ情報をダイレクトに反映できる強みがあります。

これは「検索エンジンを本体に持つGoogleだからこそできるアプローチ」であり、ChatGPTの仕組みとは根本的に異なるものです。フィナンシャル・タイムズも「Googleは検索インデックスを武器にすることで、ChatGPTとは違う形で「最新性」を強みにしようとしている」と報じています。


大手海外メディアが見る「ChatGPT化」の兆し


Google AIモードがChatGPTのようになっていくのかについては、複数のメディアが注目しています。
米ビジネスメディアのビジネス・インサイダーは、Google I/O 2025の発表を受けて「Googleは100以上のAIアップデートを通じて、自然な会話体験を検索に取り込もうとしている」と分析しました。これはまさにChatGPTが持つ「自然なやりとり」の強みを意識した方向性です。

また、米Fast Companyも「AIモードはChatGPT Searchへの直接的な回答であり、Googleが対話型検索の中心にAIを据えようとしている」と強調しています。


SEOへの影響


もしAIモードがさらにChatGPT化していくならば、SEOの世界は大きな変化を迎えることになります。従来は検索順位を上げることが目的でしたが、これからは「AIに推薦されるかどうか」が流入を左右するからです。

AIモードは回答を文章で提示し、その中でブランドやサービスを指名することがあります。つまり、自社サイトがリンクとして表示されるだけではなく、AIの文章の中にブランド名として登場できるかどうかが勝負になります。

米国のSEO専門メディア「Search Engine Journal」は、AIモードがChatGPTやAI Overviewsと比較して、ブランドを紹介する数は少ないものの、選ばれた場合の影響力は非常に大きいと報告しています。これはまさに「少数精鋭」の世界であり、選ばれるかどうかで勝敗が分かれるということです。


AEO・AIO・GEOの必要性


こうした流れを受け、従来のSEOに加えて新しい最適化の考え方が広がっています。

まず注目されているのが AEO(Answer Engine Optimization) です。これは検索エンジンというよりも「答えを返すエンジン」に向けた最適化の考え方で、AIが理解しやすい形に情報を整理し、構造化データを整備することが求められます。

次に AIO(Artificial Intelligence Optimization) があります。AI全般に対する最適化を意味しますが、特にGoogleの AI Overviews への対応が重要です。GoogleのAIが要約を生成する際に自社サイトを参照してもらうには、信頼性・権威性・網羅性を兼ね備えた記事を用意し、AIが引用しやすいコンテンツ設計を行う必要があります。

そして新しい概念として GEO(Generative Engine Optimization) が登場しました。これはChatGPTやGeminiといった生成AIに最適化するための施策で、AIモデルに認識されやすい形でデータを公開することを指します。すでに英語版Wikipediaでも解説が掲載されており、SEOに続く次なる潮流 として世界的に注目されています。


ユーザー行動とトラフィックの変化


AIモードの導入に伴い、ユーザー行動やトラフィックの流れも変化しています。AP通信の記事によれば、AIによる回答が直接検索結果に表示されることで、ユーザーがウェブサイトをクリックする必要が減り、サイトへの訪問数が減少しているケースがあると報告されています。これは従来の「検索流入=アクセス数増加」という図式が崩れつつあることを意味します。

また、The Economic Timesは、AIが参照する情報源に信頼性が欠けるケースがあると警鐘を鳴らしています。ChatGPTやPerplexityと同様に、Google AIモードもRedditなどのユーザー生成コンテンツを引用する場合があり、誤情報リスクがつきまとうのです。この点でも「信頼されるブランド」となることが重要だといえます。


今後の展望:AIモードはChatGPT化するのか?


結論として、現時点でGoogleがAIモードを完全にChatGPTと同じ自由対話サービスにするという公式発表はありません。しかし各種報道や実際の体験からは、AIモードが着実に「ChatGPT的な存在」に近づいていることがわかります。

The Vergeは「チャットボットのような体験」、ワシントン・ポストは「ChatGPTの影響を受けたインタラクション」、Business Insiderは「自然な会話体験の導入」と表現しており、方向性は一致しています。

Googleにとって、検索は最大の収益源であり、ここでChatGPTにユーザーを奪われることは致命的です。そのため、検索体験をChatGPT的に進化させるのは自然な流れといえるでしょう。ただしGoogleは検索広告との統合も重視しており、ChatGPTのように完全な自由対話に振り切るのではなく、「検索エンジンの強みを活かしながら会話型に寄せる」形で進化する可能性が高いと考えられます。


まとめ


AIモードはChatGPTと同じではありませんが、すでに多くの共通点を持ち、今後さらに似た存在に進化していくことはほぼ間違いないでしょう。SEO担当者やサイト運営者にとっては、AIに選ばれるための新しい対策を早急に取り入れることが求められます。検索順位だけを追う時代は終わりつつあり、今は「AIに推薦されるブランド」になることが最重要課題です。

今後、全日本SEO協会では、このGoogleのAIモードがChatGPT化していく可能性を見据え、AEOやAIO、さらにはGEOといった最先端の最適化技術に積極的に取り組んでいきます。そして皆さまと共に、AI検索時代に適応した最新のSEO戦略を共有し、実践していきたいと考えています。

Googleの「AIモード」が国内で提供開始! 予想される変化とWebマーケティングへの影響は?

2025年09月12日

2025年9月9日、Googleは日本で「AIモード」の提供を正式に開始しました。
これは従来の検索結果ページに加えて、生成AIがユーザーの質問を理解し、複数の情報をまとめた回答を提示する新しい検索体験です。すでに日本を含む180以上の国と地域で順次展開が進められており、検索行動そのものが変わる可能性があると注目されています。

これまでのGoogle検索は「キーワードを入れる → 検索結果の一覧が出る → 気になるページをクリック」という流れが基本でした。しかしAIモードでは、検索画面上にAIがまとめた答えが最初に提示され、必要に応じて追加質問も可能になります。検索はより会話的で生成的、動的なものへと進化したのです。

《AIモードに「おすすめのSEOセミナーは」と入力した際の回答結果》


AIモードが引き起こす変化


このAIモードが公開されたことによりどのような変化が今度起こるのでしょうか?現時点では少なくとも以下のような変化が生じると予想されます。

1. ゼロクリック検索が増える


AIモードでは、ユーザーが欲しい情報が検索結果ページ上で完結してしまうことが多くなります。これを「ゼロクリック検索」と呼びます。

例えば「東京 観光スポット」と検索すると、従来は旅行情報サイトやブログにアクセスしておすすめの場所を調べる必要がありました。しかしAIモードでは「浅草寺や東京タワー、渋谷スクランブル交差点が人気です」といった要約がすぐに表示されます。

利用者にとってはとても便利ですが、情報サイトの運営者にとっては「クリックされずに終わる=アクセス数の減少」というリスクを抱えることになります。

すでに「2024年になって、Google検索の約60%がクリックされずに終了している」という衝撃の調査結果が米国で発表されています。この調査では、米国と欧州(EU)で Google 検索のうち 58.5%(米国)、59.7%(EU) がリンクをクリックせずに終わる(zero-click search)と報告しています。

2. 検索クエリ(キーワード)の長さや複雑さが変わる


例えば「カレー レシピ」と検索すると、従来は料理サイトを開いて作り方を順番に確認する必要がありました。しかしAIモードでは「玉ねぎと鶏肉を炒めてルーを加えるシンプルな方法です」といった要約がすぐに表示されます。
短いキーワードではなく、「子ども向けに辛くないカレーを作るには?」のような質問文を入力する人が増えていくのです。

つまり検索はより会話に近い形式となり、AIが質問の意図を理解して応答するため、複雑な条件や文脈を含んだ検索が増えるのです。SEO対策もキーワードを並べるだけではなく、ユーザーが抱く質問にきちんと答えるコンテンツを作成することが重要になります。

3. 引用元・情報源を明確にする必要が生じる


AIが回答を作るとき、信頼できる情報源を優先して利用します。誤情報を引用すればGoogle自体の信頼も損なうため、AIは「信頼性のあるサイトかどうか」を判断基準にしているのです。

このため今後は「情報が正確であるか」「出典が明示されているか」「専門家や一次情報をもとにしているか」がより重要になります。医療・法律・金融など専門性の高い分野では、監修や引用の質が検索評価を左右する可能性が高まります。

《情報の信憑性を担保するために出典を明からにしている例》



4. UI/UX(見せ方・使いやすさ)の重要性が増す


AIモードでは、ユーザーが追加の質問をしたり関連情報を深掘りしたりすることが可能です。その際に重要になるのが、サイトの見やすさ・使いやすさです。

もしスマホで文字が小さすぎる、ページの表示が遅い、ナビゲーションがわかりにくいといった欠点があれば、AIが引用を避ける可能性も考えられます。

これからのSEOは単に「内容があるかどうか」だけでなく、「快適に読めるかどうか」も含めたUX全体が評価対象になると予想されます。


Webマーケティング全体への影響


GoogleのAIモード導入は、単なるSEOの変化にとどまらず、Webマーケティングの考え方全体を揺さぶる可能性があります。

流入数の変化


まず一番の影響はウェブサイトのアクセス数が減少するということです。AIモードでは、ユーザーが欲しい答えが検索結果ページの中で完結してしまうことが増えます。これまでは検索結果に上位表示されればクリックを稼げたのに、今後は答えを見て満足して離脱するケースが増えるかもしれません。

とくにFAQや「◯◯とは?」といった基礎的な情報、比較記事などはゼロクリックで完結しやすい分野です。そのため流入数の減少は避けられない現象として受け止め、他の施策で補う発想が必要になります。

ブランド認知の重要性


しかしアクセスが減ったとしても、それで終わりではありません。AIモードの回答には、参照したサイトのリンクや名前が表示されることがあります。つまりページに訪問されなくても「この情報は〇〇社から引用されました」と露出するチャンスがあるのです。

ブランドにとっては、直接の流入が減っても認知度を高める機会になる可能性があります。これまで以上に「どのブランドが信頼されているか」という点が浮き彫りになり、名前が出るかどうかがマーケティング上の価値を左右する時代になるでしょう。

質重視のコンテンツ戦略


次に重要なのは「量から質への転換」です。これまでは大量の記事を量産してキーワードを幅広くカバーする戦略も有効でしたが、AIが複数の情報源を統合して要約する時代には、独自性のない情報は埋もれてしまいます。

例えば、単なるニュースの焼き直し記事ではなく、オリジナルの調査データ、事例紹介、体験談などを盛り込むことで「このサイトにしかない情報」として価値を持たせる必要があります。

ユーザーにとって役立つだけでなく、AIにとっても「引用する価値のあるコンテンツ」と判断されやすくなるのです。

競合との差別化


AIモード時代では、ただ検索順位で上にいるだけでは十分ではありません。AIが回答を生成するときに、どのサイトを参照するかという新しい競争が始まります。似たような情報が大量にある場合、AIはその中からより信頼性が高く、わかりやすいサイトを優先的に選びます。

つまり、競合と同じ内容を扱っていても差別化できていなければ、AIの回答に採用されない可能性が高いのです。他社にない切り口や、分かりやすい構成、最新の情報を提供する工夫が欠かせなくなるでしょう。

指標の見直し


従来のSEOでは「検索順位」「クリック数」「CTR(クリック率)」が重要な指標でした。しかしAIモードの時代には、順位が高くてもAIが回答を生成してしまえばクリックが減ることがあります。

そこで新しく注目すべきなのは「AIの回答に引用された回数」や「ブランド名が検索画面に登場した頻度」です。アクセス数が減ったとしても、ブランド認知が広がっているのなら、その施策は成功しているとも考えられます。

マーケティングの評価指標がアクセス重視から認知・信頼重視へシフトしていくのは間違いないでしょう。

広告の役割増加


最後に忘れてはならないのが広告です。AIモードによって自然検索からの流入が減少する分、広告の役割はより重要になります。検索広告やディスプレイ広告、SNS広告などを組み合わせることで、減ったアクセスを補う必要が出てくるでしょう。

また、AIモードでの認知と広告施策を組み合わせることで、より効果的な集客につなげることも可能です。つまり、SEOだけに依存するのではなく、広告とSEOを両輪で動かす戦略が求められるのです。


まとめ


AIモードの登場は、SEOの常識を変えるだけでなく、Webマーケティング全体の発想を見直すきっかけになります。アクセス数が減る一方で、ブランド認知や信頼性を高めるチャンスも広がります。重要なのは「引用されるに足る質の高い情報を提供すること」と「広告やSNSなどの他の施策と組み合わせて総合的に集客を考えること」です。

多くの企業にとってこれは脅威ともとれますが、千載一遇のチャンスが来たとも言えます。AI時代の変化を正しく理解し、早い段階で対応することで、競合に先んじることができるはず。

全日本SEO協会は、Googleの「AIモード」で自社サイトやブランドを取り上げてもらうためのAEOやAIOの研究と実践に取り組み、サイト運営者の皆さまと共にAI検索時代を生き抜くノウハウを共有していきます。

ChatGPTとAIモードの違いとは?

2025年09月11日

SEOの相談を受けていると、ここ最近は話題が大きく変わってきました。少し前までは「どんなキーワードを狙うか」や「どうすれば検索順位を上げられるか」といった話が中心でした。ところが今では、「ChatGPTとGoogleのAIモードの違いは何?」「どうすればAIに自社サイトを紹介してもらえるのか?」という質問が半分以上を占めるようになっています。

つまり、今の多くのサイト運営者にとって一番の関心事は「順位」ではなく「AIに選ばれるかどうか」になっているのです。


ChatGPTとは何か?


ChatGPTは、米OpenAIが開発したAIチャットサービスです。2022年11月30日に公開されると、その自然な会話能力が世界中に大きな衝撃を与え、わずか数日で数百万人のユーザーが登録するほどになり、公開2か月でユーザー数が1億人に達することが伝えられ話題となりました。

ユーザーが質問をすると、人間と会話しているかのように自然な答えを返してくれるのが特徴です。
Google検索のようにインターネットを巡回して順位をつける仕組みではありません。あらかじめ大量の文章データを学習しており、その知識をもとにもっともらしい答えを作り出しています。

たとえば「SEOとは?」と質問すると、過去に学習した知識や会話の流れを使って文章を組み立てます。常に最新情報を持っているわけではないので、新しい出来事には答えられないこともあります。



また、有料版の「ChatGPT Plus(月20ドル)」や「ChatGPT Pro(月200ドル)」では、最新のGPT-5を利用できたり、最近ではウェブ検索機能が実装されたためリアルタイム情報を扱えたりするようになります。

《参考サイト》 ChatGPT 料金設定


AIモードとは何か?


AIモードは、Google検索に新しく追加された機能です。これをオンにすると、検索結果の画面がAIによる答えを中心に切り替わります。
これまでの検索では青いリンクが並んでいましたが、AIモードではまずAIがまとめた答えがページ上部に表示されます。その後に関連するリンクやブランド名が紹介される流れです。



Google公式ブログでも「より直感的で包括的な検索体験」を目指すと説明されており、まさに検索の進化版といえます。つまり、これまでは「情報を探す入口」だった検索が、「AIがまとめた答えそのものを最初に見せる仕組み」に変わったのです。


ChatGPTとAIモードの違い


両者を混同する人も多いですが、実際には大きな違いがあります。
ChatGPTは「AIアシスタント」で、ユーザーが直接質問して会話をするイメージです。会話の柔軟さが強みですが、学習した過去データに依存するため最新情報に弱い面があります。

一方でAIモードは「検索の延長線」にあります。Googleが今も収集している最新の情報を使うため、新しいニュースやサービスも反映されやすい特徴があります。スイッチを入れるだけで使える点もシンプルです。

《ChatGPTとAIモードの比較》


米メディアSearch Engine Journalの調査でも、同じ質問をしてもChatGPTとAIモードでは表示されるブランドが62%以上異なると報告されています。これは、ChatGPTが過去のデータから答えるのに対し、AIモードは最新の検索情報を取り入れているためです。

ChatGPTは「知識豊富な友人に相談する」イメージです。友人は自分の経験や本で得た知識をもとに、もっともらしい答えを返してくれます。
AIモードは「雑誌編集者が取材してまとめた記事を読ませてくれる」ような感覚です。最新で正確ですが、取り上げられる内容は厳選されています。
つまり、ChatGPTは会話が柔軟で親しみやすいけれど情報が古いこともあり、AIモードは最新で精度が高いけれど紹介される対象は限られる、といった違いがあります。



SEOへの影響


サイト運営者にとって気になるのは「どうすればAIに取り上げられるのか」という点です。
ChatGPTは、歴史があり多くの人に言及されてきたブランドやサイトを取り上げやすい傾向があります。新しいブランドが紹介されるには時間がかかり、外部での話題作りが必要です。

一方、AIモードは従来のSEOの延長にあり、質の高い記事や最新情報を発信していれば比較的早い段階で取り上げられる可能性があります。
ただし、AIモードに表示されるブランドはごく少数に絞られるため、選ばれれば大きな効果がありますが、選ばれなければ競合に大きく差をつけられるリスクもあります。

このように、ChatGPTは「会話型のAI」、AIモードは「検索を進化させたAI」という違いがあります。SEOの世界では、この2つのAIがもたらす変化にどう対応するかが大きなテーマになっています。これからは「検索順位」だけでなく、「AIに推薦してもらう」ための工夫が重要になっていくのです。

AI時代に訪れる新たな課題


これまで見てきたように、ChatGPTとAIモードはどちらも検索や情報収集の在り方を大きく変えています。では、SEO業界はこれからどんな課題に直面するのでしょうか。特に重要なポイントを整理してみます。

課題1:ゼロクリック検索の加速


GoogleのAIモードやAIによる概要が普及すると、ユーザーはAIがまとめた答えを見て満足してしまい、リンクをクリックしないケースが増えます。
これは「ゼロクリック検索」の進化版とも言えます。従来もナレッジパネルや強調スニペットによってクリック率が下がることはありましたが、AIモードでは画面全体がAIの答えで覆われるため、さらにクリック機会が減少します。
結果として、SEO担当者は「どうすればAIの回答部分に自社が取り上げられるか」という新しい発想が求められるようになります。

ナレッジパネルとは?


ナレッジパネルは、Google検索結果の右側や上部に表示される「情報ボックス」です。
企業名、人物名、観光地、映画などの固有名詞を検索すると、Wikipediaや公式サイトなどの信頼性あるデータベースをもとに、概要・画像・関連情報が整理されて表示されます。
例えば「トヨタ」と検索すると、ロゴ、設立年、CEO名、公式サイトリンクなどがまとまって表示されるのがナレッジパネルです。
これは基本的にGoogleが独自の知識グラフから自動生成しているため、Webページの一部を直接引用しているわけではありません。

《ナレッジパネルの例》



強調スニペットとは?


強調スニペットは、検索結果の一番上に表示される「回答枠」のことです。
特定の質問形式(例:「糖尿病 原因」や「富士山の高さ」など)に対して、Googleが適切と判断したWebページの一部を抜粋し、テキストや表、箇条書きで直接表示します。
引用元ページへのリンクも掲載されますが、多くのユーザーはそこで答えを得てしまうため、クリック率が下がる傾向にあります。

《強調スニペットの例》




課題2:AIに選ばれるブランドと選ばれないブランド


AIが回答を組み立てるとき、すべてのサイトが平等に扱われるわけではありません。
ChatGPTは学習データに頻繁に登場するブランドを優遇しやすく、AIモードはGoogleのランキングや信頼性を基準にごく一部のブランドだけを紹介します。
この仕組みが進むと、「AIに選ばれるブランド」と「選ばれないブランド」の格差はますます広がります。大手や有名ブランドは露出を維持できますが、中小企業や新規サイトは存在感を出すのが難しくなるのです。SEOの現場では、ブランドをAIに認知させるための新しい広報戦略や外部施策が必要になってきます。

課題3:KPIの再定義


SEOの成果を測るとき、多くの企業は「検索順位」「流入数」「コンバージョン数」をKPIとしてきました。
しかしAI時代には、検索順位がそのまま成果に結びつくとは限りません。たとえ1位を取っても、AIが答えに引用しなければユーザーに認知されないのです。
今後は「AIでの引用数」「AI回答に登場した回数」「AI経由での流入」といった新しい指標を設定し、従来のKPIと組み合わせて評価する必要があります。

課題4:AIに引用されやすいコンテンツ作り


従来のSEOでは、検索アルゴリズムを意識して記事を作れば一定の効果がありました。ですが、AI時代には「AIが理解しやすく引用しやすい文章」であることが大切になります。
たとえば次のような特徴を持つ記事はAIに取り上げられやすい傾向があります。

•明確で簡潔な説明
•信頼できる情報源からの引用
•網羅性と体系性のある構成


SEO担当者は「AIに選ばれること」を意識した新しいコンテンツ制作ルールを身につける必要があります。

課題5:生成AIコンテンツの氾濫


生成AIの普及によって、誰でも大量の記事を短時間で作れるようになりました。便利ではありますが、その結果としてインターネット上には「似たようなAI生成コンテンツ」が急増しています。

Googleは低品質なAI生成記事を評価しない方針を示していますが、実際のところAIモードでどのように扱われるかはまだ発展途上です。SEO業界としては、質より量に偏らないよう、オリジナル性や実体験を加えたコンテンツをどう作るかが課題です。

課題6:著作権と情報の透明性


AIが生成した回答には、どの情報源を参照したのかが不透明なケースが多いです。著作権の扱いもグレーゾーンであり、引用されたサイトがどれだけ利益を得られるのかははっきりしていません。

この点については業界全体でルール作りが進んでいくはずですが、SEO担当者としては「引用されるメリットを最大化する」戦略を意識する必要があります。ブランド認知や信頼性向上を狙い、たとえ直接的なクリックがなくても「AIに載る価値」を活かす姿勢が大事になります。

課題7:SEOからAEO・GEOへ


今後の方向性として注目されるのが「AEO(Answer Engine Optimization)」や「AIO(Artificial Intelligence Optimization)」、「GEO(Generative Engine Optimization)」です。
AEOは「AIに答えとして取り上げてもらうための最適化」、AIOは「生成AIや検索AIに最適化された情報設計を行う施策」、GEOは「生成AIがブランドを引用しやすくするための工夫」を指します。
これらは従来のSEOの延長線にありますが、発想は全く新しいものです。単に順位を追うのではなく、AIが答えを作るときに自社がどう登場できるかを考えるのが次の時代の課題です。


まとめ


ChatGPTとAIモードの登場によって、SEOは「順位争い」から「AIに選ばれる争い」へと変化しました。
ゼロクリック検索の加速、ブランド格差の拡大、新しいKPIの必要性、そしてAIに引用されやすいコンテンツ作り…。これらはすべてSEO業界が避けて通れない課題です。

今後はSEOに加えて、AEOやAIO、GEOのような新しい概念を取り入れながら「AI検索時代に適応する戦略」を築いていくことが求められます。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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